石鎚山・剣山(H23.5.2〜5.4)

四国の名峰、石鎚山と剣山へ登ってきた。岡山への帰省と大学時代のサークル仲間9人との同窓会も予定されていたので、この時期ほとんど雪のない四国を選んだということだ。

5/2(月)石鎚山

名古屋から西へ向かう一番の新幹線(6:20)で出かけた。岡山で特急「しおかぜ3号」に乗り継いで、伊予西条で下車。4分の待ち合わせで、石鎚山ロープウェイ方面行のバスがある。電車はほぼ時刻通り到着したので、スムーズに乗り換えできた。本日の予定は、山頂山荘泊だから、1日3本のうちのこのバスに乗り遅れると、すべて予定が狂ってしまう。(バス下車11:17)

バスを降りて、ロープウェイ乗り場へ直行。一般的にはロープウェイを使って「成就社」から登り始めるが、バスに乗り合わせた単独女性は、一つ前の停留所で下車して、「今宮登山道」を登るようだ。そこからは、頂上まで約6時間、ロープウェイを利用する道の2倍の時間を要する。「山ガール」でなく、「登る女?」も最近多い。

約7分間ロープウェイに乗って、800m以上の標高差を稼ぐ。ロープウェイを降り、30分ほど登ったところに、登山口となる「石鎚神社中宮成就社」がある。安全祈願を行い、登山届を提出して、いざ山門をくぐって登り始めた。(12:10)

登山道は下って始まる。約1km八丁坂と呼ばれるブナ林を下っていくと、やがて視界が開けて、石鎚山を仰ぎ見ることができる。頂上付近は、雪が縞模様となって点々と残っている。5月の四国の山でも残雪があるということで、今年の雪の量をはかり知ることができる。

登山道は、よく整備されている。登山口から約50分登って「試の鎖」に到着(12:57)。この鎖は、さらに先にある本鎖の練習場とか。しかし48mの鎖場で、ここを一旦登って、さらに下りも鎖場となっているようだ。この鎖は登山用ではなく、あくまでも石鎚の山岳信仰のために掛けられた鎖のようで、鎖の輪の中に足を入れるようにできた大きな鎖だ。登山靴では少し難しい。迷わず巻道を選択した。


    
        夜明け峠から石鎚山                 試の鎖


試の鎖を巻いて、さらに25分程度登ると、夜明峠にさしかかる。ここは、まだ山頂までの道が整備されていなかった頃、夜明けを待って頂上を目指したところから、名前が付いたとのこと。山頂が迫ってくるところだ。 

さらに30分程登って、土小屋ルートと合流した先の「二の鎖小屋」に到着(13:50)。一息入れる。「二の鎖」に取りつくまでに雪が多く、歩きにくいので、リスクを避けて巻道の一般道を選択した。果敢に挑戦する人もいたが、ほとんどの人は巻道だ。70mの鎖であり、難易度は高い。 

このあたりから登山道も残雪が多く、数か所シャーベット状になった雪の上を歩く。「三の鎖」もパスして一般道を歩いた。山頂弥山に到着したのは、14時20分だった。


         弥山から天狗岳                   天狗岳から弥山


頂上を弥山としているが、実は弥山から目と鼻の先に見えている「天狗嶽」の方が10mほど高い。天狗嶽が西日本の最高峰だ。ここへ行くには、ナイフリッジになった危険な場所を通る。弥山まで登ってきても「天狗嶽」まで行く人は、半分もいないだろうか。

ところで、昨年登った大峰山も2番目の山頂が弥山だった。大山も2番目の頂上が弥山だった。そしてこの石鎚山を開山したのも、大峰山を開山した「役小角」で修験道の山だ。

ザックをデポして天狗嶽まで行ってみた。十分注意して歩けば、行けない道ではなかったが、両方が切り落ちていて、一歩間違えると命の保証がない。1982m、西日本の最高峰に立った(14:45)。天狗嶽頂上は、2〜3人がやっと立てるくらいのスペースしかない。すぐに弥山に引き返した。弥山から往復約30分だった。

天気はいいのだが、黄砂の影響であまり見晴らしはよくない。見晴らしが良ければ、松山方面、西条方面、瀬戸内海も見られるそうであるが残念だ。しかしながら、幾重にも重なる四国の山々を眺めていて飽きない。そして登ってきた登山道を見下ろして頂上に立った達成感を強く感じる。


