香川県

2009年4月26日


26日夕方猪ノ鼻トンネルを抜け、香川県に入る。雨の国道32号線を押したり乗ったりして、体力テストをしてきた感がある。
猪ノ鼻トンネルを抜けると、一挙に平地に向かって転げ落ちる感あり。平地に出た所に道の駅「たからだの里さいた」がある。
此処で今夜の食材を調達する。美味そうな牛肉パックも。
満濃池まではあとひと踏みの距離。県道197号に入り、満濃池を目指す。満濃池へ右折する交差点を見逃し、直ぐ先の交差点を右折。
これは間違いで、この道は「国営讃岐まんのう公園」の取り付け道と気が着いたのは、公園の中にかなり入ってから。

気がついた時はもう薄暗い時刻。急いで正規の道に戻り「ほたる見公園」の芝地にテンとを張る。
此処は水洗トイレや水道もあり、ジュース類の飲料水自販機もあり申し分なし。
満濃池は随分前から一度は行きたい所。明日の朝が楽しみ。

満濃池
 瀬戸内の平野で稲作が始まって以来、水不足に苦労されてきたことでしょう。(瀬戸内海気候は雨が少なく塩田が盛んだと昔学校で習った)
そのため、溜池をたくさん造ってきた。平安時代にもおそらくそうであったことでしょう。
よく言われることは「弘法大師は土木技術を中国から伝授してきた」と。
故郷讃岐でその技術を発揮して、満濃池の改修をしたという解説版が、池の畔に掲げてあった。
満濃池は弘法大師が改修した後も幾度と無く、改修を続けて現在に至ったと書いてある。

土木技術屋の端くれとして、私も一度は満濃池を見たいと願っていた。それが別格17番神野寺が、池の傍であったのは意義深い。
日の出と共に目覚めて「満濃池の朝」を迎えた。丁度対岸から太陽が昇り、水面のさざ波がキラキラ光るさまはなんとも言えない。
この日はこのあと「香川用水記念公園」にも行き、弘法大師以来の水に係わった人々の足跡を見学した。
吉野川上流にある早明浦ダムは現在の満濃池だろう。

猪ノ鼻トンネル入り口 別格16番萩原寺客殿 70番本山寺近くの遍路休憩所の我が家

雲辺寺
 香川用水記念公園から本来は県道5号線、R377号で大興寺、萩原寺、雲辺寺がルート。
地図上で山裾にクネクネしている市道があり、距離的にはむしろ近いようである。このルートは多少の起伏を覚悟すれば楽しいかもしれない。と思いこれを選択したのだが、これが大間違いであった。
道はクネクネだし、坂道は多いし、おまけに紛らわしい枝道に入るしで散々。雲辺寺を徒歩で登つもりでいたが、迷わずケーブルを使用。なけなしの体力を消耗してしまった。

ケーブルから眼下の深い谷を眺めながら、もう少し早ければ桜が綺麗であったろうと想像する。
雲辺寺本堂は新築中である。あちらこちらで札所は建築が盛んである。お布施が多いのだろうかと変な気を回す。
御手洗の傍で若い自転車遍路に会う。何と此処までママチャリで登ったという。(彼とはこの後も何度かスライドする)若いということは考えられない事をするものだ。
前回、夜の五百羅漢様には異様な物を感じたが、お天道様の下では実に楽天的である。特に睫毛が長〜く、両の手でブランコしている羅漢様はユニークである。どれにも○○尊者とあるが「尊者」とは何だろう?
ネットで検索してみたがイマイチ不明である。何方か分かる方、教えてください。16羅漢とか五百羅漢も良く分からない。

ケーブルを往復利用した。
乗り場に戻り、外の売店で夏みかんを150円で5個買う。まず1個をその場で試食。甘い。
駐車場から一直線に下るとそこは萩原寺。
茅葺の立派な本堂? と思いきや、これは客殿。本堂は道を隔てた側に山門があり、本堂への石段が続く。

