2021/5/22 2022/6/5
2020/12/2 2020/8/5、 2020/07/03、 2020/04/19、 2020/02/28、
2019/11/22 2019/6/17、 2019/6/16、 2018/11/21、 2018/4/25
、2017/12/22、 2017/11/12、 2017/10/25 2017/8/6 2017/4/1
工事中
2022/6/5
竹ヒゴ厚さ調整器
厚さ調整器は今までも何種類かを製作しました。
どれも一長一短があり、案が思いつけばまた作りたいという気持ちを常に抱いています。
22年度の竹細工教室が5月28日に開かれました。
私は大笊を完成させようと、先生に縁巻の仕方を教わり、それに専念していました。
傍の同僚が先生に竹ヒゴ厚さ調整器の実務を教わっていました。電気鉋の刃を使用したもので、以前にも見たことのあるものです。
私も以前に模倣をしたのですが、イマイチ上手くヒゴ製作が出来なくて、そのままにしていたタイプです。
気にはなったのですが、手元が忙しかったので一段落するまでチョロチョロ横目で見ていました。
手元が一段落したので、私も先生の仕方を見学しました。
驚いたのは節越えが出来る事にびっくりしました。先生曰く「刃が少し動くので(スプリング効果)節越えが出来るのかもしれません」。と
この話はとても参考になる言葉です。
帰宅後、私の調整器が中途半端になっていたのを思い出し、それを仕上げてみようと気を入れ直しました。
基本は大工さんが使用する鉋を何とか転用できないか? がコンセプトです。
以前の方法では実用的ではありませんでした。
今回は発想を変更して、鉋の刃を上にして、その上をヒゴ竹を引いて削れないか?
杉板で鰹節削り器の様な箱を作りました。写真①の右端です。底を上げ底にして鉋の腹を上にして、材料を載せ、押さえ板で押さえながらヒゴを引いてみました。
結果は削れました!! 刃の出具合で薄くも厚くも削れます。
これを一定圧で削れれば実用化できそうです。
削れることを確認できたので、削り箱をもう少ししっかり作ろうと、少し堅い材料の「椎の木の板」を用意しました。
角々はホゾで木組みをしようとも。板厚は20mm有ります。長年車庫の屋根で保管してある板の埃を洗い落とし、鉋を掛けました。
2日がかりで仕上げました。
夕方箱が出来たので早速試してみました写真②。削れましたので、次のステップにかかります。
鉋刃の上に鋼材の板かL字鋼を橋渡しし、片一方の端は刃の上の隙間を0にして、もう一方の端に約2mmの挟み物をして固定する。
そうすると0mm~2mmのテーパーがつきます。その間をヒゴ材を引けば隙間だけの厚さのヒゴが出来ます。
これが機能的に使えれば調整器の完成です。
鉋を使用した厚さ調整器にヒゴ押さえバーを着けました。手元に欅の切れ端が有ったので、それを腹巻の様にヒゴ押さえ材としました写真③。
そしてヒゴを削りました。モシャモシャした鉋屑がヒゴを削った鉋屑です。薄い奇麗な鉋屑です。
大工さんが柱や板を削った仕上げ鉋の鉋屑によく似ています。
それもそのはず、削り台は赤樫材の寸八鉋そのものですから。鉋屑の厚さは0.1mm位です。
押さえバーの上に1cm間隔の目盛り線がありますので、右端は厚く、左に行くに従い薄くなります。
作りたい厚さの位置で竹を引けば出来上がりです。鉈で竹を割る時に、使用したい厚さに割る(割く)ことを心掛けます。
① 3種類のヒゴ厚調整器(右端は杉材の試作品) | ② 椎の木のヒゴ厚調整器(押さえバーはこれから) | ③ 完成(ヒゴ削りの鉋屑) |
* 写真の説明
① 左から平鉋の刃を立形に使用したもの。傾きは40度位か。
中は電気鉋の刃をそのまま水平に固定したもの。下のフラットバーは全くの水平で、鉋刃は0~2mmのテーパー(フラットバーとの隙間)がついている。
右端は今回の平鉋を利用した物。
②今回の調整器の押さえバーを付ける前の状態。
③完成姿。鉋屑が奇麗です。
2020/12/2
竹ヒゴ作り
コロナ禍で竹細工教室が開かれない。
時間が有るのでネットで遊んでいます。
高知県須崎市安和に虎斑竹専門店「竹虎」さんが有ります。明治27年創業とありますので老舗です。
山岸社長は自称「竹チューバー」といい、動画を沢山発信しています。
コロナ禍で時間を持て余し、何気なく動画を見ていましたが、この竹ヒゴ作りの動画に釘づけされました。
私が今までしていた竹ヒゴ作りとは全く異なるのです。四国の竹職人のスゴ技です。「土佐網代の笊」を作るという動画ですが、ザルのヒゴ作りが凄いのです。兎に角この技をご覧ください。
ヒゴ作り行程
竹割(概ねの幅に鉈で割り揃える)ー 剥ぎ(何回かに分けて厚さを所定の厚さに剥ぎ揃える)ー 幅決め(幅決め器で)ー 面取り(面取り器で)
早速私も動画を真似て試してみました。
全くうまくいきません。このヒゴ作りに挑戦してかれこれ1カ月になりますが、何とかヒゴは作れるようになりました。が、スピードや体の動きは全く駄目です。
それはそうでしょう。長年鍛えた職人の動画をチョコッと見たくらいでは出来るはずがありません。
現在は長さ5mで幅2~3mm、厚さ0,6mm程のヒゴ作りを一生懸命に模索しています。
私の場合は上記の工程の中で、幅決めは、剥ぎ工程の中に入れ込んで、幅を決めてから最後の剥ぎを行い、厚さを決めていきます。
練習でヒゴが沢山出来てしまい、作業場に山になるほどストックしています。初めのころの出来の悪いヒゴは処分しようかとも考えています。
コロナ禍で何かと面倒な世の中ですが、私はこの様なことをして、時間を持て余すこともなく、密も避けて日がなヒゴ作りに励んでいます。
この動画の中で職人がヒゴ幅を決める道具は、小生の下記の記事(2020/2/28)の道具に似た物を使用しています。小生の幅決め器の原型は熊本県だとお聞きしていますので、西国では普通の道具なのかもしれません。
2020/7/3
買い物カゴ
春先にコロナ禍もあって、市立図書館で竹細工の参考書を2冊借りました。
眺めていましたが、いろいろ参考になりました。
2週間で返却しましたが、2週間前に再度別な本を借用しました。