         弥山から東方面                   黄砂の中沈む夕日


頂上山荘のチェックインを済ませ、一人ビールで打ち上げた。頂上山荘は、石鎚神社が運営している山小屋で、17時の夕拝と朝6時の朝拝があり、強制ではないが宿泊者も参加する。17時に山頂社の神殿前に集まった。命(みこと)の写しが配られ、参加者全員が、神職の方と一緒に「恐み(かしこみ)恐み(かしこみ)…」と唱和する。法事等でお経は唱和するが、神社の命の唱和は初めての経験だった。 

本日は、名古屋の自宅を出発して石鎚山山頂まで登ってきた。朝が早かったので、夕食後早めに床に就いた。

 

5/3(火)

本日は、ここ石鎚山頂から下山して、剣山の麓の民宿まで移動する予定を組んでいた。山の一日は朝が早い。夜明け前からご来光を拝むために早起きする人が多い。この日は、あいにく曇っていたためご来光を拝むことはできなかった。

ロープウェイ前9時12分のバスに乗るため、6時に出発することにしていた。朝食は、6時30分のため、前日に準備してもらったおにぎりをいただき出発した。同じく宿泊されていた静岡から来ていた方もそのバスに乗りたいということで、同行することとなった。

気温は、7〜8℃といったところか、下山を始めてすぐのところに、前日シャーペット状だった雪が固くなっていて、アイゼンしなくても通過できそうであったが、深い谷の横を通過するため、安全策をとってアイゼンを装着した。

途中金網の場所もあってアイゼンだと歩きにくいところもあるが、「二の鎖小屋」まで装着した。まさか、5月の四国の山でアイゼンが必要になるとは思わなかったが、前日山小屋へ電話で問い合わせて、状況を聞いてザックにアイゼンを追加したのだ。

「成就社」7時45分に到着。無事に登山できたことの御礼をしてロープウェイ乗り場に向かった。(ロープウェイ乗り場8:30

9時12分発のバスに乗り伊予西条へ。そして多度津経由阿波池田へと電車で移動。13時頃阿波池田に到着。予約していたレンタカーを借りて剣山に向かった。国道438号線は、もちろん山道であり、走行しにくい狭くなったところも多い。到着前から天気予報のとおり小雨が降ってきた。

16時頃本日の宿見ノ越に到着。(標高1420m)到着後、すぐに風呂を浴びて、17時前から食事の準備ができているというので、夕食を済ませ、本日も朝が早かったので、早めに寝ることとした。

 

5/4(水)剣山

日の登る前には起きていた。6時頃から朝食をいただき、7時前には出発した。この山も石鎚山と同じく山岳信仰の山だ。まずは剣神社に安全祈願して登り始める。

30分ほど登ったところに、リフトの終点西島駅がある。この時間はまだ営業していない。小休止。ここから頂上までは3つのルートがあるが、大剣神社経由で登ることにしていた。約20分で大剣神社に到着。登山口から1時間程度のところだ。

そこからさらに20分登ると頂上に到着(8:20)。剣山は名前から想像すると、険しい山の印象があるが、頂上は広くなだらかな山だ。頂上付近は木道が巡らされていて、植物を荒らされないように配慮されている。民宿で一緒だった島根から来ていた人とほぼ同じルートのため、声をかけてお互いに頂上写真をカメラに収めた。


          剣山山頂                      なだらかな山頂

剣山の名前の由来を調べてみた。源平の合戦で身を投じた安徳天皇の御剣を頂上に納めたところから「剣山」の名があるとのこと。北アルプスの剣岳のイメージはない。穏やかな山だ。

次の目的地「次郎笈(ジロウギュウ)」を目指した。一旦100m程度下って登り返すが、尾根道の気持ちのいい道だ。これから歩く道、これまで歩いた道が前後に線となって描かれ、左と右に谷を見下ろすロケーションの中を自由気ままに歩く。幸せな気分になる。


       次郎笈から見た剣山


「次郎笈」に到着したのは、9時10分。剣山の頂上から約40分だ。また島根から来た方と出会い、熱いコーヒーをごちそうになった。おいしかった。次郎笈から西島駅を経由して見ノ越へ下山。11時前だった。お世話になった民宿で昼食をとり。レンタカーで阿波池田に戻ってきた。そして特急「南風号」で岡山に帰ってきて今回の山旅は終わった。

今回は四国の名峰2つを訪ねた。どちらも名峰と言われるだけあって素晴らしい山だ。切り立った石鎚山となだらかな剣山、タイプは違うが、どちらも信仰の山として、千数百年前から崇められ、親しまれてきた山だ。四国の山も期待を裏切らなかった。山の魅力(引き付ける力)と魔力(不思議な力)を感じる山旅だった。


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