当初 1997/6/29
加筆 1999/8/16
加筆 2007/9/7
朝日連峰への入山コースは大別して7コースある。これらのコースガイドについては、市販のマップやガイドブックを参照されたい。
小生は少々視点を変えて、ドロ臭いことを紹介します。
残雪の祝瓶山
真夏に北アルプスに登ると、人人人の行列で、いささかうんざりする。標高2千mにも達しないが、朝日連峰は実に静かだ。その中でも小国口は、最も静かなコースである。
この静かさを我々だけの’知る人ぞ知るコース’として残しておきたいので、実は「そっと」しておきたい。
しかし、毎年登山道の草刈をして道の整備をしているが、張り合いを持ってコースの整備をするためにも、もう少し入山者を増やし、地域の活性化を促し、地元の人々も山に目を向けて欲しい。矛盾を承知でこのページを開いた。
麓の小国町では、飯豊連峰と朝日連峰を抱え、うらやましいほどの自然を武器に「自然と調和のとれた地域振興策」に取り組んでいる。
小国町の「白い森構想」はそれを代表する施策だ。
是非一度ご来町を〃
(井上邦彦氏のホームページに、町のことや飯豊連峰のことは詳しく紹介されているのでアクセスして下さい。)
ブナの森の登山道(白い森の小道)
プロローグ
JR小口駅より「りふれ」行き町営バスに乗り、バスの終点(朝日平:五味沢)から林道終点まで8km。徳網集落までは、アスファルト舗装道路(4km)。徳網から1時間で林道終点。(ふもとの宿に宿泊すると、林道終点までマイカーで送ってくれる。又予約をしておくと下山の折り、林道終点まで車で迎えに来てもらえるかも知れない?。要予約)
大石橋の吊り橋で荒川を渡るとブナの樹下。15分で祝瓶山の登り口を分ける。このあたりからはブナの原生林。
再び吊り橋で荒川を渡ると、太古から営々と営まれているブナの森が、森林限界まで長々と続く。
(この吊り橋はつい近年まではワイヤーロープ一本に細い丸太がぶら下がっている心許ない橋でした。それを1997年に立派な吊り橋に架け替えをしました。)
小国の吊り橋
下の写真をご覧あれ。
上高地の河童橋と比べてはいけない。此処は日本でも有数の豪雪地帯。冬の雪の重みに耐える橋として、生活の中から遠い祖先が考え出した「ワイヤー1っ本の丸太吊り下げ型吊り橋」を原型にした苦心作。
踏み板は丸太1本か足場板1枚。ドキドキする橋。
橋を渡ると実にすばらしい森である。森の道は風倒木を時々迂回しながら、延々と延びている。
「白神の森」に勝るとも劣らぬ朝日のブナの森である。ピークハンターの人もここは時間を充分掛けて歩いて欲しい。梢からの木漏れ日に透かして見れば、小鳥達の姿やさえずりが聞こえる。
3つ目の吊り橋を渡ると「角楢小屋」に到着。ここまで林道終点から1時間。時間があればここを初日の宿にするのも良い。釣り客と同宿となればイワナの骨酒も飲める。
角楢小屋から大玉沢出会いまでの40分はずっと平坦な道が続く。延々とブナの樹下。しばし、バードウォッチング。
大玉沢の冷水(吊り橋のたもとに冷たい細い一筋の清水あり)で一息ついたら、さあ出発!!大玉沢を渡ると急登が待っている。1時間は我慢比べ。重装備でも2時間登ると「蛇引きの清水」。この登りは本当につらい。
☆ 登山に登山靴を履くのは一般的。ここでは必ずしもそうとは言えない。山菜取りのおじさんやおばさんが履いている、スパイク地下足袋をはいたら登山靴はもう履けない。急斜面にスパイクが食い込みスリップの心配がないし、足に懸かる負担が驚くほど軽減される。