それを眺めていたら「買い物カゴ」というものの、詳しい解説が載っていました。
そこで竹ヒゴを作り、製作を試みました。
2021/5/22(追記)
コロナ禍で昨年は竹細工教室は開かれませんでした。
今年は5月22日に第1回が開かれました。
そこで、昨年疑問を持って手詰まりになっていた事々を教わりました。
友人に教わったトヅラを昨秋採取しておきました。そのつる草を先生に確認して巻いてみました。右側の写真がそれです。
濃い茶色に変色して、中々味わいのある作品になりました。
右は最初作 中は最後作 左は縦横を大きくした | 取っ手にアオツヅラフジを巻く |
1作目は参考書に忠実に作りました。
今までこの種の籠は作ったことがありませんでしたので、慎重にというか恐々作りました。
かなり丁寧に解説されている本ですが、ヒゴの厚さなどでは数値が載っていないところがあるのです。おそらくそれは余りにも常識的なのかもしれません。(私には理解できませんでしたが…)
そこはエイヤーで作ってみました。結果はまぁまぁでした。
編んでいく時に要領を得ず、底から上に上がっていくところで、形がつぼまり変形していくことは困りました。
が、後で本を詳しく読むと、それは説明してあり、2作目では其処を慎重に編んだためにクリアー出来ました。
2作目は未だ取手や石ずりを付けていませんが、これはそのままにして3作目を作ろうとしています。
編んでいる時にヒラメク所が生じたものですから。
2020/7/14
3作とも取手を付けて麻紐で下巻をしました。
この上にかずらツルを巻くのですが、このかずらツルが手に入りません。市販品は無いようですので、現在探している最中です。
先生のお話では、生えている所にはいっぱい生えているらしいのですが、どの様なかずらなのか実物を見ないと種類の断定が出来ません。
県内にもごく一般に生えているとのことですので、植物に詳しい友人に頼んで俗名ですがトヅラ、ヨシカブリで捜索中です。(うまく見つかることを期待中です)
その後、日立市の友人からその草は「アオツヅラフジ」だという連絡を受けました。
早速図鑑で調べ、やっとその姿が分かりました。
近く山の本場というか、朝日連峰の登山道整備に山形県小国町に行くので、山仲間に聞いてみようと思います。
山仲間の話:「秋になるとその様な実のなるツルは知っているが、今頃どのようなツル草で、葉っぱがどんな形か気にしたことが無いから分からない」と言われてしまいました。
2020/8/5
山形県から帰宅後アオツヅラフジを探し出すため、先ずは近くの里山の周辺を探してみました。つる草はよく見るといろいろな種類があることが解りました。
ヤマブドウ、マタタビ、アケビ、クズ、フジは以前から承知していましたが、それ以外にもいろいろあります。
今日で1週間ほどこのツル草を一生懸命に探しています。
近くの里山では見つける事が出来ずに、霞ケ浦周辺に場所を移しました。稲敷市の湖岸を探したら、やっとそれらしいツル草を見つけました。
結構な数の集団地が見つかりました。ただ、今は実が着いてはいないので、秋になり実が着いたら再確認しましょう。
変形ハート形の葉がアオツヅラフジ | 大石小屋近くのアオツヅラフジと思しき葉 (8/7採取) |
これから秋になるとツル先に青い山ブドウの様な実が付きます。それを確認できれば捜索終了です。
2020/02/28
ヒゴ幅決め器
竹細工で地味で大変なのはヒゴ作り。
作品に必要な条件を満たすヒゴを先ず作ります。
手順は 荒割り ー 厚さを薄くするために2~3段階を経て必要な厚さにする - 幅を決める(誤差の少ない物が良) - 面を取る
作品の精度を上げるには、目的に合うヒゴを正確に製作することに尽きます。
厚さ決め器も幅決め器も市販の器具がありますが、結構いい値段がします。皆さんはいろいろ工夫をして、それぞれが自分に合った道具を使用しています。
また、各地には独特の昔ながらの道具が有ります。
私もいろいろ試してみましたが、今までは千枚通しを3本、片刃の小刀を1丁使用して幅を決めていました。
先日、図書館から参考書を借りて読みました。その中に大変気に入った幅決め器が載っていました。早速著者の方に詳細を教わろうと手紙を書きました。
そうしたら著者の方から携帯電話があり「文書で説明するのは難しいので、現物を送るので納得のいくまで見て、返送してください」と言うものでした。
送られてきた現物を観察して、早速同じような幅決め器を製作しました。原理は大変シンプルです。
早速試してみましたら、驚くほど上々の仕上がりです。
①送っていただいた幅決め器 | ② 左見本 右私試作 | ③下は試作品、上は改良品 |
手本のサイズは50cmの長さがあります。
今までの幅決めはφ25cm の丸太の輪切りにした物でしていました。
両方を並べてみると少し改良してみたら? という疑問が湧きました。そこで長さを詰めてみました。
それが③の上です。
試した結果はどちらも良です。 著者の先生のお話では「幅決め器は長い方が上手くいく」とのことですので、今後ヒゴ作りをしていきながら、どちらが良いか決めようと考えています。試したヒゴ長は竹1節40cm程のものですので、メートル単位の長物で比較しないと分かりません。
あるいは使い方を短いものと長いものに、使い分ければ良いのかもしれません。
最終形 | 面取り器を追加した(ストッパーの鋲がミソ) | 脱着式面取り器 |
試験的に幅決め作業をしてみました。
ヒゴは見込み通り製作できました。が、台の断面が正方形(約10cm角)で重心が上にあるので安定感に不安があります。
そこで下に板を履かせました。座って作業することを想定し、板の上に立膝かアグラで座るようにして、引き手側(手前側)の断面を右足裏の指先で滑りを止めをするようにします。下の板で安定感が増し、台のスベリを足裏で押さえるので安定感がグッと増しました。
構造的にはこれを最終形と考え、暫く使用してみましょう。
◎ 考えも刃も甘かった
今日早速ヒゴの本格製作の準備に入った。
先ず昨日まで試作した道具類の点検。刃を外し刃先を点検。ビックリしました。ヒゴの当たる所の刃先が負けている!!
