はじめに
人気番組NHK総合TV『プロジェクトX』で”伝説の深き森を守れ・世界遺産・屋久島”縄文杉7200年の神秘 を放映していた。
屋久島生まれの二人が、あるきっかけで島に帰り、屋久杉の保存活動の記録である。
島民に白い目で見られながらも情熱、信念で保存活動をした厳しい活動の記録である。
その杉を切り倒すことで生計を立てている人々を向こうに回す活動というのはすごく厳しい運動である。
そのようなことをしている人々は屋久島に限らず各地に今でも沢山いるはずであるが。
島民を説得する厳しい日々
近所の人や村の人々が杉を伐ることで生活をしている。その中へ杉を伐ることを止めてほしい。杉と共存できないか?杉を保存しよう!と説得することの厳しさ。
想像に余りある運動である。頭が下がる思いを強くした一時であった。
この番組を見ていて不思議な思いをしていた。
それは「先祖代々杉と共存してきた大切な杉を、我々の代で食いつぶすことを止めよう。次の世代にこの杉の行く末を委ねても良いのではないか」という下りがありました。
「どこかで聞いたせりふだ」と思いながら見ていた。
そうだ私がかつて朝日連峰の林道建設やダム建設に関して、麓の人々に言っていた言葉と全く同じせりふであったのです。
熟知している人々
杉を伐ることにより生じる問題を一番よく知っている者は、伐っている人々、その人なのである。
これはかつてブナを皆伐した人々も全く同じだ。
しかし生計を立てるために出来る仕事は木を伐ることであったのです。
自分の生活の糧を捨ててまで木を伐ることを止めれるでしょうか?
悲しいことでありますが、私もおそらく木を伐ります。そして木を伐り尽くし、やっと止め、何処かをさまよいながら木を伐ってしまったことを悔やむことでしょう。
そのことを誰が咎められるでしょうか。
このようにして全国でブナの木を伐ったのです。
今でこそブナの森の大切さを認識して、保存を叫ぶ人が沢山いますが、昭和30年代の時代背景から見たときどうでしょう。
昭和20年に戦争に負けて、戦地から復員してきた人々や内地で厳しい生活をしてきた人々に、生計を立てるためにしている伐採の仕事をどうして止めろと言えるのでしょうか。
こうして木は伐られたのです。
切りたくない木を切ったのです。伐りすぎればどうなるかを知った上で伐ったのです。
今でも伐りたい人々
平成になった今でも木を伐りたい人々は沢山います。
造林して伐る林業の人は別です。
公共事業に名を借りて、作らなくても良い林道やダム造るために木を伐る人々が沢山います。
今公共事業には逆風が吹いているといいますが、根強い信奉者は沢山います。
おわりに
時代により価値観は変りします。
だから絶対というものは無いかもしれない。しかし節度というものはいつの時代でもあると思う。
各地で闊歩している巨大公共事業が無節操に続いて良いはずはない。