病院で行う気功

                    
 気功と聞いてそれなんですか?と聞く人はまずいません。知らない人でも太極拳というと、たいがいの人は知っています。でも、よくいわれるのは、「気」で、は〜っとするやつですか?気で人を飛ばせるんですか?とも聞かれます。多くの人のイメージでは、なんか不思議なもの、あやしげなものと思っている人もいます。そういわれると、私の方が困ってしまいます。
気功は中国でいう漢方−中国医学のひとつです。その歴史は数千年の歴史があるといわれています。気功のやり方で「八段錦」というものがありますが、これは800年前にできた比較的新しいといわれるぐらいですから・・・、
  しかし、日本に実践をともなう「気功」として登場するのは1970年代、つまりとても新しいものです。星野稔さん・津村喬さんが、日本で始めて気功の実践と普及を始めた人です。1984年から気功の普及と実践は始まり、東京と神戸にそれぞれ小さな気功のグループが、星野稔さんとと津村喬さんの下に生まれました。私が気功を学び始めたのは、その津村喬さんのグループにいた頃からです。私が気功を始めた頃は、気功が一大ブームとなるとは思いませんでした。

飛ぶ人、気功の手当について

 気功で飛ばす人をTVで見たという人が私に「飛ばせますか?」と聞く人がいました。私は、飛びたい人は飛ぶし、飛びたくない人は飛ばないと答えます。飛ばす人は大きな声でやあ!とかいったり、最初に飛ぶところを見せます。やあ!という声の勢いを身体にまともに受けてしまうと飛んでしまいます。また、飛ぶのを見ると「飛ぶものだ」と飛ぶ前に思ってしまいます(暗示)。特に、有名な気功の先生だと飛ばないと失礼だと思うと飛びます。
 誰かが優しく笑いかけると、人は思わず微笑してしまいます。別に微笑するパワーを送ったわけでもない。そのように、人と人は信号を送ったり、送られたりして、それに対してお互いに反応し合うようになっているのです。だから、飛ぶのも飛ぶという信号や勢いをまともに受け取れば飛んでしまうし、無視すれば何にもないというわけです。北京で有名な気功麻酔の先生、林 厚省さんにお目にかかったことがありますが、その先生が指導している気功は、私たちからしてもそんなに難しくない簡単な気功です。 つまり、特殊な気功を学ぶ必要はないということです。
  気功による手当は外気療法といいます。人の悪いところ、痛いところに手をかざすと、気持ち悪かったり、冷たい感じが感じられます。その感じをず〜と感じ続けると、こちらの手は温かく、元気なので、その感じが気持ち悪いところ、痛いところと出会うので、次第に温かく、元気な感じを受け取ることによって自分自身で温かくなろう、元気になろうとします。すると、痛みやこりがとれます。これが、外気療法の原理です。
 また、気功をやる人が手を動かすと、それと同じように相手の手足が同じように動くのを見たことがあるかもしれません。これは、飛ぶ原理と同じです。互いの感じがぴったりあうようにすると、つられて動いてしまうのです。動かしにくい部分は、脳から直接の命令で動かすことができませんが、「つられる」という運動はできます。そうして、動かしにくい部分を動きやすくするのです。うまく使えば、麻痺している手足を運動させ、改善させる方向も見えてきます。しかし、頑張ったり、力を入れると外気療法はできません。気功や大極拳は、力を抜くことで自分自身の中の力を総合的に発揮させることができるのです。

病院での気功
尼崎市長尾クリニックでの気功は、2003年1月から隔週で行っています。病院で気功を行っている例はとても少なく、あまり多くありません。埼玉県帯津三敬病院では癌などの治療に、開院以来、太極拳、気功、イメージ療法、呼吸法を積極的に取り入れているのはあまりにも有名です。私は1991年12月から医療機関とおつきあいを始め、高石市の総合病院では、4年半入院患者さん、特に脳血管障害の人たちの気功指導をしてきました。その後は、神戸の元町の整形クリニックで患者さんとつきあってきました。
2005年6月21日からは毎週火曜日〜木曜に非常勤として長尾クリニックに勤務することになりました。
また、大阪府高石病院には2005年6月17日から毎週金曜日に訪問することになりました。

 病院での気功は治療ということが基本になりますので、あまりきつい姿勢や、長時間の練習はできません。しかし、気功の基本は同じです。立ったり、ゆっくり動いたり、とにかく日頃の忙しいリズムから、「ゆっくりリズム」になるだけでもいいものです。肩こりの人とか、膝が痛い人、腰が痛い人などが参加されています。力を抜くこと、気持ちが落ち着くだけでも肩こりがとれます。膝や腰が痛くてまっすぐ立てない、杖がなかったら立てない、歩くのも辛い人でも、気功なら楽に30分立っていられます。そういう人たちが始めて気功にきたのに、立ててびっくりしたという人もいます。
 気功の最大の効果は、血行が良くなることです。重心が落ちますので、気功が終わった後、足裏がぴったり床に吸い付いたようになり、身体がとても安定しているのを感じることができます。
気持ちが落ち着くということは、高血圧の人にもいいということを今まで多く経験しています。あせって急いでいる人に高血圧の人が多いのではないでしょうか?
 呼吸もゆったり深くなっているのを感じる人もいます。なにより、軽いスポーツをした後のように軽く汗をかき、しかもすぐ何か始められる元気があるのが特徴です。気分もすっきりしています。
いつもは忙しく、脳から身体に命令して「無理をしているあなた」、時には自分自身の身体が何をいいたいのかを知り、自分自身と向き合い、自分自身を大切にする時間を持つことが大切ではないでしょうか?気功を長く続けている人は、生活のリズムや生活習慣が変わり、ものの考え方も変わっていく人が多いのを、私たちの心理学的調査でわかっています。

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