納経を終えたところで、中年の2人の自転車遍路に会う。聞けば石川市から自転車に乗り5日掛け、橋を渡り四国へ来たとのこと。真っ黒に日焼けしている。
萩原寺を出て、大興寺へ向かう。大興寺の山門で若いチャリダー二人に会う。一人はマウンテンバイク、もう一人はママチャリ。
ママチャリの若者には雲辺寺で出会いびっくりした人だ。ママチャリで雲辺寺の坂道を登りきるのはすごいこと。

68,69番札所を打ち、70番を17時前に打つ。
その山門のところでお会いした小父さんに、今夜のテント場についてお聞きしたら、前の川を渡り下流に少し下ると休憩場があるので其処が良いと教わる。
スーパーで買い物をして教わった所でテントを張る。写真のように快適な所であった。水洗トイレ付である。
場所もロケーションも良いが、線路が近い。そのため夜中も貨物列車の通過音に目を覚ます。
遠い夜汽車の音はロマンチックなのだが、近過ぎると騒音になってしまう。

善通寺
 4月28日の朝は夜汽車の音で寝不足気味の遅い起床となった。
71番から75番善通寺を順調に打つ。
善通寺は五重塔が特別公開と言うことで賑わっている。
ところが、山門を一歩出るとまるでシャッター街。私は門前町で美味いウドンでも食べるつもりが当てが外れた。善通寺と言えば四国を代表する街だ。前回は暗くなってから町を歩いたので気が付かなかったが、これほど商店街がだめになっているのには驚いた。
前回は銭湯を探したが閉めてしまったり定休日であったりで、がっかりしことを思い出してしまった。

郊外型の大型店舗が、古い伝統ある町並みをダメにし、市街地の空洞化は止むことが無い。少しでも安い物を求める市民に問題があるのか、規制緩和という名の下に、遠慮なく土足で片田舎まで入り込む大型店に問題があるのか。難しい。
アメリカをモデルに規制緩和を推奨する大臣と総理が指導した規制緩和。あの日本の不景気の中ではそれも必要であったのかもしれない。カンフル剤として規制緩和をしたと思うが、そのアメリカもリーマンブラザーズに端を発したバブル崩壊。分かってみたらインチキ商法。それも大手金融機関の数々。(アメリカという国そのものも介在して)
不景気を知らないと言われた名古屋圏は、今、自動車が売れない事であえいでいる。
何が悪いのか? やっぱり指導者の質かなぁ。

しばらく走りR319号沿いの吉野屋に入る。腹がペコペコで、牛丼とカレーを食べたいと思っていたら、有ったのですそれが。牛丼にカレーをかけた物。見た目には気持ち悪いようだが、食べると意外にいける。\460也。

善通寺の五重塔 善通寺門前町のシャッター街 吉野家の牛あいがけカレー

海岸寺(別格18番)
 海岸寺へは74番甲山寺から行くか、76番金倉寺から行くのか迷うところである。
私は後者を選んだ。いづれのコースでも距離的にはあまり変わらないだろう。74番まで進むと、75番善通寺に行きたくなるのが人情かと。
海岸寺は他の札所と違い、納経(記帳)が本堂と奥の院という大師堂双方ですると言う。何か変な感じ。寺の構えと言うか堂迂は、奥の院というところのほうが立派。
巡礼者からは、勢力争いなのかと感じられた。
海岸寺への道すがら、遠くから見ると奥の院の塔が小高い山の上に見え、其処を目安に私もペダルを踏んだ。
本堂は一見して此処が札所? と思えるような構え。また、納経を済ませたところ「本堂の奥のほうもどうぞ見て欲しい」というお言葉。

おずおずと奥に進むと、色紙や書や仏画が展示即売様。私には芸術鑑賞の眼力が無いため、何も購入しないで外に出た。
奥の院でも「ご希望により記帳をしますが、300円です」という。同じ札所で2倍の600円を払う気持ちになれずに記帳はパスした。