刃の材料は鉋の裏刃を使用したのです。よくよく考えてみると表刃は鍛接した鋼と地金で構成されて、その上焼きも入れた強靭ですが、裏刃は鋼では無く、生鉄です。柔らかい物なら切れますが、竹は木材よりも硬いのです。竹に刃が負けたのです。
代わりに表刃を使用することにしました。刃を縦半分に裁断。断面を観ると刃先付近よりも頭部が厚い。これでは納まりが良くありません。
そこでグラインダーで身の部分の地金を削りますが、なかなか手強いです。焼きが戻らないように、バケツの水で冷やしながら騙しだまし削りました。
何とか形を整えセットしました。
今度は板が削れるようによく研いだ切れる刃です。切れ過ぎてヒゴの竹に刃が食い込んでしまい全く駄目です。これはあらかじめ承知していた現象なので、刃を外し砥石で刃の切れを止めます(切れる刃を、切れない刃にすること)。
何度も砥石に当てて丁度良い切れ具合を探りました。
刃幅を決めて引くと上手く出来ました。今までの方法よりもヒゴに負荷が掛らず滑らかです。
失敗することも無さそうです。見本が届いてから今日まで1週間。長いようで短く感じた1週間でした。
削り台の材料は、始めは杉角材。次に使用したのは製材してから20年ほど自然乾燥させた椎の木。欅材も感じが良いし、どうかなあ?と思いましたが重いので止めました。(木肌も好きだし重さも安定に繋がるので後々は作りたい)
稲垣先生ありがとうございま~す。
3月3日
本格的にヒゴ作りを始めました。
幅決めは大変楽ちんです。幅決め器の先端に中央ガイドを着け、更にその先端をYの字に開いたため作業性が良くなりました。
幅を決め、最終の厚さを確認してから面取りを始めました。従来は丸太の作業台で千枚通しを3本と切刃を組み合わせてしていました。
今回はそれとは別の幅決め器ですので、従来のと2台を使用するのは面倒だと考えました。
写真のように幅決め器に馬蹄形の被せる形の刃物台を追加しました。(脱着可能タイプ)これに左右使用の片刃を打ち込んで面取り器としました。
自画自賛ですが、これが意外に上手くいきました。面取り作業をする時、そのままでは頭(上部)がグラつくので、ストッパーにビスを4本打ち込みましたらグラつかなくなりました。もっと良い方法が見つかるかもしれませんが、暫くはこのままでやってみましょう。
表刃裁断・身厚調整 | 削り台に切れ刃を セットした | 左は切れすぎる刃で・右は切れを止めた刃で | 刃の切れを止めると左右がキレイに削ずれる |
2020/4/19
欅材で幅決め器製作
新型コロナウイルス禍で茨城県も多数の感染者が出て、外出抑制が発令されているため日がな家に居る。
そこで時間もしっかりあるので、億劫にしていた欅材の幅決め器を作ってみた。
仕上げにニスの代わりに天ぷら油を塗ってみました。これは知り合いの大工の棟梁から教わった方法です。物は単純ですが、欅材に塗布すると期待以上に奇麗に仕上がります。(天ぷら油はバージンではなく、使用済みの古い油が良い。火に載せ、鍋で煮立てながら塗るのがコツです)
欅材は加工に苦労しますが、仕上がると大変満足の行くものです。
早速仕上げたこの幅決め器で2.5mm幅の長い5mのヒゴを作ってみました。
3mm弱に割ったヒゴ材をこれに通すと奇麗に削れました。
これで最終形とします。
お化粧をした幅決め器 |
2019/11/22
二重六つ目編み
9月の竹細工教室から六つ目編みのヒゴをダブルで編む「二重六つ目編み」をやろうかと思い、資料を調べた。
丁度その頃は別の種類の笊を編んでいたので、それを片付けてからやろうと思ってネットで検索していました。
しかし、写真を見ても全くチンプンカンプン。
11月17日の教室の時、前回に引き続きT氏が編んでいました。彼も未だ完全にはマスターしていないと言い、先生に再度教わると言ってヒゴを作っていました。
終了時間ギリギリになってヒゴが出来たところで先生が編み始めました。
彼と私と他にも何人かそれを見取り稽古。
私はステップ毎にデジカメで撮影しました。編む速度が速すぎて編み方はとても覚えられませんで、帰宅後パソコンに取り込んで画像をプリントアウト。
それを見ていても分からず、ヒゴで先ず普通の六つ目編みで1目だけ編み①、二重のヒゴは写真のとおり挿し込むような方法で編み進めました②。
それを何度も繰り返し、繰り返ししているうちに規則性が見えてきました。
それは六つ目の外側に井桁模様が現れることにありました。1周廻ってもその外側の特定の位置に井桁模様。
その井桁の位置を意識しながら編むと編めました。更にヨコヒゴを通す時は、斜め上に向いている右側であったり左側であったりのヒゴを持ち上げ、機織り物のようにすると一気に編めます。
これを熟知すれば良さそうです。
① 六つ目編み | ② 二重六つ目編み(目の外側に星模様の井桁) | ③ 2周目(目の外側の星模様井桁の位置を注視) |
④ 3周目 |
3周を編んで笊底として立ち上げをします。
立ち上げをどのようにするのか未だ分かりませんので、普通の六つ目編みの要領で編んでみます。はたして上手くいくかどうかご期待ください。
2019/6/17
竹割器
真竹を割る方法は①竹割鉈で二つ割 ②鉄製の鋭い竹割器 ③人差し指大の篠竹などを十文字に縛った四つ割り器等がポピュラーなところ。
私は真竹の根元の方の肉厚の所を30cm位の長さにして幅2cm位を十文字に縛った物を愛用していました。
5月の教室開講日に皆さんと余談をしていた折に、この竹割器の話になりました。その中にホームセンターの金物売りコーナなどにある補強材などから、L字の金具(直角の棚などの補強材)をビスで連結組立てた、十字の竹割器を見せていただき感心しました。
私のは竹製で、中心を針金で縛り使用していました。結構満足していたのですが、私ももう少し工夫をしようかと思ったのでした。
斜め上から背中(棟)側 | 同じく刃側 |
今日はその事を思い出したので工夫をしてみました。
赤樫の材が有るのでこれを小割にしました。幅40mm×厚さ20mm×長さ40cmを2本。
板を半分ほど(20mm)を楔形に削り刃を作りました。1本はそのまま使用。もう1本は半分に切断し、L字金具を使い十文字仕上げにしました。
このままでも良いかもしれませんが、両端を握り、力を入れて竹を割るので、曲げモーメント(専門用語で申し訳ありません)がかかるので、薄板の穴開きの鉄板で、切断した樫材を繋ぐ形にビス止めをしました(材の上も下も)。
こうすれば引っ張り力にも圧縮力にも役に立つのではないかと?
