やっぴらんど楽しい世界史テーマ史「由来・起源」シリーズ

 クリスマスの意味

もうすぐクリスマスです。

クリスチャンでもないのに、クリスマスなんかカンケーねーや、と思っている方もいると思いますが、そもそもクリスマスってキリスト教とはあまりカンケーないところに起源があるのです。

"Christmas"の語源は"Cristes masse"(クリーステス・マッセ)。クリーテスはもちろんキリスト、マッセというのは、「ミサ」(聖餐式)のことです。「キリスト」という言葉は、イエスの苗字、ではなくて、ギリシア語の"Χριστοs"(クリーストス)つまり「油を注がれた者」という普通名詞なのです。「お釈迦様」を表す「仏陀」(ブッダ)という言葉が、「悟りを開いた者」という意味であるのとよく似ています。

「油を注がれた者」というのは、現在のイスラエルにあった古代ヘブライ王国の習慣で、王の即位の際に頭に油を注いだことからきています。つまり、「油を注がれた者」というのはユダヤ人の王を意味するのです。今から2,000年前、ローマの支配下にあったユダヤ人たちは、自分たちを救うために神が遣わす救世主として「油を注がれた者」=メシアを待望するようになっていました。「クリーストス」は、そのギリシア語訳というわけです。

ですから、「クリスマス」という言葉の本来の意味は、救世主を讃える聖餐式、ということになるのですが、いつのまにか「救世主」の誕生を祝う「救世主降誕祭」となっていきます。これはどういうわけなのでしょう?

「クリスマスの日」とされる12月25日は、冬至の前後にあたります。この日から太陽が力を取り戻す(昼が長くなる)というわけで、古くから豊饒祭、収穫祭など太陽の復活を祝う祭りが各地で行われていました。そこに関わってくるのが「ミトラ教」です。

ミトラ教とは、インドから中央アジアを起源とする古代宗教で、光の神ミトラ神を最高神とします。ローマのポンペイウスの小アジア遠征をきっかけにミトラ教がローマに伝わり、男性的で倫理的な特徴から、軍人の間に急速に広まっていきます。実は、そのミトラ神の「誕生日」とされたのが12月25日だったのです。太陽の象徴として崇められたミトラ神の誕生日が、太陽の復活の日である冬至の日に設定されたのは当然といえば当然だったのかもしれません。

しかし、当初ローマ帝国領内で迫害されていたキリスト教が4世紀になると公認宗教からついには国教になり、ミトラ神は「異教」とされてしまいます。当時のキリスト教は、布教のために「異教」の信仰や習慣を認める方針でしたから、ミトラ神の誕生を祝う祭りもそのまま「イエスの誕生日」として祝うようになりました。これが「救世主降誕祭」つまりクリスマスの始まりです。

クリスマスは、キリスト教が拡大する中で、「異教」の風習を「乗っ取って」作られた祭りであるといえます。

05/12/21