夕方高照院を打ち、81番白峰寺へ向かう。今夜は坂出のかんぽの宿で温泉に浸かり、生ビールを飲んで寝ようと考えた。
白峰寺への自動車道は始めきつく、上るにつれてペダルを踏むことが出来た。暗くなる頃に温泉に浸かる。
宿でのガードマンにテントの張れるところを教わる。白峰寺入り口の駐車場前の広場にテンとを張り休む。
明日は7時前に出発すれば直ぐ目の前が白峰寺。テントでもう一度飲み直す。

大窪寺
 4月29日は81番白峰寺から85番八栗寺を打ち、R11号志度湾を臨む道の駅「源平の里」にテンとを張るつもりで行ったら、若い職員が胡散臭そうに見ていたので(テント泊御免の建て看板もある)、聞きもしないで牟礼港傍の小公園にテンとを張った。
朝一で志度寺、長尾寺を打ち、大窪寺に向かう。前山ダムで休憩を取り、R377号を走り大窪寺に着く。
大窪寺も二度目なのと、今回の打ち止めが17番井戸寺なので、前回のような結願の思いも湧かず、早々に打ち終える。
大師堂を出た所の御土産屋で手打ちそばを注文する。蕎麦はまあまあだがメンつゆがいただけない。「名物にうまいもの無し」

大滝寺
 別格20番大滝寺へは、R193号を夏子ダムまで走る。香川県さぬき市から徳島県美馬市に入った。堰堤傍の「夏子いなか市」休憩所兼お土産売り場で名物の饅頭1パック5個入り400円、梅干1袋200円、夏みかん1袋5個入り150円、を合計750円で購入。
これはこれからの非常食用である。
地理院製の25,000分の一図をわざわざ購入して遍路路を選択した。へんろみち保存協力会編の地図帳も持参。
13時ダム発。へんろ協会の地図編を見ながら、丹念に入山口を探しながら自動車道を進むが、遍路路が見つからない。H450表示の所の民家で入り口を確認する。この家の奥さんは「道は無いけど尾根を拾っていけば登れるそうです。時々あなたの様な人が登ります」との回答。民家裏には水田や杉林への耕作道がある。それを過ぎると道らしきものは不明。
朝日連峰の藪山を日頃歩き回り、それなりの自負心がある私が、ここでは道を見つけられない。
確かに協会編の地図には「6月〜10月、草木繁茂で通行不能」と書いてある。しかし、道も道標も発見できなかった。

3時間かかって大滝寺にやっと登り切る。
寺の住職の話では「協会にこのルートは消して欲しいと申し入れているが、未だに残っていて困っている。遭難騒ぎも起きている」。
私も同感である。地図にルートがあれば、多少山慣れしている者は歩くかもしれないと考えてもらい、ルート調査をして、所々に道を認識できる道標のようなものか、せめて赤い布切れをぶら下げておくべきだろう。
協会の皆さんご検討下さい。
ご住職に接待していただいた「お茶のペットボトル」は、今、我が家の仏壇に供えてある。記念すべきお茶だ。ご住職の心がありがたかった。
また、ダムサイトで購入した饅頭は実に美味かった。手づくり風の蒸かし饅頭。いまレシートを見ると団子と印字してあるが、直径5センチはあるので団子よりは饅頭である。
 余談:レシートを良く見ると販売時間12:26、出品者氏名、値段などが細かく記載されている。レシートはメモ代わりにもなるのだと改めて眺めている。
このお徳の品々は、この山道で大変助かった。

下りは車道を3時間掛けて(≒16km?)ダムサイトへ19時に到着。
20時30分 美馬市の道の駅「藍ランドうだつ」に着き、目立たない所にテンとを張り、遅い夕食。道の駅に行く途中の大型スーパーで食材も飲み物も充分購入した。
今日は精神的に大分疲れた。

翌日脇町の町並みを見学して、11番藤井寺を目指し吉野川の堤防を一気に下る。

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