やっぴらんど楽しい世界史テーマ史「由来・起源」シリーズ≫ドレミの話

 ドレミの話

ピアノの鍵盤を見ると、1オクターブに白い鍵盤が7個、黒い鍵盤が5個並んでいます。つまり合わせて12個の音階で1オクターブとなるのですが、これを12平均律と呼び、19世紀以降広く使われるようになりました。このうち、白い鍵盤にあたる7個の音にはそれぞれ「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という音階名がつけられています。

以前、「トリビアの泉」で「ドレミ」の「シ」の発音は、英語圏では「ティ」と発音するというトリビアが紹介されていました。映画「サウンド・オブ・ミュージック」で歌われている「ドレミの歌」の歌詞はこうです。

 Doe, a deer, a female deer
 Ray, a drop of golden sun
 Me, a name I call myself
 Far, a long long way to run
 Sew, a needle pulling thread
 La, a note to follow sew
 Tea, I drink with jam and bread

ドはドーナツじゃなくて牝鹿です。レ(レイ)はレモンじゃなくて「太陽の光」、ミは「みんなのミ」ではなくて、単なる"me"、ファは「ファイト」でもいいけど、走ったら遠い"far"、ソは「青い空」の方が絶対いいと思いますが、「縫う」だなんて。ラときたら、「ラッパ」どころか「ソの次」でしかない。そしてティは「てぃあわせよ」ではもちろんなくて「ジャムとパンと一緒に飲むティー」。

でも、もともとの「ドレミ」では、「シ」はやっぱり「シ」だったみたいです。

ドレミの音階が定められたのは、今から1000年ほど前の中世イタリア。ギドー・ダレッツオという修道士が、教会で歌う「聖ヨハネ(バプテスマのヨハネ=イエスに洗礼を授けた聖人)賛歌」を指導する際、各小節の歌い出しの音が一音ずつ上がっていくので、それぞれの音に歌詞の最初の文字をあてはめて呼んだことに由来します。つまり、

 Ut queant laxis
 Resonare fibris
 Mira gestorum
 Famili tuorum
 Solve Polluti
 Labii reatum
 Sancte Johannes(Iohannes)

当時の共通語だったラテン語ですね。最初の音を拾っていくと、「Ut・Re・Mi・Fa・Sol・La…」。ん?「ド」と「シ」がないぞ。

実は、最初の"Ut"という音が発音しにくいという理由で、いつのまにか"Dominus"(ドミヌス=支配者)の音をとって、"Do"(ド)に変更されたらしい。ただし、今でもフランスではなぜか「ド」じゃなくて「ウト」と呼ぶんだそうです。

また、「シ」は、17世紀頃になって新たに付け加えられた音で、「聖ヨハネ賛歌」7行目の"Sancte Iohannes"(聖ヨハネ)の頭文字をとって「Si」と呼ばれるようになりました。だから、「シ」はもともと、やっぱり「シ」だったのです。

05/11/18