四国を行く

2008・11・03


 四国を走って早や半年。
四国自転車遍路を振り返って、小文をまとめようと考えていたのだが、あれから半年経ってしまった。
4月24日徳島港に上陸して、時計回りで5月8日に四国を一周して徳島港に帰った。走行距離は1137km。
海岸の道は大きな坂も無く走れるだろうと考え計画をしたのだが、四国は坂道が多かった。
よくよく地図を見ると四国は平野の少ないことに気がついた。

自転車は楽チンと考えたのが甘かった。
装備はテントをはじめ宿泊装備などを〆て15kg。これは前回の荷物と同じだ。それに自転車が15kg。合わせて30kgが今回の合計重量。私一人で移動する総重量は30kgと考えずに、15kgとして計画を練ったのが間違いだった。
平坦地は自転車の威力で楽チン移動。ところが「上り坂」になると30kgを持上げなければならない。
道路勾配が6パーセント位までは、ギヤを切り替えて何とか登れるが、それを越えると私の脚力では登れない。自転車から降りて押し上げなければならない。高低差が小さければそれ程でもないけど、長い坂道は何度も休み休み、大汗をかきながら悪戦苦闘。
「自転車遍路攻略本」というのがあるそうだが、私はそれを読んでいない。それには坂道のことが解説してあるかもしれないが、歩きと異なり、登り坂道の労力を走行距離に組み込まないと、私みたいにひどい事になるのでご注意を。

 自転車は坂道は辛いが、辛い事ばかりではない。自転車の長所は寄り道を苦にしない事である。
それに少々の荷物が増えても気にならない事。これは道すがら、採れたて農産物や魚介類を買い求め、テントで般若湯の供とする。
足摺岬を過ぎて「めじかの里」という道の駅では、バイクツーリングの人達を交えて開いた夕食会で、持参の包丁が大いに役立った。

精進料理をいただき、清楚に歩くお遍路は理想かもしれない。が、私のように弘法大師の大ファンでも無い者にとっては、昼間の苦労を、夜のささやかな食事で元気を取り戻す事が楽しみなのだ。それには般若湯が何よりである。そのお供が新鮮な小魚なのだ。
などと屁理屈を付けて毎晩いただいた般若湯。お陰様で挫折をせずにまわれました。

振り返って、今回の旅を自転車での物見遊山とは思わないが、お遍路に深い思いを込める者でもないので、一言では総括できない。
けれども、札所札所で手を合わせ、般若心経を唱え、登り坂を自転車を押し上げ、半月をかけ四国めぐりをした結果、すがすがしい気分に成れている。気力も体力もまだまだ大丈夫だと実感できた事は、これからの生き方にそれこそ「光明を見た」思いだ。
ご利益はこれに尽きるかなぁ。人生未だまだ大丈夫だと。

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