焦国瑞 気功養生歌

かなり昔になりますが、インターネットが一般的でなかった頃、パソコン通信でNECのPC-VANで中国健身法−気功をしていたとき、「はまかぜさん」が訳してくれたものです。                                                 
はまかぜさんの言葉                                                     
辞書は使わずに意訳していますので、原文と合致しないところもあります。参考程度と考えて読んでいただければいいと思います。こういう文は歌訣とかいいますが、1行のなかにも万行の意味を含んでいる。練功を続ける中でおのずとわかってくるという、言わば、言葉であって言葉でないものだとおもいます。        

氣功養生, 法簡易行。 深入鑽研, 理趣無窮。
源流久遠, 博大精深。 医儒道釋, 武雑俗哲。
文献浩瀚, 真偽雑混。 流派衆多, 擇善而従。
精研古籍, 是為今用。 由表及里, 去偽在真。
關聨学科, 以氣為本。 氣功養生, 多科應用。

気功養生はその方法は簡単で行いやすいが、相当深く入り研鑽していってもとても尽くせないものです。発生の年代ははるか遠く、医術、儒学、道家、仏教、武道、雑学、俗説、哲学などをふくんだ 広大で奥が深いものです。文献の中では嘘とまことが混在している上に、流派もたいへん多く、そのなかから惑わされないように良いものを選んでいくことが必要です。古文献を研究してその精髄をくんで今日にその精華を活かすためは、表面的な意味から内面的な深い意味までよく玩味して誇張や嘘の部分を取り去って、まことの部分をとりださなければなりません。養生に関連することは気を中心にすえてあたらねばなりません。また多くの科目でこの気功養生学を応用することができます。                                  

尊師敬親, 重道守信。 学風要正, 治学厳謹。
学練氣功, 先学作人。 養生之道, 品徳為本。
良師引路, 益友伴行。 途多斜路, 勿入岐径。
先哲名言, 理当珍重。 青出於藍, 貴在用功。

教えをこう先生に対しては親のように尊敬して、おしえを信じて守っていかなければなりません。態度をただし、謙虚に厳しく学びます。そもそも気功を練功するにあたっては人間を作るということが先です。養生の道はまず人間としての徳をつむことが本当なんです。素晴しい先生に導かれ、仲間と皆で進んでいきます。道は険しく登り坂ですが、誤った道に入りこんではいけません。古い名言は、当を得ていて、ないがしろにはできません。練功のときに銘記することで新たな発見があることでしょう。                       

坐勢如鐘, 站勢如松, 臥勢如弓, 走勢如風。
天有三宝。 日与月星; 地有三宝, 水与火風;
人有三宝, 神与氣精。 養生之要, 貴在保精。
凝神煉氣, 煉氣生精, 煉精化氣, 陰降陽昇;
煉氣化神, 煉神還虚, 煉虚合道, 周天乃成。
煉有七三, 源流有別。 上虚下實, 培元為本。
下占七分, 上体占三; 内占七分, 外体占三;
収斂七分, 舒展占三; 内涵七分, 顕露占三;
内養七分, 外用占三。

座っての練功は寺の釣り鐘のように座ります。立った姿勢は松の木のようにします。寝て練功する姿勢は弓のように横になります。歩きながらの練功はまるで風のようです。天には太陽、月、星があり三宝といいます。大地には水と火と風の三宝があると同じように、人には、神、気、精という三宝があります。神はかみではなくて神気といったエネルギーの一種といえるかとおもいます。養生のかなめは精を蓄えることにあります。精神を集中して気を練り、気を練って精を生みます。更に精を練って気にかえます。気の中の陰の要素は下降し、陽の要素は上昇する性質があります。気を練って神にかえ、神を練って虚という状態にかえっていきます。これが、練ることで虚の状態になっていく周天というものにつながっていく過程です。            
練功には7対3の原理があります。この原理には 1、上虚下実と 2、元精、あるいは元気をつちかうという出どころの異なる2つがあります。下半身が7、上半身が3にして練功します。その他にも内面が7、外面が3。収斂7、ひろがった感じが3。内側にたまっていくもの7、外にあふれてくるもの3。というふうになります。内面で養うもの7、外面で用いられるもの3です。

練有難易, 悟真最要。
練氣容易, 伏氣最難; 練氣容易, 養氣最難;
練氣容易, 固氣最難; 練氣容易, 保精最難;
練氣容易, 調氣最難; 練氣容易, 馭神最難。

練功には難しいことがあります。練功しながら悟っていくことが重要です。気を練ることはだれでもできますが、気を潜ませたり、養ったり、体内に保持し続けたりすることはむずかしい。また、増大した精をもらさないようにしたり、気を調節したり、神をあやつるのもむずかしい。                               

氣有昇降, 又有開合。 昇中有降, 降中有昇,
有昇有降, 以降為根; 昇偏於浮, 降偏於沈,
昇多計盛, 降多下實。 開中有合, 合中有開,
有開有合, 以合為本, 開偏於用, 合偏於養,
開多則虚, 合多則實。 七三難易, 不可不察;
昇降開合, 不可倒逆。 生命之機, 在於運動。

気の運動の法則は、昇、降、開、合であらわされます。上昇、下降、放散、集中です。一見上昇の動きだけと見えても下降の動きをふくんでいます。同様に下降の中にも上昇があります。上昇の動きには必ず下降の動きがあるということです。上昇の動きが勝れば浮かんで、下降の動きが勝れば沈みます。一般に上昇は盛んになるということで感じることができ、下降は下の方が充実しくることで感じられることがおおいです。
開いていく放散の動きの中にも集中しようとする動きがあり、集中の中にも放散があります。集中が基本です。集中は養うことにつながり、拡散、放散は消費につながります。放散が勝れば、気は虚し、集中が勝れば気は充実します。7対3の原理を保つのはむずかしい。これが反対になってはいけません。また生命は運動なしにはありえません。                                                  

