芋飴つくり

2013/01/27


水飴状の完成品(見事に飴色)

 子供の頃(60年以上前)舐めていたのは「自家製芋飴」。
昨年のお盆で兄弟が集まった時に、私が「芋飴を舐めてみたいね」と言い出しました。
長兄(80歳)は「親の手伝いをしたので、だいたいはやり方を知っている」というのです。
しかし「大麦を作らないから、今は生麦が無いのでどうかなぁ?」とのこと。
芋飴作りには大麦のモヤシを粉にした麦芽粉が無いと飴にならないのだそうです。

帰宅後ネット検索をして、飴作りのにわか勉強。
そして大麦探し。石川県の能登地方で栽培、販売をしている事を知る。
秋の頃にそのネット販売の所に注文して生大麦を手に入れた。

11月になってサツマイモを収穫したら作ろうということであったが、いろいろあって年を越し昨日(1月26,27日)実施した。

芋飴作りの手順
  1.イモ洗い  2.芋切り  3.芋炊き  4.モヤシ切り(麦芽)  5.保温  6.絞り  7.飴炊き(煮詰め) 完成

1.芋取り・イモ洗い
 畑に行き、芋穴(保存用の芋穴)から芋を取り出し自宅に持ち帰る。そして大きな桶に水を入れて、正にイモ洗いをする。農家にはサツマイモやサトイモを1m程の木の棒を組み合わせて「イモ洗い器」なる物があり、それを使ってゴリゴリとやって綺麗にする。

2.芋切り
 綺麗に洗った芋を厚さ数ミリに薄く切る。これが結構大変な作業。根気のいる作業である。

芋切り この位に切る モヤシを粉砕 モヤシ切り

3.芋炊き
 切った芋を大釜で炊く。今回は庭に特製の竈を設置した。
この地方では催仕事が有ると、この種の竈を設置して、大人数の飯を炊いたり、みそ汁などを作って食す風習が有るので慣れたものである。
炊けた芋を別容器(大きなプラスチック製の漬物樽)に移す。結局今回はこの大釜で3杯炊いた。

4. モヤシ(麦芽)切り
  容器に入れて少し冷まし(≒60度C)モヤシを入れてよくかき混ぜる。
モヤシは前もって長兄が発芽させて(水に浸してから9日かかったそうだ)、干して保存してあった物を使う。そのままでは粒粒なので、石の上で木槌で叩き粉砕する。芽の部分はモジャモジャ。麦粉は意外に少ない。粉とモジャモジャを炊いたイモ汁に良く混ぜ込む。

5.保温
 よく混ぜた芋汁を冷めないように布団を着せ60度で保温する。これは容器全体を新聞紙で包み、その上から南京袋を被せ縄で縛る。
約6時間この保温を続ける。これにより芋の澱粉質が糖分に変化するらしい。

厳重に保温 撥ね(テコ)を使って飴汁を絞り出す 飴汁を炊く 大分煮詰まった(完成間近)

6.絞り
 6時間経過した原液を、撥ねを利用して絞り出す。袋詰めした原液を先ず手で絞り出し、その後は竹簾の上に乗せ、テコ棒をセットして時間を掛けて絞り出す。チタチタ音を立てて下の桶に液が落ちる。
今回は孫を棒の上に載せ、重り石の代わりとした。子供は喜んで、シーソーの感覚のようである。
約1時間かけて絞りは終了。絞り出した汁を麻袋に入れて、更に細かい澱を取り除く。

7.飴炊き
 絞り汁は大釜に入れ、最後の工程の飴炊きをする。これは余分な水分を蒸発させる作業である。
グラグラ煮え立ってくるとアクが沢山出てくる。それを丹念にすくい取る。取っても取ってもアクは出る。飽きるほどこの作業が続く。
やがて泡の質が変わる。始め細かい泡だったものが、ブクブク吹き出すカニの泡のように変化する。第1の変化点だ。
更にに詰めていくと、泡が亀の甲状の泡に変化。これが第2の変化点。こうなるともう完成は間近のようだ。
今回は18時を過ぎて暗くなったので、水飴状のこの段階で完成とした。
本当は更に煮詰めて容器に取ると、川崎大師でトントン叩いている、あの飴になるそうです。この頃の火加減は非常に微妙。カルメラを煮詰めるのと同じようです。火が強ければ焦げるし、弱ければ時間がかかる。
最後の状態は泡はもう出なくて、グラングランした?状態のようです。今回はそこまで炊き込まなかったので、私はその変化点は見ていません。次回確認しましょう。

終わりに
  今回念願の芋飴炊きを60年以上振りにしてみた。
兄弟の記憶をたどり、ネットで資料を検索して実施。思っていたよりも仕上がりは良かった。
道具立てで更なる工夫点がいろいろ見つかった。これから時間をかけ、それらの気付き点を道具作りに生かしたい。
次回は今年の秋。サツマイモが獲れたら仲間を集め、テントを張り賑やかにやってみよう!!!
やはり長兄はすばらしい。ネットで多少の知識は得たが、長兄の記憶が無ければ成功はしなかったであろう。
それに長兄は発明家で、今回の道具立てはすべて彼の作によるものである。
私などは知ったかぶりをした理屈を並べるだけで、何の役にも立たないということを改めて知ることになった飴炊きであった。
次回仲間と飴炊きをする時は、その知ったかぶりでやりましよう。