雪に埋まった角楢小屋を掘る |
2013年正月恒例の角楢小屋に行く。
この冬の根雪はいつもより早くきた。その雪は日本全国で被害を及ぼしている。
東京でも何年ぶりかの大雪が成人の日に降り、晴れ着姿が気の毒であった。
今年の角楢小屋行きは当初希望者が多く、小屋に収容しきれないのではないかと気をもんだ。
最終的には例年と同じ位の6名が参加となった。
前の日に積もった雪が深く、ラッセルが大変で中々距離が稼げない。
8時に徳網集落のはずれをスタートし、12時過ぎてやっと大石の吊橋に到着した。
スノーモービルが先行すれば圧雪されて、その後ろから歩けば楽勝と考えたが、雪質が悪く、我々がラッセルした後をスノーモービルが一番後ろから追いかける始末。
メンバーの皆に疲れが目立ち、リーダーの初男さんが心配して「ここから先へ進むのかい?」と何度も私に聞いてくる。
交通事故の後遺症などで、私がトレーニング不足で疲れは一番かもしれない。(だから私に聞くのだろう…)
今回も非常の際は雪洞を掘るとか、テントを張れるように準備をし、その装備を背負っている。
「4時までに小屋に着ければ何とかなるので行こう」と行動食を食べて吊橋を渡る。
雪中行軍 |
楽ちんと思いきや(雪質悪く進まない) |
深雪をかき分けながら | 沢の中にもルートを探す |
二番目の吊橋。白布の吊橋の手前の雪の着き方が異常のため、それを避けて荒川の中を進む。
今回は初男さんが2日ほど前にここまで事前調査をされていて、この情報が私に届いたので、全員長めの長靴を履いている。
カンジキを着けたままで川の中を歩くのは私も初めて。
白布平の森はシーンと静まり返っている。
いつものことながら、この白布沢を越えるのが大仕事。沢が空いていて、それを飛び越し対岸に渡る。
両岸の雪壁の高さがあり、飛び跳ね損ねて落ちると大変。
今年はわずかに両岸が接続している部分があり、沢に落ちることもなく渡れた。ヤレヤレである。
静かな森 | 吊橋の雪落とし |
急な雪壁はザイルで | 小屋をバックに記念撮影 |
最後の難所は角楢の吊橋。
特に荒川を渡りきったところの雪壁に阻まれる。
初男さんがスコップで雪壁を崩し、階段状にステップを刻む。ステップの最上段に山さんがピッケルを刺し、ザイルを垂らす。
後続の人はそれを手掛かりに登り切り、更に雪の急斜面に取り着く。最後の難所だ。
小屋は思っていたように雪に埋もれていた。
早速天窓を掘り出し、初男さんがまず中に入る。小屋入口の引き戸を開け、順次中へ入る。
更に大きく雪を掘り、出入り口を確保する。
酔って天窓から落ちたら大変だから。
勾配の急な雪の階段の出入口が出来あがる。
暗くなるころにはストーブに火が入り、小屋の中は暖かくなる。
点火の遅れた理由は、昨年の秋に利用した最後の人が、薪ストーブを使いっぱなしで、灰が沢山溜まり、煙突が煤で詰まっていたせいだ。それを綺麗に清掃するのに手間取った次第だ。
ストーブに鍋を載せ、雪を入れて水作りから調理は始まる。皆でそれぞれ協力して小屋の中を整理する人。料理を作る人。酒の用意をする人。
先ずはビールで乾杯!!!
こうして小屋の楽しい夜の幕開けである。
小屋に到着するまでの苦労が並み大抵では無かったので、話題に尽きる事は無い。
何時間語らっていたのか定かではない。昼の疲れからか、それぞれからやがて高いいびきが聞こえる。
この小屋のルールは「酒がもう飲めないと思った人は、奥から大人しく寝ること」である。誰もそれを止めはしない。リミットは自分で決める。
山さんは薪ストーブの火を消す訳にはいかないので、ウツラウツラしながら薪を補充して朝を迎えるのが通例。
囲炉裏の向こう側に陣取った O さんが、夜中に何度か薪を足してくれたようである。(山さんが居眠りしていたのを起こすのが気の毒になり…(優しい心遣い→感謝感謝)
出入り口掘り出す | ガンガン火を強く燃やさねば | 薪ストーブ上の調理 | 小屋の中 |
翌朝は炊き立てご飯と、昨夜の鍋の残りを温めて腹ごしらえ。
下るスピードは早い!!!。昨夜の強風で登りにつけたトレースも大分埋まってしまっているが、浅くなって分かりづらくなったトレースを拾いながらズンズン進む。
下山後は「りふれ」の大きな風呂で汗を流し、徳網活性化センターで地元の猟友会の人達との懇親会。
丁度NHKのクローズアップ現代の取材クルーが来て「マタギ文化」を取材中。
今日の日中にウサギを追って、獲物のウサギ汁での懇親会。これも取材対象のようである。チーフディレクターがマタギの親方から種々の話を聞いているようだが、会場が賑やかで話の内容は分からない。(地元の訛りも強いから)
民宿ふもとに帰還後も更に宴会は続く。
日本酒、ワイン、あと何か飲んだなぁ…。
今夜も何時に寝たのか全く分からない。
NHK取材班との懇親会(取材) | クローズアップ現代と女マタギと | 宴たけなわ | 民宿ふもとで更に |
朝起きると雪。
関東地方育ちの人達にとっては雪降りは嬉しい。宿の玄関前の除雪に汗を流す。珍しいので皆さん手を出す。
ひと汗かいてからの朝食は美味い。ここのご飯はおかずがいらない位の美味さ。
ゼンマイの煮物も美味しい。納豆に生卵。宿の奥さんの料理はいつでも美味しい。
朝食を済ませ、運転が心配な雪道なので、早々に出立する。
国道121号線で大峠をトンネルで抜けて、喜多方市にたどり着くとひと安心。
この時季の高速道路は運転に自信がないので、いつも下道(一般道)を走ります。
今回も白河市を国道294号線で通過して、茂木から笠間市に抜け常磐線沿線の友部駅でチームを解散した。
Nさんと交替に運転したので、疲労はいつもほどではないような感じ。彼はタフだから。
何事も無く全員無事に帰宅したと逐次連絡が入り、私も安心して一杯やって眠った。