まだ試してはいませんが、手に持った感触は良い感じです。
工夫した点としては①L字金具をビスで結束しただけでも良いのですが、鋼材が薄いので楔形に刃を付けることにより割裂くことが期待できる。(竹割鉈の要領)②赤樫材が手持ちに有るので、有効活用と強さと暖か味が出る(力を入れた時に掌に優しい)。
これで4つ割り器完成です。
2019/6/16
二本飛び八つ目編み
令和元年5月になり、二本飛び八つ目編みを編みたいと思い立つ。
理由は元号も変わり、何か新しい編み方をおぼえたいという単純な思い。
今年度は教室に入って9年目だ。多少見栄えのする笊を編んでみたいという考えだ。
写真では見たことがあるこの編み方。しかし編み方が分からない。ので、ネットで検索。手順を説明しているブログが中々見つからない。その中で、chieさんのブログ「chieの日記」を発見した。手順を写真で説明されているので、ダウンロードしてプリントアウトした。説明文が少ないので苦労しました(自分の理解力不足を棚に上げ)
プリントした写真のヒゴに手順のNOを振る。そして編み始めた。まず2本飛びとは?? 写真とニラメッコ!!
試行錯誤の連続。何となく編めるようになっても理屈が理解できない。
千葉県立体験型博物館房総のむらの令和元年の開講日は5月26日。それまでには先生に教わる資料を整えねば!!
見よう見真似でそれらしいものが用意できた。
それを持参で教室で先生に教えを乞うた。
先生の編み方はchieさんのとは違い、ダイナミック。いきなり竹ヒゴ8本を井桁に組んで行くのだ。必死で先生の指先を目で追う。デジカメのシャッターを押す。
とりあえずこれで帰宅後復習をすれば……。
そして編んだのが以下の写真である。
①2本組で井桁に(四つ目編み) | ②斜めにヒゴを入れて八つ目に | ③2本組にして目を増やす(外へ外へ) | |
④9目となる | ⑤それぞれを八つ目にする(右端上が組違い!!) | ⑥9目完成(逐次必要な目に増やして笊底になる) |
⑦底部に力竹を付けて立ち上げ1段目 | ⑧立ち上げ2段目 | ⑨立ち上げ3段目 | |
⑩縁止め | ⑪縁止め完了 | ⑫ 完成 (縁巻きはタコ糸で大和結びの仮止め) |
このようにして縁巻の仮止め状態です。
7月の教室で先生にダメだしをしていただき、修正後完成させます。
この度ネットで「二本飛び八つ目編み」の手順を検索した結果、2件しか見つかりませんでした。他にも有るかもしれませんが、私には見つかりませんでした。
編み方は何通りか有るようで、chieさんのは1本づつ編む方法でした。私の先生の方法がこのような編み方です。どちらが良いかは分かりませんが、私はこの方法で理解できました。なお、2本飛びというのは2本を越したり潜ったりをすることから来るのかもしれませんが、この事はあまり気にせずに2本組のヒゴを斜めの単のヒゴがクロスする処で、2本組のヒゴを挟み付けることを確認しながら編めば間違い無いです。
この度僭越ながら私の手元のデジカメデータを発表することとし、今後この種の笊を作られる方の参考となれば何よりです。
今夜改めて見直し、撮り直しをした写真もあります。特にスタート時のを撮りなおしました。
①の写真で目の中に〇の印が中心の目です。これを中心に外側へ2目づつ四周へ増やし5目にし、合わせて5×5=25目にして立ち上げました。口輪のサイズで約30cmの笊(篭)になりました。
最後のヒゴの端末処理は六つ目編みの時のを参考に、ヒゴの先端を半分づつに裂いて薄くし、曲げ易くして折り曲げました。(これで良いかどうかは?です)
目の増やし方は今回は正方形で、仕上りの口輪(縁)の形は円形ですが、長方形に増やせば楕円形や長方形の篭が出来ます。
四角形の時の口輪の仕方が未だよく理解できていませんので、理解できたら再掲したいと思います。
2019/07/08追記
昨日竹細工教室に出席。
早速先生に教わりました。口輪の部分のまとめ方は六つ目編みに近いものでした。より丁寧にすると感じました。
問題は立ち上げ編みの時に注意しなければ後々手間がかかるという事。
立ち上げ3段目を編んだ時に底部の大きさを計測し、立ち上がり部では3段目の時に底部と同じ大きさ(周囲の長さ)に修正しておくことです。
この3段目で修正すれば手間が余りかからず、編み進む事が出来ます。私は5段、6段と進んだ状態でしたので、目を詰めるのに長い時間がかかりました。
編んでいる時に、立ち上がった壁(側面)の目が大きくなり疑問を感じていましたが、外周が底面よりも長くなったことが原因でした。
ですから側面の目も底面の目と同じ大きさの目にすれば必然的に後々の修正も楽になる訳です。
2021/05/23追記
昨日竹細工教室に出席。
昨年はコロナ禍で一年間教室は休みでしたが、今年度は昨日第1回がありました。
早速疑問点を先生に教わり、この籠も取っ手をロープで取着けました。
他にもいろいろ種類がありますが、今回は漁網用の古ロープを利用してみました。
P字状の縁竹との結び目はロープの編み目に編み込む方法です。
慣れないと苦労しますが、千枚通しを使い3本の組紐をほぐし、それに端緒を組みながら3回づつくぐらせました。
仕上りはイマイチですが、強度は問題なさそうです。
土木現場でワイヤーのこの種の差し込み作業を見たことがありますが、職人技は凄いですね。
縁のヒゴ処理 | ロープの取っ手を着けました |
