Visual Studio (VC++) 入門 (その1)

− 簡単な文字の表示 −


井澤 裕司 

(H18.1.30)


課  題 1

Microsoft Visual Studio2005 の Visual C++ を用いて、以下の機能
をもつプログラムを 作成しなさい.

Windowsの新しいアプリケーションを起動すると,画面 “Hello”
いう文字が表示される.


このコンテンツの中で Visual C++の使用法を詳しく説明することは困難です. 詳細については、以下のような書籍が出版されていますので参考にして下さい.
   ・[Visual C++  2005 ビギナー編]
          林晴彦 Softbank Creative
WEB上 には 以下のようなサイトがあります.
 
   ・[ Visual C++ の使い方]
          http://www.nitoyon.com/vc/
   ・ Visual C++ の勉強部屋]
          http://homepage3.nifty.com/ishidate/vcpp.htmvc/
   ・[Area of VC++ Tips]
          http://rararahp.cool.ne.jp/vc/vctips/tipindex.htm
 
手順の概略を,以下に示します.
 
(1) Microsoft Visual Studio2005 を起動する.
・メニューの「ファイル」 から 「 新規作成 」 の 「 プロジェクト 」を指定する. 
(2) Visual C++ の MFCアプリケーション を立ち上げる.
・プロジェクトの種類から「 Visual C++ 」 の 「 MFC 」 (Microsoft Foundation Class Library) を選択し,右側のテンプレートから 「 MFCアプリケーショ 」 を指定する.
(3) MFC アプリケーション ウィザードに従ってスケルトン(雛形)を生成する.
・「 MFCアプリケーション ウィザード 」 はMFCアプリケーションの 雛形を自動生成するツールである.
・プロジェクト名(下の空欄)として,例えば 「 hello 」 と入力する.
(4) 作成したVisual C++ の雛形に必要なコードを追加する.
helloView クラスから「 OnDraw() 」 という名のクラスを探す.
・引数 " CDC* /*pDC*/"のコメント をはずし “ CDC* pDC ”とする
・if 文の後に, pDC->TextOutW( 0 0 ,(CString)“ Hello ) の一行を追加する.
・最初の引数の2つの" 0 "は表示する文字列の X座標と Y座標である.
(5) コンパイル(ビルド・リビルド)
・メニューの 「 ビルド 」 から 「 ソリューションのビルド 」 をクリックする.
・コンパイルエラーが表示される場合は,エラーメッセージに従って ソースコードの誤りを修正する.
(6) 作成したプログラムの実行
「メニュー 」 の 「 デバッグなしで開始 」 をクリックして,作成したプログラム を実行する.
(7) 結果の表示
  「注意」 編集するファイルは、 helloView.cpp のみ.
      他のファイルは修正しない.


ステップ1. Microsoft Visual Studio2005 を起動する

メニューの 「 ファイル 」 から 「 新規作成 」 の 「 プロジェクト 」 を指定します.
  

ステップ2. Visual C++ のMFC アプリケーションを立ち上げる

プロジェクトの種類から「 Visual C++ 」 の 「 MFC 」 (Microsoft Foundation Class Library) を選択し,右側のテンプレートから 「 MFCアプリケーション 」 を指定します.
下の欄のプロジェクト名として,例えば 「 hello 」 と入力します.



ステップ3. MFC アプリケーション ウィザードに従ってスケルトン(雛形)を生成する

[3-a]
MFCアプリケーション ウィザード 」 はMFCアプリケーションの雛形を自動生成するツールです.
このウィザードに従って,シンプルなスケルトンを生成します.

なお, 「 完了 」 を押すとデフォルトのスケルトンが生成されますが, インターフェースがやや複雑になりますので,
アプリケーションの種類 」 と 「 高度な機能 」 については,デフォルト値を変更します.
面倒でも 「
次へ> 」 を押しながらステージ毎にパラメータを設定して下さい.




[3-b]
     
アプリケーションの種類を,「 シングル ドキュメント 」 に変更した後,
     
次へ> 」をクリック (デフォルト設定を変更します)




[3-c]
    
次へ> 」をクリック (デフォルト設定)




[3-d]
    
次へ> 」をクリック (デフォルト設定)




[3-e]

次へ> 」をクリック (デフォルト設定)




[3-f]

次へ> 」をクリック (デフォルト設定)




[3-g]

チェックボックスのチェックマーク ” ” をすべて消した後,
次へ> 」をクリック
(デフォルト設定を変更します)




[3-h]

完了 」をクリック (デフォルト設定)
以上で,MFCアプリケーションの雛形(スケルトン)が完成しました.




