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 ローマ教皇─その2─

ローマ教皇の名前は、現教皇ベネディクトゥス(ベネディクト)16世のように、「ナントカ○世」という呼び名がほとんどです。これは、世俗の君主と同じで、同じ名前の君主・教皇が以前にもいたということを表します。日本でいえば、「家康2世」とか「吉宗3世」みたいな感じになるのでしょうか。「○世」というのは、漢字の組み合わせでほぼ無限に新しい名前を生み出せる日本では考えられないのかもしれません。

今までで一番多く使われた教皇名は「ヨハネス(ヨハネ)」です。英語でいうと、「ジョン」。これまで、第261代ヨハネス23世(在位1958〜63)まで、23名の教皇がヨハネスを名乗りました。と思いきや、実際には22人しかいない! 不思議なことに、「ヨハネス20世」という教皇は存在しないのです。第144代ヨハネス19世(在位1024〜32)の次は、第187代ヨハネス21世(在位1276〜77)。21世がなぜ「20世」を飛ばしてしまったのかはいまだに謎とされています。

ついでながら、ヨハネス19世というのは、「ドレミ」の元祖ギドー・ダレッツオを保護した教皇です。

なお、「ヨハネス」という名前については、第263代ヨハネス・パウルス1世(在位1978)及び先代の第264代ヨハネス・パウルス2世(在位1978〜2005)の2人の教皇も使っています。ヨハネスとパウルス、ダブルの聖人名を用いた名前は、歴史上初めてでした。ちなみに、「パウルス」の方は6人います。

ヨハネに次いで多いのがグレゴリウス。16人いますが、第254代グレゴリウス16世(在位1831〜46)以降使われていません。そして、ベネディクトゥスも、現教皇が用いたことで16世となり、グレゴリウスと並ぶことになりました。その他、頻度の高い名前を挙げると、クレメンスが14人、レオ及びインノケンティウスが13人、ピウスが12人、ステファヌスが10人と続きます。

こうした「人気のある」名前と反対に、1人だけ、1回限りの教皇名は43種類あります。率にして16%。しかも、それらはすべて12世紀までに集中しており、ここ900年間ほどの教皇は、すべて聖人の名前を踏襲しています。

いかにも現代的で面白いのは、現教皇の名前を用いたドメイン"BenedictXVI.com"(ベネディクトゥス16世)が、彼がローマ教皇職に就くと発表される2週間以上も前に、すでにある米国人によって取得されていたというエピソード。その人は、次期教皇の名前を予想して、"ClementXV.com"(クレメンス15世)、"InnocentXIV.com"(インノケンティウス14世)、"LeoXIV.com"(レオ14世)、"PaulVII.com"(パウロ7世)、"PiusXII.com"(ピウス12世)と"BenedictXVI.com"を合わせて6つものドメインを予め取得していたというのだからあきれます。いずれも、比較的これまで使用頻度の高い名前を選んでいるのは、研究のたまものでしょうか。もっとも、"JohnPaulIII.com"(ヨハネ・パウロ3世)や"JohnXXIV.com"(ヨハネ24世)などは彼の前に既に取得されていたとか。それにしても、そんなドメインとってどうするの?と思いますけどね…。ちなみに、現在、http://www.BenedictXVI.comをクリックしても、別のアドレスに飛ばされてしまうようです。

2006-08-04