宇宙万物, 無物不動。 動者動動, 静者静動。
陰陽互根, 動静互用。 陰中隠陽, 陽中隠陰。
陰陽相召, 動静乃生。 氣功鍛煉, 本在陰陽。

宇宙の万物は運動していないものはありません。その内実は外見上動きのあるものは内外ともに運動していて、外見上動きのないものは内面だけが運動しているとかんがえられます。陰陽は根が同じであると同様、動と靜はお互いにもたれあっています。陰の中に陽が隠れて存在し、陽の中にも陰が隠れて存在します。
陰と陽の対応関係から動と靜の関係も生まれています。ですから気功の鍛練は陰陽の理論にその基本があるといえます。                                                       

功法雖多, 其理一焉。 知其要者, 一言而終。
不知其要, 流散無窮。 衆説紛紜, 如墜霧中。

気功の功法は数は多いが、その理そのものは一つである。その理の要点を知れば一言で言い終わってしまう。しかし、その要点を知らなければ、どれほどの言葉を並べても理を言い表すことはできず、意見続出してとどまるところを知らず、あたかも霧の中を飛行して墜落するようなものだ。                    

奇談怪論, 乱人視聽。 溯本求源, 曰陽曰陰。
陰陽対立, 相反相成。 孤陽不長, 独陰不生。
陰陽動静, 煉功之本。 動者為陽, 静者為陰。
静有法則, 動有要領。 体勢雖簡, 其理至深。

おかしなはなしや議論もありますが、さかのぼって源をもとめれば、陽と陰になります。陰陽は対立する概念ですが、相反しながら互いに依存しあっています。陰がなければ陽が生長することはありませんし、陽がなければ陰が生まれることもありません。陰と陽に対応する動と靜は練功の根本です。もちろん動は陽、靜は陰です。靜には法則があり、動には要領があります。姿勢は簡単でもその理は深いのです。          

假借之力, 雖無若有。 意景再現, 雖幻似真。
物本自在, 神乃派生。 神形互用, 是為主動。
形随意轉, 意自形生。 心意為君, 百体従命。
静中有動, 動中求静。 静松動随, 神清意静。
内静外動, 動勿過猛。 体動要随, 順勢而動。

体を動かすときに力はいれていないようでいれているのです。心に描く情景はまぼろしであっても眞にせまる情景です。形あるものの本質的なところで自在になれば「神」が派生します。意識の変化したものである神と肉体である形は、相互に補いあって用いられると自主的な動きになります。形につれて意も変化し、意から形が生まれる。心意は君主のようで全身の器官はこの命令に従います。靜の中にも動を含んでいます。また動の中に靜を求めます。靜かにゆるんでいて自由に動けば、神は清らかに意は靜となります。内面は靜で、外面は動の場合この動は激しくてはいけません。体の動きはコントロールされ姿勢に逆らわずにうごきます。                                                               

随而又管, 管勿強行。 随非不管, 切勿放縱。
動静互根, 由動返静。 外静内動, 氣息内行。 气 囚
動也微微, 氣走脈経。 水火既濟, * 五臓氤蘊 *元字は「きがまえ」の皿。意
味は同じ
如雨霧露, 百体皆潤。 吐納微微, 導氣令和。

自由に任せていながらもコントロールしますが、強くコントロールしてはいけません。自由で、コントロールしない。が、決して放縦ではありません。動と靜は根は同じもの、動からまた靜に帰ってきます。外から見ると靜であって、内面が動ということは気は呼吸とともに体内を運行しているということです。そのときの動はかすかなもので、気は経絡を走行している。五行の水と火は互いに補いあい五臓をつつみこむようにうるおします。恵みの雨、霧、や朝露のように全身をうるおします。呼吸はかすかにすることで気の動きと調和します。

動也綿綿, 引体令柔。 通調経絡, 氣帰血行。
体勢多變, 形意互用。 内動外静, 各有其法。
外動内静, 各有其因。 静多陰重, 動多陽耗。 貝
動静双亥*,不可偏用。 欲動則動, 欲静則静。*元の字は、「かいへん」に 亥

動はなめらかです。体の動きはやわらかくします。経絡内の気の運行が促進され気は本来の場所に帰り血液は流れます。体勢は何度も変化し、意と形を用います。内面の動と外面の靜には、それぞれに法則があります。外面の動と内面の靜にはそれぞれ原因があります。靜にかたよれば重くなり、動にかたよれば陽を消耗します。。動と靜はわけることができません、偏ってもちいることもできません。動こうと欲せば則ち動き、静まろうと欲すれば則ち静まると言えるのです。                                    

体勢鍛煉, 有松有緊。 松緊相兼, 切勿偏行。
緊中有松, 松而不懈。 松中有緊, 緊勿僵硬。
煉氣真髄, 本在自身。 自我鍛煉, 自養其生。
恬澹虚無, 真氣乃従。 陰平陽秘, 氣和経通。
提撃天地, 把握陰陽。 動静有道, 是謂養生。

姿勢と動作の鍛練は放鬆と緊張が同時に存在します。放鬆と緊張は片寄ってはいけません。
緊張の中にも放鬆があり、しかし放鬆であっても弛緩ではありません。放鬆の中にも緊張があり、この緊張はこわばったりかたくなってはいけないのです。練気の眞髄は本来自分自身の内にあります。自らを鍛練し、自ら養って生かすことです。あっさりと無欲であれば、真気は本来の能力を発揮します。           
陰陽が調和しているとき、気も調和して経絡も通ります。自然の規律と陰陽の原理を把握します。動と靜に道理があり、これらを養生と言います。                                          

 

ホームページに戻る