砂防法令(明治30年3月30日法律第29号)という古い法律に基づいて施工する。
現在防災上重要な砂防工事が各地で数多く行われている。
例えば雲仙普賢岳噴火災害に対して「釜無川」の土石流を防ぐためのもの。長野県小谷村の「姫川」などが最近事故も含めて有名です。
このような事業は「国民の財産を守る」という、法の精神に沿った大変重要な事業です。
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土石流関係 | 地すべり関係 | がけ崩れ関係 | ||
昭和61年 | 件数 | 104件 | 102件 | 356件 | |
被害状況 | 死者 | 1 | 3 | 26 | |
負傷者 | 4 | 0 | 32 | ||
全壊家屋 | 10 | 9 | 103 | ||
半壊家屋 | 8 | 3 | 76 | ||
昭和57〜61 | 件数 | 981 | 565 | 3283 | |
被害状況 | 死者 | 183 | 72 | 320 | |
負傷者 | 111 | 11 | 346 | ||
全壊家屋 | 38 | 165 | 978 | ||
半壊家屋 | 687 | 410 | 866 |
建設省河川局砂防部資料
上の表からもわかるように、毎年繰り返して襲来する台風や長雨による洪水や土石流の被害。これにより尊い人命の損失や財産の流失を守るためにも、砂防工事は必要です。
これに携わっている関係者に感謝いたします。ご苦労様です。有り難うございます。
昭和42年8月26日に日本海に発生した低気圧が、東に進みながら活発に活動したため、28日から29日にかけて奥羽地方に未曾有の大雨が降りました。
山形県置賜地方にも大変な雨が降りました。
荒川が氾濫して、小国町では大災害になりました。尊い人命が2名失われ、人家の全壊流出64棟、半壊損失519棟、浸水798棟でした。
小国町ではこのような災害が再び起こらないように「建設省」はじめ関係機関にお願いして、河川改修を大々的に始めました。
国はこれに対し、昭和44年4月1日建設省北陸地建荒川砂防工事事務所を設置。
以来、30年以上にも及ぶ改修工事により、直轄砂防ダム、県施工砂防ダム、さらに営林署施工砂防ダム等々ができ、今では荒川も大変立派に整備され、さしもの荒川も災害の心配もほとんどなくなりました。
下流には赤芝ダムが戦前(太平洋戦争)から発電用としてあり、地域の産業の発展に大変寄与してきました。
荒川の横川出合いより上流(小国町市街地)から白布沢出合い下流までの間に、数多くの砂防ダム(堰堤)が作られました。
どのダムも立派な物です。(本流だけで砂防ダム、流路工が10基。支流には慨成のダム等が53基を数えます。)
しかしよくよく見てみるとダムは土砂で満杯状態です。洪水の時、ダムは水を一時滞留させ、その際に土石類を沈殿させるためのものです。
大きな多目的ダムも土砂の堆積には程々困っているようです。砂防ダムは実際には建設途中から土砂の堆積が始まり、完成直後にはほとんど満杯状態になるのが実状です。
荒川のどのダムも例外なくすでに土砂で満杯です。洪水のときは濁流が下流へ下流へと奔流しています。
従って下流の流速の遅くなるところに、土砂がどんどん堆積しています。
建設省発行の”砂防ダムのはたらき”によれば、砂が貯まっても川の傾斜を緩やかにし、川底や岸の浸食を防ぐなどの理由を挙げている。しかし砂が一旦貯まってしまったダムは、その後の貯留能力はほとんど期待できない。
このように土砂で埋まったダムはそのままにして、上流角楢沢あたりに、さらに砂防ダムを造ろうという計画があるようです。
もしかすれば財政ひっ迫のおり、あるいは自然保護の声が大きく成りつつある現状から、延期したり中止になったりするかも知れないが?