ステップ4. Visual C++ の雛形に文字を表示するコードを追加する

[4-a]

メニューの「 表示 」から 「 ソリューション エクスプローラ 」 を指定し, 「 hello 」 プロジェクトの ファイル一覧を表示します.


[4-b]

    「 ソリューション エクスプローラ 」 の「 hello 」をクリックし,ファイル一覧を表示します.
    次に,ソースファイルの中から 「
helloView.cpp 」 をクリックして,そのソースコードを表示します.





[4-c]

     「 helloView.cpp 」 のソースコードが表示されます.




[4-d]

     「 helloView.cpp 」 のソースコードの中から,「 ChelloView::OnDraw() 」というクラスを探します.




[4-e]

ChelloView::OnDraw() 」の引数 「 CDC* /*pDC*/ 」 のコメントをはずし 「 CDC*  pDC 」 と修正します.
なお,「 if (!pDOC)  return ; 」文の後に,「 pDC-> 」と入力すると, MFC 描画用デバイスコンテキスト クラス に用意されている関数の一覧が表示されます.
この
描画用デバイスコンテキスト クラス には,文字や図形の種類,色,サイズ等を指定するための関数群が多数用意されています.

MFCライブラリの詳細については,「
メニュー欄 」 の右端にある 「 ヘルプ 」 から閲覧することができます.
「ローカルヘルプ」 と 「
オンラインヘルプ 」 がありますので,使い分けて下さい.

今回の実習の後半では,このクラスを用いてグラフや画像を表示します.
最初は戸惑うことが多いかと思いますが,とにかく慣れるように努力して下さい.





[4-f]

pDC->TextOutW(0, 0, (CString)"Hello"); 」と入力します.
なお,最初の引数の2つの "0" は表示する文字列のX座標,Y座標を表しています.
表示画面の左上が (0, 0) で,右下になるほど値が大きくなります.

ここで 「
pDC 」 の " p " はポインタを表しているので,構造体でおなじみの ” -> ” を用います.
ポインタでない場合は,通常の "
" となり,例えば 「 dc.TextOutW(0, 0, (CString)"Hello"); 」  のように記述します.



ステップ5. ソースコードのコンパイル(ビルド ・ リビルド)

    メニューの「 ビルド 」から「 ソリューションのビルド 」をクリックして,ソースコードをコンパイルします.




コンパイルエラーが表示される場合は,エラーメッセージに従ってソースコードの誤りを修正します.
エラーメッセージの内容が,ヘッダーファイル等に起因する場合は,「
ソリューションのリビルド 」 を実行します.


ステップ6. 作成したプログラムの実行

    メニュー「 デバッグ 」 の 「 デバッグなしで開始 」 をクリックして,作成したプログラムを実行します.





ステップ7. 実行結果

    実行結果の文字列 「 Hello 」 が表示されます.


表示位置や文字,色等を変えるようソースコードを修正し,その実行結果を確認して下さい.
なお,文字の色を変更するためには,
pDC->TextOutW(‥); の前に

    pDC->SetTextColor(RGB(,128, 128, 128));

を挿入します.
RGB()  のカッコ内の数値は,それぞれ,Red, Green, Blue に対応し, 0〜255 までの値を記入します.

[補足1]  作成したプロジェクトの起動方法

    作成したプロジェクト 「 hello 」 を修正する場合は, 最も上位のフォルダ内にある 「 hello.sln」 をクリックします.
   ステップ4 で説明した開発環境(エディタ画面)が起動します.





[補足2] Windows アプリケーション の実行 

Windowsのアプリケーションとして単体動作する 実行ファイル は, 「 debug 」 フォルダ内部に自動的に作られます.
なお,デバッグ等の作業が完了したら,「
release 」 モードの実行ファイルを作成します.
ビルド 」 の 「 構成マネージャ 」 を起動し,「 ソリューション構成 」 を 「 Release 」 に変更します.
実行速度が速くなり,ファイルサイズも縮小されます.





       アイコンの「 hello.exe 」 をダブルクリックすると, ステップ7 の実行結果が表示されます.





まとめ

VC++を用いて,最も簡単な文字を表示する方法を紹介しました.
表示位置や文字,色の表示に関連するソースコードに修正を加え,その実行結果を確認して下さい.


なお,VC++ の全体構造や,ソースコードのそれぞれの役割を理解することは容易ではありません.
便利なツールとして活用できればよい 」 と割り切って,とにかく慣れるよう努力して下さい.