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八十八カ寺の一番寺 霊山寺山門 | 23番薬王寺の満開の桜 |
20年位前からなんとなくお遍路をしてみたいと心に留めてきた。
それは信仰心というよりも未知への旅、或いは山歩きの延長線で「お遍路をしてみたい」というような気持ちなのかなぁ。
仏教徒ではあるが信心深い者ではない。彼岸や盆には墓参りや線香をあげるが、日ごろ仏教には縁遠い生活だ。
お遍路を続けているうちに考え方が変わるかもしれないが、強い信仰心や信念はほとんど感じれない。
ブームにのった軽い気持ちでもない。それなりにお遍路には敬意を持っている。
このような者がお遍路では「弘法大師」に申し訳ないが、とりあえず出立しようと思っています。
工程完全徒歩。完全野宿。を目指す。
風呂と洗濯が心配だが、温泉センターや銭湯があるといいが、遍路地図ではなかなか見つからない。
だから適度な間隔でビジネスホテルにでもご厄介になることも考えている。
基本は野宿。これは山登りで日ごろ実践中。
風呂は沢での行水。四国には水のきれいな川があるというので(四万十川みたいな)まあ何とかなるか?
昨年暮れに石川県小松市に旅をした。そのおり、知人の知人ご夫婦が二年連続で徒歩に野宿スタイルでお遍路をしていることをお聞きした。
昭和5年生まれと聞く。私はそれよりは一回り以上若い。やれないはずは無いだろう!!
甘いかなあ?
日ごろのトレーニングにより、今回の「おへんろ」にあたって「足」はまず大丈夫であろうという自惚れがあった。
職場を見渡しても私ほど日ごろ足腰を動かしている者はいないので、少し甘く考えていた。
でも、昨年八十八箇所のお遍路をした友人から「豆が一番心配」というアドバイスをいただいて、少し心配になり3月13日の日曜日にとりあえず30kmを、少しばかりの荷物を背負い歩いてみた。
アマイ〜 結果は足の小指が二倍になってしまった。血豆である。
一週間後、幅広タイプの靴を新調して再挑戦。今度は荷物も倍増した。結果はまたも更なる豆。今度は底豆。親指と人差し指の間。指の付け根に大きな豆。
どうやら走るのと歩くのでは足への負担具合が違うようだ。
四国は遠い〜。
日ごろの自分の生活ぶりに少し自惚れがあったようだ。
でも、少々の不安があり事前に足を試したのは正解。4月の当日までにはある程度豆も固まり、歩くのには支障が無いことを願う。
恐る恐る指や足の平を触ると、大分硬くなっている。でも未だ右足の小指は水が出そう。
教訓その一 自惚れずに確実にトレーニングメニューを消化。そして万全を期して本番に備える。これである。
でも、不安もあるが本番が楽しみ!!!!
気候も4月になれば春本番。桜も満開か。四国路は花の道か。胸がわくわく。
不謹慎ではあるが地産地消でうまい野菜、うまい魚、うまい般若湯。
トレーニングは今日で打ち上げ。
今日は3月27日。 今日も20kmのトレーニングをした。
心配していた足の豆もどうやら固まったようだ。多少の痛みはあるが、あと一週間あるのでまあ大丈夫そうだ。
孫たちの五月もまもなく。今朝は孫の鯉のぼりを上げるためにその竿を立てた。早速鯉を上げ、皆で眺めた。今年は孫が一人増えたので一匹鯉を買い足さねば。
さて、いよいよあと一週間で出立。多少の心配は消えないが、桜の花と共に私も西国に出立。胸の高鳴りを感じる。さあ、いよいよである。
4月3日雨。
板東駅に早朝に到着。
早速、一番寺の霊山寺に向かう。駅で千葉県流山から来られたk氏と同行。寺内の売店で装束や七つ道具を買い揃える。
出立前にT氏から作法などをお聞きして予習してきていたのだが、どのようにすればいいのか? 中々まごつくものである。
とりあえず見よう見まねで灯明を上げ、線香、納め札に記名し、般若心経を黙読(声を出さなければいけないというが、上手くいかない)
そして、納経所で寺名墨書と御朱印。更に300円也を納める。
これで二番寺へ向かう。外は雨。初日から雨合羽を身に着けてのお遍路。
こうして私のお遍路が始まったのでした。
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遍路路はその多くが県道や国道の歩道を歩きます。 でも、このような路も結構あります。 |
徳島県由岐町山座峠近くの旧土佐街道 チョンマゲの侍が出てきそう |
今回1番寺霊山寺から30番善楽寺まで、およそ330kmを歩きました。
写真のような野道を歩いている時は気分爽快。また始めの頃は歩道を歩いていても気分は良かった。
12番焼山寺を下り、次の大日寺に向かう長い道路歩き。この頃からなんとなく違和感が感じられるようになった。
23番薬王寺を過ぎる頃からその違和感の原因が分かった。
それは歩道が人間の歩くのにははなはだ不都合に出来ている事。
私は長年土木屋として車道も歩道も設計し、造ってきました。その現役の時は気づかなかったのですが、今回歩いてよくよく分かりました。
まず第一
歩道切り下げ。 これは沿線住民の要望を受け、宅地への車の出入りがスムースになるように歩道の一部を切り下げること。
第二
横断勾配。 道路構造令というのがあり雨水が側溝に流れるのに支障の無いように、少しだけ勾配をつけることになっています。
これで出来ていれば問題は無いのですが、実際は道路と接する土地の条件により、右上がり、右下がり、勾配もまちまち。
歩道と言いながら、車の出入りや道路脇の土地利用により歩道らしきものは凸凹だらけなのでした。
長い距離を歩くと良く分かるのですが、これが足への負担を増大させて、ボクシングのボデーブローのように徐々に効いてきて、このようなところを歩くのがいやになってくるのです。
同行者同士で話をするのは足のことばかり。そして危険を承知で車道を歩く。外側線の歩道寄り。これが歩くのには一番いい。
長い道のりの中では道路構造令の勾配どおりのところも当然ありました。
更に設計者が工夫をしてマウンドアップの構造であるにもかかわらず、歩車道境界ブロックは元の物を残し、歩道だけを切り下げ、フラットタイプにしている優れものもありました。
今作る歩道はフラットタイプが主流(自転車歩道という)。弱者に優しい歩道ということで歩車道境界ブロックだけを敷設して、歩道の高さは車道と同じ。
自転車が歩道を走り、トラブルを起こす事故を時々見聞きしますが、車道と同じ高さで歩車道境界ブロックだけを残した自転車歩道があります。
是だとお遍路さんも足への負担が軽減できて良いのですが…
四国四県にお願い!!!
