やっぴらんどミステリィなAOMORI≫#11 高山稲荷

高山稲荷

■稲荷神社

朝日新聞(2007年2月22日付け)に、全国の神社をまつられているカミサマ(祭神)ごとに分類した結果が載っていました。それによると、全国で最も多くまつられているカミサマは「八幡さま」(7,817)、2位が「お伊勢さん」(4,425)、3位が「天神さま」(3,953)なのだそうです。

で、続く4位にランクインしているのが「稲荷神社」です。全国に2,970のお稲荷様があるのだそうです。お稲荷様は、土着型の氏神信仰の代表と言えるでしょう。

青森県内にももちろん多くの「稲荷神社」があります。青森県神社庁のサイトで数えてみたら、県内737神社のうち、「稲荷神社」は144社。神社のうちおよそ2割弱が稲荷神社だということになります。地区別の数を拾ってみると、稲荷神社は津軽地方に多く、南部地方に少ないということもわかりました。特に、南部地方の八戸市には稲荷神社がゼロというのも驚きです。

■高山稲荷神社の朱色の鳥居

県内の稲荷神社の中でも特に有名なのが、旧車力村(現五所川原市)にある高山稲荷神社です。津軽半島の西側、七里長浜という名前のとおり長い砂浜が続く海岸を望む場所にある大きな神社です。全国稲荷神社の総本山である京都の伏見稲荷神社と同じ稲荷大神を御祭神としています。

高山稲荷といえば、赤い鳥居がうねうねと立ち並ぶ光景。見るたびに、異次元にでも迷い込んだかのような錯覚に陥ります。神社のイメージって、なんとなく鬱蒼とした森に囲まれているイメージがありますが、高山稲荷は、「開けている」のです。池や木々を配置した日本庭園があり、その間を縫うように朱色の鳥居が立ち並んでいます。ひっそりしているのはちがいないのですが、開けているぶん、逆に薄気味悪さも感じます。

数えてみたら200本ほどあった小さめの朱の鳥居をくぐり抜けると、そこにはずらりとキツネが鎮座しております。あちこちの稲荷神社でお役ご免となったキツネたち。お稲荷様って、キツネのことだと思われていますが、実はキツネは神社を守る「狛犬」の代わりなのですね。だから全部対になっています。口には玉や巻物などいろんな物をくわえています。中には目つきの悪ーいキツネもいました。

■なんでもかなえてくれるカミサマ

「稲荷」とは「稲成り」から来ていると言われ、文字通り、稲作の神様です。仏教・真言宗の東寺が、元々はヒンドゥー教の農業神であるダーキニー(真言密教で荼枳尼天=だきにてん)と習合させ、真言宗の布教とともに全国に広めたのだとか。仏教はかつてそんなふうに「カミサマ」の民間信仰と自然に融合していたのですね。ダーキニーの乗り物がキツネだったことから、キツネが稲荷神の使いとされるようになったのだとか。「キツネうどん」とは油揚げが載っかったうどんですが、キツネが元々油揚げが好きだったのか、それともお稲荷様に捧げていた「稲荷寿司」が油揚げで米をくるんでいたものだったからなのか、真相はわかりませんが、稲荷神社の供え物は油揚げや稲荷寿司と相場は決まっているようです。

高山稲荷神社の起源は明確ではないようです。この地に開拓民が入ったのは江戸時代と言われていますが、もっと以前、中世の安東氏の創建であるとも伝えられています。ほかの多くの稲荷神社と同じように、長い年月の間に、本来の稲のカミサマ、農業のカミサマだけでなく、海運や商売繁盛、病気平癒、家内安全など、願い事ならなんでもかんでもかなえてくれるカミサマがまつられる神社となっていったようです。

地元の人たちにとっては、なくてはならない信仰の場所。境内で一心に祈っているお年寄りの姿を見ていると、日本人は無宗教、って言われるのもどうなのかなーと考えてしまいますね。

2007-02-22