2018/11/21
輪口編み
深ざる | 盛かご |
昨年の11月から始めた輪口編み。
先ずは輪口という穴の開いた編み面を2面作る。それを重ねて穴に底を挟む。底は網代編み。それを2面の穴を塞ぐ感じで挟み込む。
これが飛び出さないように2枚を1枚にするように編み込む。
他の笊作りの合間に取り組んだせいもありますが、昨夜やっと上の様な笊が出来上がりました。
2018/4/25
ソバ笊編み終える
昨年暮れから編み始めたソバ笊を、今日やっと編み終えた。
基本的には毎日のようにこの作業にかかっていた。だから「やっと終わった」というのが実感です。(上の写真)
へそ曲がりなネマガリダケを苦心惨憺しながら細いヒゴに仕上げる。
不思議なもので、編むほどに技の幼稚さ、工夫の無さが出てくるのです。編めば編むほど新しい反省点に気が付くのです。
それは竹の性質であったり、編み方の工夫であったり、私の取り組む姿勢であったりするのです。
今日午前中で予定数量を編み終えホッとしたところです。
午後は製品の再点検をして、修正する物は修正して「今日はこれまでー~」と一段落したところです。
近々注文主にお渡しするよう段取り中です。
どれくらいの材料を採取すればよいのか手探り状態でしたが、失敗する量も分かった気がするので、今年の秋はもう少し気分的に楽になることでしょう。
それに竹の年齢による使い分け。1年生は縁巻。2~3年生は巻ヒゴやタテヒゴ。
2年生でも縁巻が出来るのではないかと試したのですが、堅くなりすぎて大変な苦労でした。縁巻は若竹が良いです。
次は鉄鉢
暫くはソバ笊から離れ、次は鉄鉢というのに挑戦しましょう。
これは 坊さんが托鉢(たくはつ)をする際に手にしている鉢。それを竹編みするのです。よその人のブログなどを見ると、竹の網目がとても美しい鉢です。
輪口編みという技法で、底の抜けた笊を2枚重ねにして、空いた穴を網代編みで底を着けるというものです。
前回の教室で先生から教えていただいたのですが、丸っきりソバ笊にかかっていたので、気分一新連休明けから取り掛かりましょう。
5月からは8年目の竹細工教室に通います。
昨年から教室は隔月開催です。年6回の受講日ですが、それくらいで丁度良い回数です。何せ自習を怠っているので。
2017/12/22
編み始める
ヒゴ作りを一旦止めて、今日からソバ笊編みを始めた。
まずはヒゴの正製。概成しているヒゴの見直しをして修正。それを面取りから始める。
タテヒゴを水に浸し柔らくして、幅や厚さの再吟味。それが済むと表、裏の角を取る面取り。ヨコヒゴも同様にする。
午後からはそのヒゴで編み始めた。
ヨコヒゴ1本を使用して編む。4~5周編む。そうすると網代編みのタテヒゴのバラケルことが無くなる。
今日は6枚をその状態で編んだ。
これを後は時間のある時に編み上げる。前回の記憶では5~6本の巻ヒゴ(ヨコヒゴ)でφ22cmの笊になるはず。
この状態になると気分的には大分楽になる。
コーヒーを時々飲みながら、仕上りを期待しながら楽しい作業です。
2017/11/12
材料集め
今年も大分冬めいてきたので、竹取シーズン到来。
1.ネマガリダケ
9月に縁巻用の1年生採取に山に入った。
今年は那須連峰に加え、吾妻連峰にも足を延ばした。
太く長い1年生を求めて行ったのだが、中々良い竹は見つからなかった。
まずは吾妻連峰に行く。旧スカイライン沿いに物色。
少し品質を下げて太さも長さも不満ではあるが、ある程度の数量は集めなくてはならない。何とかかんとか50本程採取した。
これでは満足できないので、実績のある那須方面に移動。
長さは有るが太さはイマイチだが、20本余り採取して家路につく。
帰宅後、タケノコの皮(フクという)を小刀で剝くようにして取り去る。そしてブラシでゴシゴシ洗い、きれいに清掃する。
それを竿先から二つに割り、根元の1節を残してバラケないようにする。乾燥してから束ね、雨や夜露のかからない室内に保管。
時間を見つけては幅7mm、厚さ0.5mm程に加工を始めた。出来上がったものは製品として束ねて保管する。
乾燥してからヒゴにするよりも、生の時の方が扱い易いので暇を見てはこの作業を続ける。
屋上に積んだネマガリダケ | 庭の木陰に雨避けシートを被せたネマガリダケ |
7分芯のランプ二基と七輪での調理 | 剥がれたトタン(入口に立て掛けた竹の束) |
11月に入りいよいよ材料集めに本腰を入れる。
昨年来依頼されている高崎市のソバ屋さんからの注文のネマガリ竹のソバ笊。
昨季はいくらもネマガリダケの在庫が無く、注文された数が作れなかったが、今季はこれから材料採取。どれくらいの数の笊が作れるか分かりませんが、材料だけは十分用意しましょう。
先ずは実績のある那須方面へ。
今回は車窓から見える範囲を下見気分で探した。すると思わぬ場所にツンツン立った1年生や2年生の「太くて長い」のが目に入る。
車を安全帯に停車して藪を覗いてみる。中々良さそうである。
1~2年生を合わせて50本程採取する。
これを車の屋根に積み、吾妻連峰に向かう。下郷の道の駅に寄り今夜の肴を調達。
猪苗代町を目指して車を走らせる。会津若松市のスーパーで食材を購入。R49号で猪苗代方面に向かっている時カーラジオの交通情報で嫌な情報が入る。「磐梯、吾妻方面の旧有料道路は積雪のため通行止めです」 アチャー!! 今回は冬タイヤに交換をしていないし、通行止めではどうにもならない!!!
