論理回路1

・対象 : 2年生
・担当教官 : 井澤 裕司
・e-mail: yizawa@cs.shinshu-u.ac.jp

論理回路1を学ぶ目的は?

 コンピュータはもとより、ディジタル時計や電卓等、日常使用する多くの製品には
ロジック(論理)ICが組み込まれています。このようなディジタル機器のあらゆる機能は、
1と0(あるいはHighとLow)の2値だけで構成することができます。しかし、
・具体的にどのような原理に基づいて動作しているのか? また、
・どのような構造になっているのか? さらに、
・トランジスタ等の素子を無駄なく整然と組み合せ、目的とする機能を効率よく
 実現するためには、どのような手法があるのか?
 このような疑問に答えるべく、論理回路を構成する際の基本的な考え方や手法につい
て学習します。

授業の目標は?

 具体的な目標として、次の2つを考えています。
(1)コンピュータの最も基本的な原理・動作がイメージできること
(2)論理素子のレベルで、最も単純なディジタル回路(たとえばディジタル時計)の
   動作が理解できること

他の授業との関連は?

 情報工学科では、コンピュータのハードウェアからソフトウェアまで
幅広く学習するためのカリキュラムが用意されています。
 この「論理回路1」も、当然のことながら、他の授業と密接に関連しています。
その関係をわかりやすく整理するため、はじめに「コンピュータの階層構造」
について説明しておきましょう。

コンピュータの階層構造について

 あなたは、コンピュータの内部を実際に見たことがありますか?
・コンピュータのケースを開けると、まず目に付くのがマザーボードです。
 このボード(基板)の上には、複数のLSIチップが実装されています。
 (本体は黒いプラスチックやセラミックで作られ、そこから配線用のピンが出ています。)
              
・このLSIチップのパッケージをこじ開けると、虹色に光る半導体チップ
 が見えます。(実際には開けないでください。壊れてしまいます。)
              
・このチップの表面を虫眼鏡で観察すると、規則的な構造が見えるはずです。
 この部分がメモリやレジスタ、カウンタ等で、データを記憶したり、数字を
 カウントする機能をもっています。
              
・これからは光学顕微鏡が必要になります。
 このレジスタカウンタは、論理ゲートやフリップフロップと呼ばれる
 より微細な構造のもので構成されています。
              
・これ以上は電子顕微鏡が必要になります。
  論理ゲートフリップフロップは、MOSトランジスタと呼ばれる素子で
 構成されています。
              
・このMOSトランジスタは、シリコン基板の表面にリンやボロン等の
 不純物を拡散した半導体素子で、その上に配線と絶縁物が層状に
 積み重ねられています。配線にはアルミやポリシリコン、絶縁物には
 シリコンの酸化膜が用いられています。
これらの階層構造をまとめると、下の図のようになります。


                 図  コンピュータの階層構造



 

「論理回路1」について

 「論理回路1」では、トランジスタを代表とする論理素子から、その上の階層に位置する
論理ゲート、フリップフロップについて学びます。
 「なお、はじめの数週間はその準備として、2進数やブール代数等の数学的な基礎を
勉強します。
 3年前期に開講される「論理回路2」では、これらを組み合せたレジスタや
カウンタの構成法などについて、詳しく解説する予定です。
 また、2年後期の「コンピュータアーキテクチャ」、3年前期の「コンピュータ電子回路」
3年後期の「マイクロコンピュータ」では、上の階層を詳しく学習します。
 また、トランジスタより下の階層である半導体(シリコンデバイス)については、
4年前期の「コンピュータデバイス」等で詳しい解説がなされる予定です。
そのような授業の相互関係を含めて理解するよう心がけてください。。

目次

 以下のような計画で進める予定です。なお、1つの章が1コマに相当します。

 第1章 数系(その1)
 第2章 数系(その2)
 第3章 論理関数(その1)
 第4章 論理関数(その2)
 第5章 論理関数(その3)
 第6章 論理回路素子
 第7章 論理回路記号とその変換
 第8章 組合せ回路(その1)
 第9章 組合せ回路(その2)
 第10章 順序回路(その1)

参考書

 本コンテンツ「論理回路1」および「論理回路2」の内容を,2色刷りの書籍にまとめました。
参考図書として挙げておきます。
ビジュアル 論理回路入門」: 井澤裕司 著 (プレアデス出版)