線形システムのインパルス応答(離散信号)


ここでは、離散信号における線形システムのインパルス応答について解説します。
 
連続信号の場合と同様に、線形システムとは、「重ね合わせの原理」が成立するシステムです。
すなわち、2つの入力信号に対する2つの出力信号がわかっているものとします。
このとき、2つの入力信号の和を入力すると、その出力はそれぞれ個別に入力した場合の出力の和に等しくなります。
さらに、入力の大きさを2倍にすると、その出力も2倍になります。
 
この線形システムは極めて有用で、フーリエ解析をはじめとして、システムの記述が極めて容易になります。
 
図の上を見て下さい。入力に、単位インパルスという理想的な基準信号を与えます。
このときの出力をインパルスに対する応答ということで、「インパルス応答」と呼びます。
連続信号の場合と異なる点は、その波形が連続ではなく、離散的な出力信号となることです。
連続信号と同様に、このインパルス応答の波形が既知であれば、任意の入力に対する出力信号
を求めることが可能です。
図の左に示すような信号をシステムに入力します。この信号は、入力信号の信号の大きさに合わせて
変調されたインパルスと考えます。
 
入力信号を複数のインパルスの和によって表現するのも、連続系の場合と同じです。
このインパルスは、サンプリングの周期だけシフトし、時点における入力信号の大きさにより
変調されています。
 
先に述べた「重ね合せの原理」により、線形システムの出力は、それぞれの単位インパルス応答に
入力信号の大きさを掛けた信号の和によって計算することができます。
 
離散信号の場合、たたみ込みの式は積分ではなく加算の形になります。
 

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