考えた。今夜は磐梯町の道の駅で車中泊をして、明日朝から小国へ向かおうか?
初男さんに電話をしたら「そう、山は雪だよ~」。小屋のカギを用意してくれるように頼む。
前回この道の駅の正面の駐車場で寝たら、すぐ傍の県道を通過する車が夜中中五月蠅く辟易したので、裏側はどうかと調査する。
磐越西線がすぐそばを走り、通過時はうるさいようだが、正面よりは良さそうなので車を止めた。
結果は良かった。鉄路は本数も少なく、心配したほど騒音も大きくなかった。
車中で一杯を呑み始める。周囲にはキャンピングカーやマイカーが何台も同様に車中泊者が居た。
朝はゆっくり目に起き出し、山形県の山小屋に向かう。ナメコ採りである。今回は2足の草鞋を履いた。
小屋に行く途中の林道で地元の知人とスライド。窓越しに雑談。その方はキノコ採りの帰り道。ナメコとムキダケを頂く。
これだけ有れば今日は山に入らなくても食材としては足りる。加世ちゃんありがとうございま~す。
大石小屋にキノコをぶら下げて到着。
キノコ料理の下ごしらえをして、昨日採取したネマガリダケの清掃をする。そして二つ割にする。
小屋の中の整理清掃をして早い時間から一杯やる。今回小屋へは7分芯のランプを2種類持参した。手燭とハリケーンランプである。
7分芯はどちらも明るく、照明は此の2基で済ませた。暖色系なので気分も落ち着く。
翌日もまだキノコは残っているので、キノコ採りに山には入らず竹と戯れる。
あ! そうそう、小屋のトタン屋根が1枚風で飛んでいたので、それを拾い屋根修理をしました。それに時間を食われ、キノコ採りの気合が薄れてしまったというのが真相。
風当たりの強い場所に小屋は建っているので、今回のようなことは有るのです。飛ばされていないトタン板の釘も緩んでいるのは新しいものと交換したり、玄能で打ち付けたりもしました。何せ私は小屋の営繕課長ですから。
未だ竹材料としては不足なので、三日目には小屋を後にした。結局頂きキノコで満足して帰路に着いた形だ。
途中再度那須連峰に行き、雨の中、竹取をした。林道から山林の中に踏み入ったら、思いもよらない良い竹藪。
初めての場所であったが、太くて長い、良い物が沢山採れた。これだけ取れればそば屋さんからの注文数は作れそうだ。
余裕が出て、南会津町の入り慣れた温泉に立ち寄って帰宅した。
これからはひたすらヒゴ作りだ。
取りあえず縁巻用の幅広ヒゴ。ヨコ巻用やタテヒゴはこれが片付いてからの作業だ。なるべく生のうちに処理しないと手間暇がかかるから。
2017/8/6
鉄線編み
ここしばらくは鉄線編みに挑戦していました。
完成した大きさの異なる笊 | これが鉄線編み(赤丸が風車という編み方点) | 笊をアップ |
ヒゴ54本の鉄線編みの底 | ここ一ケ月の成果 | あとは縁巻で完成(左端が完成形) |
ヒゴ54本完成 | 同左裏側 |
笊のサイズも大小いろいろ試しています。
大はφ25cm、中は20、小は15cmで、ヒゴ幅もいろいろ変えてみました。
ネットで仕入れた編み方手順書で編んでいたのですが、ある程度編めるようになった人には良い手本のようですが、私には手順が込みすぎていたようです。(二回り目くらいの先の時に役立つ作業を前もってしておくこと)
しばらくその手順のとおりに編んでいたのですが、この手順書は5周目までしかありません。1周は6本。5周で30本まで。
必要本数は9周、54本までの手順書があれば、これほど悩まなかったのですが、30~54本までは推し測っての編み方。
手順書が丁寧な分(先々の分まで先回りして編む手法)ガイドが無いと素人には間違いだらけになってしまう。
結局、余分な分の先編みは省略して編んでみました。後々多少手間がかかりますが、間違いを防げて、今の私の技術ではこれがベターでした。
後は縁巻をすれば完成です。(おそらく、もう少し技量が上がれば、自然にそれが見えてきて編めるようになるか? と期待しています)
笊底は上の写真のように参考資料片手に編めますが、立ち上がり部分が又苦労します。
笊底は六角形。縁は円形。立ち上がりで3段目まで編めば後は普通に編めますが、1段目、2段目が特に苦労。
網目は6角形ですが、立ち上がり1段目は、6つある角々の目は5角形なのです。この編みヒゴが平面から立ち上がり、3次元の世界に突入します。
特に角のヒゴの1本が寝ている(平面)のを、騙しながら立てるのです。その際に他のヒゴとの取り合いを間違える勘違いを起こします。
頭の中が混乱するのでしょうね。私の頭は単細胞なので、複雑な取り合いは苦手なのです。これがその時に気が付けば良いのですが、2段目を編んでいて気が付くのです。納まりが悪いので、点検すると1段目の編み方の間違いを発見することになります。
そうすると2段目をほぐし、1段目の修正をしなくてはなりません。これが3段目で気が付く場合もあります。或いは、一番上部まで編んで最終点検中に「模様がおかしい? 1段目で取り違いをしていた!!!」などということがままあります。
縁巻は、昨年秋に採取して保管してある竹で巻けば直ぐにでも出来るのですが、今は8月。9月になれば今年の一年生竹で縁巻が出来るので悩んでいます。
新竹の方が柔らく作業性が良いので。
2017/4/1
千葉県立 体験博物館「房総のむら」が印旛郡栄町にあります。市町村境界にあり、隣は成田市。
ここの「竹細工教室」は、いろいろある「むらの達人講座」の一つです。
房総のむら http://www.chiba-muse.or.jp/MURA/taiken/search.html で検索していただくと楽しい講座が沢山あります。
私は2011年度からこの講座でお世話になっています。この三月で丸6年が過ぎました。昔風に言うと年季奉公みたいな感じですかね?