私はこのダムの建設反対を唱える者ではありません。本当に必要で有れば山頂までも作り登らなければ成りません。
しかし、下流に造ったダムが土砂で埋まり、機能していない現状を踏まえれば、更なる上流にダムを建設する前に、下流の土砂払いをする方が効果的ではないかと言いたいのです。
山が崩れるというのは自然の法則です。
山が出来たときから山の崩壊は始まります。そうして長い年月を経てやがて安定した地形になります。これは地球の営みです。だから山が崩れること自体はごく自然なことです。
人間にとって困ることは、人家の近くで土石流が発生して、それにより災害が発生することです。
人里離れた山奥で土砂崩れがあっても、それが里まで到達しなければ、あまり問題視しなくても良いのです。
一度災害が起こると、災害防止と言うことで、いくつものダムを造ってしまう傾向が、我が国ではあります。
前にも言ったように既設のダムが土砂で満杯になり、その能力を補うために更なる上流にダムを造るわけです。これを繰り返していくと、山のてっぺんまで作り登らないと終わりません。
全国の山奥を歩いていると(登山で)荒川と同じように思える工事を、あっちこっちでやっているのを目にします。
前回のコーナーで「林道工事」を取り上げましたが、地域では土木工事を是非してほしいという実状があります。(今や公共工事は地場産業という陰口大)
地方にいて、身近なところで、出稼ぎに行かずに、家族と暮らしながら、過疎を防止するためにも公共工事は必要なのです。
このように言い切ってしまっても、そう的外れではないと思います。
都会ではビル、道路、下水、公園、その他いろいろの工事があり、又いろいろな会社があって、そこで働けます。
田舎ではそのようなことが少ないのです。そこで何とか理由が立てば、そのことでより多くの工事、より長く継続して、延々と工事が続くのです。これは悪ではないのです。生活するため、故郷を守るため、家族の幸せのため、過疎の防止のため、伝統ある地方文化を守るため必要なのです。
このことは全国津々浦々すべからく同じです。これがマスコミで国会議員が地域エゴで活動しないで、天下国家の事で活動せよとこっぴどくたたかれても、止むことのない公共工事誘致合戦の実体です。荒川が特別でない理由もここにあります。
このことが問題視される時、同じレベルで都会の人達の身勝手さも言われなければならないと言いたい。
奥地に道路やダムを造るためには運搬路が必要です。
そのためにブナ林を伐採したり、山肌を削らなければなりません。
土木工事を計画するとき、まず第一に建設費の比較をします。最も経済的な工事をするには、どういう工法が良いか。
次に景観、美観です。最近は生き物に優しい、多自然タイプなどが新聞でも目にしますが、これはごく最近のことです。
”限られた財源で、最も効率的な工事をするにはどのようにすればいいか”これは今まで日本の公共工事の際に最も優先して考えられたことです。このことが会計検査でも重要なチェックポイントで、少しでも割高な工法を採用するものなら、公費の無駄遣いとして、国会や新聞で取り上げられてしまいます。
従って工事をするときには、ブナを伐ったり、崖を崩して、より安価な工事をしてしまうのです。(前例主義、改善おっくうタイプ)
これをもう少し自然に優しい工事という視点で工事計画をすれば、少々割高にはなるかもしれないが、小型建設機械を使用して時間を掛けて進めれば、最小限の伐採や掘削で済みます。(本来は人肩が良いが、それでは作業をする人が集まらない)
地元ではこのことにより長い年月、工事を続けることが出来、都合がいいのです。そして自然が沢山残ることになり’一石二鳥’です。効率優先を少し視点をずらせば、地域でも職住接近で、さらに自然にも優しい工事が出来ます。ブナの森も傷を付けずにより多く残ります。効率が良くても、次から次にブナの森を伐って、山肌を削り、それで結果としていい仕事をしているといえるのでしょうか。
大手企業では無く、地元の中小建設業者が直接受注することにより、経費も安くなり地域振興にも貢献できて良いことずくめです。
最近建設するダムには当初の計画から魚道が造られますが、既設のダムにも追加で作って下さい。
遡上する魚にとっては、河口から最上流のダムの上流まで遡上できなければなりません。中流のダムに魚道を作ってもあまり効果はありません。所管が異なると、なかなか今の日本では難しい問題があるのかも知れません。しかし、魚は所管で生活しているわけではありませんので、是非、河口から一体的な魚道を造って下さい。かつて鮭や鱒がどんどん遡上できた川に戻して下さい。
黒部川で堆積した土砂を海に放流したとき、漁民から大反対がありました。
かつて「白砂青松」の名勝地の砂浜が全国で消えました。
かつて日本中どこの川でもコンクリート用の砂利、砂が採掘できたのに今では全然だめです。
これは水需要の増大のために、川の上流に大きなダムが沢山出来たこと。
これは度重なる洪水の災害から街を守るために、川の上流に大きなダムが沢山出来たこと。
そのほかにもダム建設の理由はいくつもあるでしょう。
しかし、このダムが沢山出来たことにより、川が本来行ってきた、水と共に砂利や砂を海まで押し流していたことが出来なくなりました。結果砂浜は消えたのです。
今上流のダムではこの土砂の堆積で困っています。一気に土砂が下流に押し出ることは、災害を発生させて困ります。
自然の持っているエネルギーを利用して、費用を掛けないで何とか海まで運ぶ方法はないものでしょうか。
渓川では淵が消え、魚達も困っています。
このページを読まれた皆さん。素人でなくては考えがつかないような、途方もないアイデアをお寄せ願えませんか。
関係者をびっくりさせてみたいものですね。