H25.4.27〜4.29 燕岳

山の会9人の仲間と、北アルプスの人気の山、「燕岳」に登ってきた。コースは、中房温泉からの一般的な合戦尾根であるが、北アルプスの三大急登と言われる。この時期、北アルプスは、やっと山小屋も営業開始したところで、冬山だ。稀にみる天気と言わるほどの最高の天候に恵まれ、雪に覆われた北アルプスの美しい山々の姿に堪能してきた。

山名は、春の雪形が燕に似ていることからのようである。なぜ「つばめだけ」と言わないで「つばくろだけ」なのか。ちょっと調べてみた。昔から「つばめ」は、「つばくらめ」と言われていて、それが略され「つばくら」となり、音変化して「つばくろ」となっているようだ。関係ないが、ヤクルトスワローズのマスコットは「つば九郎」だ。


4月27日() 1日目

東京から6人、名古屋から3人のメンバーが、中房温泉に集合。名古屋を出発した時から、安曇野の街までは、晴れていたが、中房温泉に近づくにつれてみぞれが、そして雪に変わった。この時期下界では春であるが、山はまだ冬。

中房温泉は、「日本アルプスの中腹、海抜1,462メートルの燕岳登山口にある中房温泉は、文政4年に開湯し、山深き谷あいの出で湯として名高く、昔からの湯治場の良き面影を残しながら現在に至ります。」(中房温泉HP)と、あるように、歴史も古く、その名残が残っている。

いくつもの源泉が付近一帯にあって、好きなところに入ることができる。このような山奥の秘湯と昔ながらの建物(本館)が、またうれしい。小生が、これまで行ったことのある温泉の中では、最高部類の温泉だ。中房温泉は、新田次郎の「孤高の人」や「単独行」にもしばしば登場するが、加藤文太郎もここに宿泊したのだなと思うと、胸が熱くなる。


中房温泉本館玄関

 

部屋の窓から大湯

 

4月28日() 2日目

前日の天気と打って変わって、朝から快晴だ。準備を整えて、7時50分に登山口を出発。いきなり急登が待ち受けている。第1ベンチ手前から雪が現れてきたので、アイゼンを装着。第1ベンチ8時30分到着。この先、第2ベンチ、第3ベンチ、富士見ベンチ、合戦小屋と休憩ポイントがあって、登りやすくしてくれている。

第2ベンチへは、9時10分。第3ベンチへは、9時45分。富士見ベンチへは、10時30分、そして合戦小屋へは11時30分到着。標高2000mを超える第3ベンチ付近から大天井岳付近の稜線が見えてくる。やがて槍が見えてくる。白く覆われた山々と青い空とのスカイラインが際立つ。合戦小屋で昼食。昼前多くの人でにぎわっていた。

 

第2ベンチ

 
第3ベンチ


富士見ベンチ

 
雪に埋もれた合戦小屋


にぎわう合戦小屋

 
合戦小屋の由来

燕山荘には、13時30分到着。受付を後にして、まずは燕岳頂上を目指した。ここ山荘から約1km30分の距離だ。途中イルカ岩と呼ばれる岩もあって楽しませてくれる。頂上到着14時5分。雲一つない快晴の中、北アルプスの山々が素晴らしい姿を見せてくれた。

南西方面は、東鎌尾根、西鎌尾根、北鎌尾根と裾を広げて堂々とした槍ヶ岳、並んで穂高連峰、少し遠くに笠ヶ岳、北側には、剱岳、やや右に双耳峰鹿島槍ヶ岳、さらに遠くには、妙高山方面、南東側には南アルプスの山々が一望だ。夏山と違うところは、山が白いこと、当たり前の話ではあるが、素晴らしいの一言に尽きる。

メンバーと写真を撮り合って、登頂したことの喜びをかみしめて山荘に戻った。山荘到着14時30分。 


燕山荘から燕岳

 
頂上標識


燕岳頂上から槍ヶ岳

 
燕岳頂上から鹿島槍ヶ岳

受付を済ませて、19時の夕食まで山荘内で談笑。本日の素晴らしい登頂のことやこれからの計画等に、話は尽きなかった。

それにしても、ここの燕山荘は収容人数600人であるが、本日300人程度は入っていただろうか。山荘主催の雪山教室などもあって、全国各地から来ている。北アルプスの入門コースと言われているが、この季節でこれほどの人が登ってきているとは思わなかった。

夕食のとき、山荘のご主人から、ここはまだ冬山であること、しかし本日のような天気のいい日は、今の季節一番雪が多く、素晴らしい眺めであること、その他、留意しなければならないこと等のお話をいただいた。そして、ここの名物である「アルプスホルン」の演奏だ。生で聴くのは初めてである。本場のアルプスから持って帰ったものだそうだ。
 
 
アルプスホルンを演奏する燕山荘のご主人

4月29日() 3日目

日の出前に起床し、外に出てみた。ぐずぐずしている間に、ご来光を拝むことができなかったが、赤く染まる北アルプスの山々を楽しんだ。昨日のような快晴とまでは言えないが、澄んだ空気の中、富士山も遠望できた。気温は氷点下の世界だ。


朝日を浴びる燕岳

 
朝日を浴びる槍ヶ岳

さて、本日は下山のみの予定だ。7時35分出発。山荘から30分程度下ったところで、滑落停止の練習を行った。大学山岳部OBのSさん、Nさん、Yさんから、ピッケルを初めて買ったSNちゃんを中心にご指導をいただいた。


出発前の燕山荘

 
滑落停止の練習

8時15分、合戦小屋到着。お湯を沸かしてティータイムにした。約20分程度休憩。雪道の下りは早い。登山口到着は、10時15分だった。滑落停止の練習やティータイムを取ったにも関わらず、下山時間は2時間40分だった。中房温泉の立ち寄り湯「湯原の湯」で汗を流して昼食。今回の山旅を締めくくった。

前回3月の山の会「北八ヶ岳」に引き続き、素晴らしい天候とメンバーに恵まれ、またまた今回も楽しい山旅ができた。温泉も最高。北アルプスもこれ以上ないと思われる最高の姿を眺めることができて幸せに思う。