03BUNA事情

2003/05

米坂線 伊佐領駅北のブナ山の芽吹き

芽吹きの遅れ

 朝日連峰ではこの冬、積雪が例年より少なかった。なのに、この春のブナの芽吹きは遅れていた。
五味沢のマタギたちは熊狩りで山に入り、この現象は「地温が上がらねぇからブナのホキがおぐれているのだ」という。
そういえば例年は、コゴミが沢山出る私の「山菜畑」に今年はぜんぜん発芽していないのもそういうことか。4月28日現在、ブナの芽吹きは標高400mあたりから500mぐらいであった。
私の今までの認識では、冬の積雪量によって春の芽吹きが決まるのだろうと思っていた。だから積雪の少ない今年の芽吹きは早く、連休の前半に朝日連峰に入らなくては、奥山が青山になってしまう。そうなれば藪が顔を出し、自由に山歩きが出来なくなってしまう。そのことが心配で気もそぞろになっていたのです。
実際4月26日に角楢小屋に入ったのだが、小屋のあたりは梢の先端がかすかに淡い緑色を帯びてきている状態でした。
 27日は朝から暖かな良い陽気になりました。昨日の豪雨が嘘のような陽気。荒川の水量も減り、濁りも大分澄んできました。この分であれば午後は岩魚釣りも出来そう。
朝早くから藪尾根に入り、山の上からブナ事情を観察することにした。夏のような陽気で、下着一枚で小屋の前の藪に取り付く。汗がすぐに噴出す。
昨日は気がつかなかったのだが、コブシの花がほころんでいる。未だ咲いたとはいえない半開きの蕾。侘び助のおちょぼ口のようだ。
高度を上げると藪に積雪が顔を出す。いつも履いている地下足袋はザックに仕舞い、今回はスパイクつきの長靴に履きかえる。冷たくなくて実に良い。難点は勾配がきついところでは足首が逃げてしまい踏ん張りがいまいち。
手で柴を引っ張り、足で踏んづけ手足4本をフルに使い高度を稼ぐ。祝瓶山の7合目位の高さまで登り、今年初めての朝日連峰の山並みを眺める。
残雪がいつもの年よりも少ないようだ。ブナの芽吹きはまだまだ裾野のあたり。袖朝日方面のセッピは例年と同じだ。ザックリとしている。
桧岩屋山の中腹のぶなの木に黒い物体が見える。熊だ!!
熊はのんびりと木に登ってくつろいでいるように見える。冬の厳しい試練を抜けてしばしのんびり昼寝か?(木の上では寝ない)
しばらく休みながら写真を撮り、昼飯を食べて下山する。

針生山から祝瓶山(ブナの芽吹きは未だ)

岩魚

 夕方荒川に下りて岩魚のご機嫌を伺う。
昨日以来の濁流も収まり、丁度良い「ささ濁り」。川の中央は未だ勢いよく流れているが、岸辺近くの石裏に良い流れが出来ている。
まずは流心に入れてみる。そして2〜3投めに石裏のゆるい流れに入れてみた。しばらく目印が円を描くように停滞する。そして「来た!」。まずまずの型。
これで今夜の肴は出来た。釣りを止め、河原で未だ小さい蕾のフキノトウを10個ほど採集し、てんぷらの材料とした。
今夜は午前中に藪山で採集した寒ワカイ(きのこ)と岩魚、それにフキノトウのてんぷらでこの春を十分に楽しもう。
今夜は仲間3人で水入らず。心行くまで呑み、語り明かしたい。
今夜は闇夜。さぞかし星がきれいだろう(実際、この夜は見事な星空であった)

野火

 米坂線伊佐領駅を望むことが出来る国道113号線を車で走行中、山から煙がモクモク。
よく見ると観光ワラビ園の下草焼き。野焼きをするとこの春のワラビの発芽、生長がいいそうです。
そう言えば今日の帰り道、五味沢の’りふれ’裏山でも地元の人たちが出て、ワラビ園の野焼きだと言っていた。まもなく山菜の盛りになるのだ。
関東地方では冬の終わりごろ、田んぼの周辺の雑草焼きを、消防団などが出てやっている。あれは稲につく害虫駆除が目的だ。
ここの野焼きはかつてしていたという焼畑(カノという)の名残かも。