四国は遍路の国。道路建設、道路維持に関わるすべての皆さんにお願いします。歩き易い歩道をぜひ作ってください。
既に工夫をして建設費を安くして「フラットタイプ」にした歩道のように、歩き易い路を作ってください。
車や隣接住民にも喜ばれて、何よりもお遍路さんが案心して歩き疲れない歩道を。
一時期流行った側溝をマウンドアップ歩道のように作ったあの構造物は止めましょう。蓋がガタツキ、水抜きの穴が大きく、つま先が入ってしまい歩き難いです。
改築の折は是非歩く人に優しい道を作ってください。一寸工夫をするだけで建設費は同額くらいで出来ます。(既に既設がある)
私が土木屋の端くれとして今回歩いた感想。いつわざる感想です。
過日、民主党の菅さんも同じようなことを言っていたようにTVで見た気がしますが。
四国四県の道路行政に関わっている方、是非自分たちの道を歩いてみてください。一日当たり30kmぐらいを3日ぐらい歩けばよく分かります。
四県は好むと好まざるに関わらず、お遍路の人々が押し寄せていますし、今後も続くでしょう。
お遍路は「歩き遍路が一番」と言いますので、その歩く人たちにも住民にも体の不自由な人々にも優しい道作りをしてください。
お願いします〜。 四国の土木やさ〜ん!!
この度のお遍路では幾度もご厚情(お接待)を受けました。
以下にそれらをご紹介すると共に、ここに厚くお礼を申し上げます。
@二番日照山極楽寺を過ぎた辺りで、お盆を抱えたご婦人から雨の中でジュースと小さな巾着(賽銭入れ)をご接待いただく。
AJR高徳線阿波川端駅前の自動販売機でジュースを買ったら、120円入れてお釣りが400円も出てきてしまう。(無人駅で誰もいないのでありがたくご接待?) 南無大師遍照金剛。
B七番光明山十楽寺前の食堂で、今晩食べる野宿のおかずをご接待。
C徳島市内で新町温泉の場所を訪ねたら缶ジュースをご接待。
D徳島市内で新町温泉に入ったら風呂代はご接待とのこと。最高の気分になりました。ひげも剃りきれいさっぱりしました。
E小松市内の惣菜屋で買い物したら、今夜のおかずにと揚げタテのコロッケをご接待。
F21番太龍寺で携帯電話を紛失に気が付き戻る。麓の畑のお爺さんに軽トラをお借りして(見ず知らずの方です)休んだ所(那賀川の橋を渡った先)まで戻り、無事回収。
お爺さんありがとうございました。
G22番平等寺の近くの阿南市大根地区では運動会の時に張るテントで地区の方々のご接待を受け感動。
H23番薬王寺山門脇の広場は桜が満開。ここで花見の宴にご招待を受ける。おまけにこの夜は大工の棟梁田島様の宿泊のご接待も!!
Iこれは接待ではないが、阿南市福井南小学校辺りから真っ黒な犬が、私の前になり後になり、その後薬王寺まで10数キロ着いてきた。
薬王寺で大勢の花見客の中に消えるまで。最後の頃は私が休む度、道路に大の字になって休む様はこっけいでもあった。
J高知県赤岡町赤岡駅近くのラーメン豚太郎さんには飲み物(生ビール大と熱燗2本)の他に朝食用にと、おにぎりと缶コーヒーまでも
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阿南市大根地区の接待所 | 日和佐町薬王寺前の花見の宴 | 飲み物ご接待のラーメン豚太郎 |
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歩き疲れて休む黒犬(薬王寺にて行き方不明) | 安田町のバス停(大雨の一晩を泊めていただく) | かつおのタタキ載せたご飯(食事が楽しみ) |