年季奉公という言葉は,、辛い厳しい修行をイメージしますが、私達は先生のご指導の下で、毎回楽しく修行しています。
昨年度からは隔月ですが、それまでは毎月1回の講座でした。
どうして竹編みを始めたか
子供の頃の笊は全て竹製品。大きさも大中小様々でした。
農作業用の籠も藁か竹製品。
ず~と以前から笊や籠を手作りしてみたいという願望がありました。
特に夏の登山道の草刈りに参加して下さるボランティアの皆さんに、山上のネマガリ竹を材料に何か作ってお礼の気持ちにしたいと思っていました。
東日本大震災の年の2月ごろだったと記憶していますが、ぼうそうの村 の新年度受講生募集をネットで目にしました。
電話をすると「残り2名で締切です」という。先ず私は申し込み、友人にそのことを話すと「私もやる」との返事。そこで再度電話をして2名参加で定員満員。滑り込みセーフ。
何とかお土産にする笊が出来ればと始めた竹細工です。習い始めて2年目からソバ笊を作り、草刈りの最終日にソーメンを茹でて笊そばならぬ笊ソーメンを食べていただき、笊はお土産とする事が出来ました。
当初はネマガリダケではなく、真竹で作りましたが、その年の秋からは山形県の月山をはじめ、高山にネマガリダケを採取に行き、その加工技術を学び始めました。
このネマガリダケが中々曲者で、上手く割れません。以来このネマガリダケと格闘しています。
竹細工教室の仲間にもネマガリダケを供給して、皆さんと加工に挑戦しましたが、現在は私以外は皆さんがネマガリダケから手を引いてしまいました。
先日毎日新聞にも載りましたが、戸隠竹細工ネマガリダケのソバ笊作り職人の減少(3月27日)。ソバ笊作り職人は全国でも極少ないようです。(戸隠そばで名高い長野県も高齢化と過疎で減少したという職人の記事)
私も駆け出し者ですが、何とかそれらしい笊を真似て編んでいます。
今月は再度、福島県会津磐梯山の山麓の熊倉地区に行き、竹割の講習を受けるため予約しました。初心に帰って、改めて基本を勉強してきます。
熊倉地区で使用している先生方の鉈で、私にも割れるようになるかどうか?
私は市販の竹割鉈ではネマガリダケを先端(ウラ先)から割れません。細いウラの節でポッキリ折れてしまうのです。そこで三条の小刀鍛冶の坂光さん(銘)に私流の専用鉈を鍛っていただいて使用しています。先端付近(ウラ)まで割れないと、巻ヒゴや縁巻ヒゴは短過ぎて拙いのです。
2種類の坂光特製竹割鉈と刳り小刀 |
年季明けは何時?
年季には年季明けという一定の修業期間が定められています。
大工は○年とか左官屋は○年など。
籠屋(竹屋)は普通何年と言われているのでしょうかねぇ。
それは親方の家に住まわせてもらい、24時間修行と聞く(内弟子ですかね)。掃除、子守、雑用、何でもこなしながら技術は親方の仕種を盗み取るとか。
親方は、いちいちああしろ、こうしろとは教えず「技は盗み取ってこそ身に着く」と言っていた親方が多く居たと聞いたことがあります。
私達の教室では先生は親切に教えて下さいます。生徒の覚えが悪いので、同じような事を何人も何度も教わるのですが、中々身に着きません。
そうこうしている内に6年が経ちました。この分では年季明け前に閻魔様がお迎えを遣しそうです。
幸い17年度(7年目)の受講生になれそうですから、今年度は目的を絞り集中して進みたいと思います。
先生や先輩達の作品を拝見すると、あれも作りたい、これも作りたいと思うのですが、反面時間とも競争です。あれも、これもと欲を書かずに、幾つかの技法に絞り、集中してその技を磨くことが肝要と思う私です。
修行の6年をふりかえる
1年目:鋸や竹割鉈の使い方を教わる。
① まずは竹割。1節(上下の節を切り取った節無竹)を二つに割り、4つに割り、8つに割り、16に割る。
材料を2分の1に割ることから始めるのです。5mm幅位に細くしたらそれを薄くしていきます。これも概ね2分の1ずつに割っていきます。専門用語ではヘグ(木偏に分をヘグと読む)というそうです。厚さも2/10mm位まで薄くする事が出来ます。歯と指先で裂き割る仕種です。
1mm以下の厚さに割れるようになるまで、何度も何度も練習します。厚さも幅も均一にならなければ駄目なのです。ひたすら修行あるのみ。
② 節を挟んで二節の竹を①と同じように何度も何度も割る。
①で割れるようになった気がしていましたが、節越えが難しいのです。節を越えた瞬間に厚さが変わってしまうのです。この節越えの技術を会得するのにはかなりの時間を要します。人によってその時間のかかり方は様々ですが、私などは6年経った今でもイマイチの感があります。
これは幅も厚さも節を跨いでヒゴが出来るようになるのには努力有るのみです。
③ 比較的簡単な物から編み方を習います。
六つ目編み。私達はこれから挑戦しました。30cm×5mm×0,5mm程のヒゴを使用して編みます。ネットで「六つ目編み」を検索すると動画なども沢山出てきますので参照してみてください。
2年目:ソバ笊作りに挑戦。
真竹を使用したソバ笊。網代底というタイプ。
底の形は15×15本のタテヒゴを組み合わせ、正四角形。それを曲げて円形にするのです。これは先生の製作状況を拝見すると「出来そう!!」
なのですが、いざ自分でしてみると中々。四隅のヒゴ曲げが難物。折り曲げ過ぎるとポッキリヒゴが折れ切れてしまうのです。
それに円形にならず、楕円というか不整形なへんてこな物が出来てしまいます。
今から思えばとても人様には差し上げられる代物ではありません。しかし私も友人も精一杯製作した気持ちが優先して、恥も外聞もなくボランティアの人達にお配りをさせていただいたのでした。
3年目:本格的にネマガリダケの加工技術に取り組む。
根曲がり竹の特徴を大まかに言うと