二本目 しらぶ の吊り橋 | 三本目 角楢 の吊り橋 | 落葉の角楢小屋 | 四本目 大玉沢 の吊り橋 |
「石割の松」
20分ほど登ると息が苦しくなり休み虫がうずいてくる。丁度そのころ休むのに良い地点がある。前面に大きな岩が登山道を立ち塞いで、その岩をぶち割るように見事な松の木の直幹が生えている。ここで荷物の不具合を整理して肩の調子を整えよう。
さらに20分ほど登ると休息点がある。ここで1本付けたらひたすらひたすら登ろう。
どこまで登ってもブナと松の樹下である。疲れたなら、沢から吹き上げる心地よい涼風を胸一杯に吹き入れ、木の間越しの県境の稜線に目をやりじっくり登ろう。真夏でもブナの木々が直射日光を遮り、立ち止まればいつでも涼しい気持ちにしてくれる。
右手に「蛇引きの清水」を示す小さい看板が見えたら、左斜面の踏み跡を1分降ると冷たい清水が飲める。
この登山道唯一の水場。夏でも水温5度C。テントは2張り張れる。夏場にここの清水で、ソーメンを食べれば極楽極楽。
初日の宿を此処にするのも良い。木の間越しに満天の星空。車の音は聞こえない!! 聞こえるのは梢を吹き抜けるかすかな風の音。虫の声。チロチロと燃える焚き火の音。奥山に来た! 実感が湧く一夜だ。
登りを急ぐ人は清水で一息ついて、最後の急登をガンバロー。重装備でも40分あれば長い長いブナの森を抜け、稜線に出る。
今までは眺望もきかず、ひたすら上を目指していたが、此処からは眺望抜群。
祝瓶山のピラミッドを後方に眺め、平岩山から大朝岳を眼前に、小さな登降を繰り返す。楽しい山路である。左前方には荒川の東俣沢の荒涼とした岸壁。右は野川の向こうに葉山まで続く山並み。
このあたりからのコースはガイドブックに譲ろう。
小国町のルート案内へ(小国町作成のHPです)
小国ルートには吊り橋が4本架かる。
1.大石の吊り橋
林道終点の駐車場から荒川を渡る橋。随分昔に架けた橋だが、太いワイヤーでしっかりしている。ただしこの地域は日本でも有数の豪雪地帯のため、冬場の管理のために歩み板が狭いのが欠点。馴れるまでは少々スリルがあるので慎重に渡ってほしい。
橋の下は荒川でもっとも静穏な一帯である。浅いゆったりとした流れ。
2.シズイケの吊り橋(しらぶの吊り橋)
林道終点より20分歩いた所の吊り橋。途中祝瓶山ルートを分けて5分も歩かない所で荒川を渡る。此処は少々高度観を感じる。この橋からはもっとも朝日山中を感じるものになる。豪雪から守るため歩み板は20cmほどの幅のが一枚きり。慎重に渡らざるを得ない。この様なタイプでないと此処では豪雪のため冬場に橋を外さなければ成らず苦心の作である。この橋は以前は細い丸太が一本であったのを1997年にこのタイプに架け替えて随分渡り易くなったと地元では評判の橋。
3.角楢の吊り橋
角楢小屋直下の吊り橋。この橋もスズイケの吊り橋と同じタイプ。此処は1998年に架け替えた。
これを渡って20m登れば角楢小屋。林道終点より1時間の所。雨上がりなどには橋の下にイワナの姿が見えることもある。直ぐ下流左岸に角楢沢が出会う。天空が開け明るい橋である。
4.大玉沢の吊り橋
角楢小屋から40分歩き大玉沢を渡るところにある。この橋の直ぐ上流には見事な滝が落ち写真のポイント。この橋を渡るまでは林道終点からほぼ平坦の道であるが此処からは一変する。
渡って直ぐに直登が始まる。30分間は歯を食いしばって登らねばならない。
橋を渡る前に上流側の橋のたもとを3m程下った右壁に細い落水がある。夏でも冷たい水なので此処で水筒を半分ほど補給しておくと良い。此処を過ぎると蛇引きの清水まで水は無い。