やっぴらんど楽しい世界史テーマ史『天使と悪魔』を読み解く≫(7)イルミナティとフリーメイソン─その2─

 イルミナティとフリーメイソン─その2─

前回のイルミナティ→フリーメイソンつながりで、今日は米国とフリーメイソンの関係について記します。
1ドル紙幣
米国の1ドル紙幣の裏側を見ると、右側にアメリカの国璽(国家を表す印章)であるアメリカワシ、そして左側には、未完成っぽいピラミッドと、頂上に当たる三角形の部分に一つの目というちょっと奇妙な図柄が描かれています。

この目は、「プロヴィデンスの目」(Eye of Providence)、「万物を見る眼」と呼ばれていて、実はこれはフリーメイソンの重要な象徴ともなっているのです。

わしこれらの2つの図柄には、「13」という数字が巧みに忍び込ませてあります。この数字は言うまでもなく、独立当初の13植民地を指します。たとえばアメリカワシの図柄では、

・ワシの頭上に輝く星の数
・ワシが左足につかんでいる矢の数(※矢は戦争の象徴)
・ワシが右足につかんでいるオリーブの葉及び実の数(※オリーブは平和の象徴)
・盾の赤と白の線の数(※青の線は連邦議会を表します)
・ワシが加えているリボンに書かれている"E Pluribus Unum"(ラテン語で多から一)の文字数

また「プロヴィデンスの目」では、

・ピラミッドの段数
・上部に書かれている"Annuit Coeptis"(ラテン語で「神はわれらの企てにくみしたまえり)の文字数
・下部のリボンに書かれている"Novus Ordo Seclorm"(ラテン語で「時代の新秩序」)の文字数

プロヴィデンスの目これらは全部「13」になっていますね。ちょっとコダワリ過ぎと思うくらい「13」のオンパレードです。

「目」の下にあるピラミッドですが、フリーメイソンのルーツが石工だったとすれば、彼らの理想的な建築物はピラミッドだったのだろうという説明も成り立ちます。それは、フリーメイソン的に言えば、生涯を通じて築き上げるべき聖なる神殿であるという見方もできます。

ちなみに、ピラミッド最下段のローマ数字"MDCCLXXVI"は、米国独立宣言が出された「1776年」を意味しますが、実は同じ年に、ドイツでイルミナティが設立されているのです。独立宣言が発表された7月4日の約2ヶ月前、5月1日のことです。イルミナティとフリーメイソンとの関わりを説く人たちにとっては、1776年は、そっちの意味で大切な年だと言えるようです。

「プロヴィデンスの目」は、フリーメイソンにとってどんな意味を象徴しているのでしょうか。フリーメイソンが好んで使う図柄に「コンパス」と「G」という文字もあります。「G」とは「God」(神)ではなく、"Great Architect of the Universe"つまり「宇宙の偉大な建築者」の頭文字です。特定の神を信仰するものでないメイソンの思想を表しています。「プロヴィデンスの目」は、この「宇宙の偉大な建築者」の「目」なのです。宇宙全体を見通す普遍の目。

当たり前のことですが、一般に、宗教を信ずる人は、その宗教が信奉する神しか信じません。自分たちの神以外の存在は認めようとしないのです。キリスト教徒の信ずる「神」はイスラム教徒が「アッラー」と呼ぶ神とはチガウのです(もともとは同じ神だったはずですが)。しかし、フリーメイソンの考える「神」はそんな狭小な考えとは一線を画しています。だからこそ、フリーメイソンは厳格な宗教者にとっては得体のしれない存在だったのです。カトリックも表向きはフリーメイソンを認めていませんし(実はカトリック系のフリーメイソンは多いらしいですが)、フリーメイソンを「陰謀」に関わる「秘密結社」と見る向きは、どうもこんな宗教観に起因するのではないかと思っています。

米国史を代表するフリーメイソンと言えば、米国独立に陰ながら大きな功績を残したベンジャミン・フランクリンを挙げる人が多いのではないでしょうか。彼は避雷針を発明した科学者としても知られていますが、そのあたりにもフリーメイソンっぽさが見えます。フランクリンは、英国から独立を勝ち取るために、英国のライバル、フランスの支持を取り付けるのに奔走するのですが、その時にフリーメイソンの人脈を巧みに利用しています。

また、初代大統領となるジョージ・ワシントンもまたフリーメイソンでした。米国を代表する建築物にもフリーメイソンが色濃く関わっています。ホワイトハウスの設計者も、自由の女神やワシントン記念塔の制作者もみんなフリーメイソンです。ワシントン記念塔は、エジプトのオベリスクの形をしています(高さ166m)が、これもまたエジプトと密接なつながりのあるフリーメイソンらしいと言えます。

米国の国璽は、ベンジャミン・フランクリン、トーマス・ジェファーソン(独立宣言起草者)、ジョン・アダムス(第2代大統領)の3人が作ったものですが、それが1ドル紙幣の裏側にデザインされるようになったのは1935年が最初だと言われています。

米国という国を、文字通り作りあげてきたフリーメイソン精神は、果たして今も生きていると言えるのでしょうか?

2006-08-27