① 根元(地際30cm位)が不規則に曲がっている。② 真竹などは枝の生え方が左右それぞれ一列に揃っているが、ネマガリダケは捻じれている。③ 真竹などに比べて繊維が丈夫。④ 背丈が短い(1,5~2,5m)
この特性を踏まえてヒゴ作りをするのです。
また竹の採取時期は他の竹と同じようです。9月にその年の春に生えた1年生を縁巻用に採取。10月ごろに霜が降るようになったら2~3年生を採取。
① 採取した竹はフク(竹の皮)を取り除き、こびり付いた汚れを束子で落とす。② 先端から二つか四つに根元付近まで割る(10cmくらいはそのままにしてばらばらにならないようにして保存)
この保存した材料を使用する時には1週間位水にどっぷり浸けて水分を取り戻し、加工をし易くして使用する。
*気を付けないと虫(ヒラタキクイムシ)に侵食されるので要注意。切時季が悪いと余計食われる。
4年目:ソバ笊の他何種類かの編み方を学ぶ。
5年目:八月の終わりころと記憶しているが、山仲間から「山さん スズダケの弁当箱を編めますか?」と話を受けた。
ネットで見たことはありますが、自分でスズダケの弁当箱を作りたいと考えたことは無かった。
これは網代編みという技法で、スズダケを3mm幅、0.3mm以下の厚さにしたヒゴを丹念に編んで行くものです。
私「上手く編めるかどうかわからないが、時間をもらえば挑戦してみましょう」と答えた。
以前からスズダケを阿武隈山系へ採取に行き、ソバ笊などを編んではいたので「やれば出来るか? やってみよう」と思ったのです。
しかし、後日軽る請け負いをしてしまったことに後悔したのでした。
編み方も単純に網代編みでは駄目だと気が付いたのです。先ずは図面できっちり編み姿を起こし、それに基づいて編まねば出来ないことを知ったのでした。
何回か試をした後で、方眼紙に網目模様を描き、それを編んでみる。
中々上手くいきません。そもそも方眼紙の図面がイマイチではないかと考えて、パソコンで描けないか考えました。キャドを使えれば書けるのですが、私はキャドは使えません。勉強しながらの熱はもう失せています。
何とか使えるソフトで書けないか考えた結果、Excelで工夫すればいいのではないか?
そしてやってみました。結果はOKでした。原図をコピィーすれば何枚でも途中から書き換えができますから。
これで書き直しも苦にならず、しばらくは弁当箱のデッサン。それを試作する毎日。
何個か試作してから先生に見ていただきました。「う~む。あとは身と蓋のサイズ調整だね」とのお言葉。
岩手県一戸町に鳥越地区が有ります。ここは江戸時代以前からこのスズダケを使用した竹行李作りをしてる地区です。
鳥越もみじ交遊舎という地区公会堂のような研鑽施設があり、技術の伝承と地区の発展に務めておられる人々が集っております。
そこの製品もネットで参考にしながら半年ほど工夫を続けました。
そして翌年(2016)三月の山仲間の恒例集会の時に、厳しい注文主にお渡しできました。なお、作業過程で作った試作品の幾つかを持参し、希望する人に引き取っていただきました。
6年目:教室開講日の主催者側のお話で「現在受講している人は、今年度で一旦終了(卒業)させていただき、来年度からは新しい人を主に募集したい」と。そうすると今年が最後ということで、怠けていてはいけないので、今まで習ったことを総括しなくてはいけないと考えました。
その様に考えて一年間を過ごそうと褌を締め直したのでしたが…???
7月に北海道、東北を旅しました。
そのおりに岩手県一戸町の鳥越もみじ交遊舎に行く事が出来ました。
作業中の職人とも話す機会が出来ましたし、館長さんにもいろいろお伺いが出来ました。また、作品をいくつも見学でき、昨年友人から頼まれた弁当箱も幾つも見学できました。さすがに本場物は違いました。何十年も前の作品は飴色の良い艶が出て惚れ惚れする品々ばかりでした。
10月終わりか11月初めの頃、山仲間の一人から「そば屋の笊そばの笊を編んでほしい」と連絡がありました。
私は即答で「私は素人。商売で使用する笊は編めません」。仲間曰く「以前草刈りの時にいただいた笊をそば屋で見せたら、ぜひ欲しいと言われ引き受けてきてしまったので作って欲しい!!」。
私はしばし考えてから「来年1月20日が竹細工の受講日だから、それまで勉強して試作品を持参して、先生に見ていただきOKが出たら作りましょう」。
それ以来まず真竹でソバ笊を何枚も作りました。網代底の笊をいくつも作りました。真竹で出来なければネマガリダケでは満足な物が出来ません。
そして1月20日にネマガリダケで編んだ笊を先生に見ていただきました。
暫く見て「大分良くなりました」。
私は「ソバ屋で使用したいと言うので作ったので、厳しく評価して下さい」とお願いしました。
先生はしばらく見てから「良いんじゃないの。これならお金を頂いても良いですよ」とのお言葉。
再度確認しましたが「良いですよ」とのことでありました。
まわりの仲間も「きれいな笊ですね」と褒めてくれました。
それから一生懸命編んで2月には出来上がった10枚を山仲間に送りました。素人ですから無論プレゼントです。
3カ月近くの間、かなりきつい日々でしたが、その甲斐があって私の技術も大分アップしました。(自画自賛)
友人にも言ったのですが「とてもきつい注文でしたが、お陰様で大いに私の勉強になりました」と感謝をこめてお礼を述べました。
後日談
蕎麦屋さんに大変喜んでいただき、出来たら更に編んでほしいと合格点の知らせ。
昨年の秋にこの様な事を想定しませんでした。ので材料がそれを満足するほど有りません。有るだけの材料で数枚編んで、残りは今年の晩秋に材料採取してからの対応としました。現在奮闘中です。
また、ソバ笊のお礼としてプロ仕様のそば粉を沢山頂きました。山仲間にもソバを打つ人が何人か居て、欲しい人にお裾分けしました。
そば屋さんご馳走様でした。