岩坂士京ライブ〜手紙〜
at 南青山MANDALA on 1999.07.19
岩坂士京2度目のライブ…テスト直前でありながら(殴)私は東京へと向かいました。ネット上で知り合ったMAYさん、みゅうさん、らんすさんと渋谷駅で合流。彼らを見たとき、「あれ?この人たちが!?何か違う…」とひそかに思ってしまいました(それは向こうにとっても同じであろう)。その後残りの3人の方たちと一緒になり、ライブ前に軽く食事。
チケットの番号が早かった私たちは、いちばん前の席に座ることができました。ほぼ定刻どおり、ライブはスタート。初めに岩井眞一さん(G)と塩入俊哉さん(Pf)が登場。ちなみにこのお2人は昨年11月のライブにも参加されてましたね。 さて…続けて岩坂さんが登場!客席に向かっておじぎをして、椅子に腰かける岩坂さん。1曲目は『こんなに貴方は美しすぎて』。流れるように『俺達だけのララバイ』へ…。バンドサウンドも良いですが、岩坂さんの曲はアコースティックサウンドで聴くとより一層強いメッセージ性が伝わってきます。 1回目のMCを終え、今度は岩坂さんギターを弾きながら歌うようです。イントロを演りはじめた、その時!岩坂さん、ギターがアンプにつながってないことに気づく(笑)。プラグを差し込みながら「ギターというものはこのコンセント…じゃなかった(笑)。このジャックを差し込まないと音が出ないわけで…。」 大丈夫かこの人?と私は心配になりました(オレが心配してもしょうがないですね)。ちなみに岩坂さんはリハーサルでもギター接続を忘れていたらしく、本番で忘れた時教えてくれるよう岩井さんに頼んでおいたそうです。この時ばかりは彼も教えるのを忘れていました。
気を取り直して次の曲は『涙のかたち』『心の地図』。ギターを弾きながら歌う岩坂さんを見て「男前だな〜」と私(笑)。マジで惚れましたね(ヘンな意味ではない)。次のMCでは、汗をかいていた岩坂さんに観客に1人がハンカチを差し出すという光景も。汗を拭き終わると「ありがとうございます。洗って返しましょうか?…このまま返したほうがいいですよね」なんて言って、ライブ終了後そのまま返してました。あと、水を飲もうとした岩坂さん「俺だけ飲むのもなんかなぁ」と言うと客が「カンパーイ」(笑)。それで岩坂さんが水で、観客はドリンクで乾杯。そして岩坂さんは九州時代のお話もされてました。 中学生の頃、ロックバンド・KISSにあこがれて音楽を始めたそうです。バンドを始めた当初はベースだったこと。しかし後にボーカル、ギターに転向したことなどを語って、後ろに置いてあったベースについても説明しました。「このベース、拉致されたヤツなんですよ」と(笑)。ある日、自分のベースが盗まれ、質屋に売られていたというエピソード。「で、そのベース定価で20万するヤツだったんですよ。一体いくらになってるだろうと思って質屋に行ったんです。いくらぐらいだったと思います?たったの1万(泣)。」がっかりした、とおっしゃってました。そして次の曲では岩坂さんはベースを弾きながら歌いました。 それが『レンガ色の想い出』。岩坂さんが言うには、人前でベースを弾くのは初めてとのこと。しかし慣れた指さばきで弾かれる岩坂さんのベースは、すごく体に響いて伝わってきました。ベースのほうが似合ってたりして(笑)。
次のMCで、会場の皆さんから寄せられたアンケートを紹介するという企画が行われました。「ラジオとかだと1人で喋ってるから、こういうのやってみたいな、なんて思ってました」とは岩坂さん。そのアンケートとは、「手紙についてのエピソードがありましたらお書きください」というもの。ファンの方が書いたアンケートを読み上げ、それに対し岩坂さんがコメントをしてくれました。私も書いたんですが…読まれませんでした。いや、恥ずかしいことしか書いてなかったので、読まれなくて良かったのかも(笑)。そして、ご自分の手紙のエピソードへ。ファンレターやラジオへのはがきは、全てとってあるとのこと。 「手紙って捨てられないよね。なんかごみ箱に捨てるとか…それが嫌なんだよね。キレイな箱か何かにしまっておいて、いつの間にか無くなってた、とかならいいけどさ。」岩坂さんは小学生の頃、ラブレターをもらったことがあるとか。その時のエピソードも。「この頃って女の子のほうが大人だから。手紙の中に『Kiss me』ってあって。で、その意味がわからなくて姉に聞こうとしたんだけど、姉がすごく恥ずかしがってた」と(笑)。
次なる曲は『雨』。ピアノのみで奏でられるこの曲は、ため息出るくらい切なく、それでいて繊細な曲でした。この後のMCは曲の歌詞について。「世の中には詞と曲いっぺんにでてくる、なんていう器用な人もいますが、俺の場合は1曲歌詞を書くのに、その詞のストーリーを作るんです。だから曲の数だけ話があるんです」それは自分の体験が含まれてるものもあるし、そうでないのもあるということでした。そして「いつかその話を本にして出したいな、なんて思ってます」と。そんなこと言われたら私たち、首を長〜〜くして待っちゃうじゃないですか、もー(笑)!!
「次の曲もそのストーリーによって作られた曲です」と言って歌ったのは…『それぞれの扉を開いて』『太陽は知っている』。この2曲って、歌詞読んでるだけでストーリーにハマってしまうんですよね。岩坂さんはラジオで自分の曲のことを「1冊の本を読んでいるような感じ」と言っていましたが、私には「岩坂士京という映画を観ているような感じ」がします。まるで映画のワンシーンに入り込んだような…そんな曲を聴かせてくれます。曲が終わると、「そろそろ騒ぎたくなってきたんじゃない?立ちたい人は立っていいよ!」と言ってくれましたが…私が立ったら後ろにいる人たち見えなくなっちゃうかな?と、結局座ったままでいることに。 そして次の曲は…と思いきや岩坂さん「あ、次の曲ギター弾きながら歌うんだった。」また肝心なこと忘れてましたね。「今日のテーマ、フレンドリーにしておいてよかった。もしカッコよくとかだったら最初からこけてるもんね。」ホントにフレンドリーで良いライブでしたよ。岩坂さんがなんだか、近所のお兄さんみたいに感じられて(笑)。手拍子に合わせて『さよならは言わないで』へ。歌い方までフレンドリーになってたし(笑)。
『風』を歌い終え、「フレンドリーにやってきたこのライブも、これで最後の曲です。」という岩坂さんの声でそろそろ終盤に。「もっと歌ってー」とか言ったんですが、結局『この空にKissしたい』でライブは終了してしまいました。しかし、すぐさまアンコールにより岩坂さんたちがステージに再び現れ…その時です。ファンの皆さんが前に来て岩坂さんに花束やプレゼントを渡していました。その中に、岩坂士京のうちわ(ファンの手製)もあったんですが、「岩」「坂」「士」「京」とあり、字の中に岩坂さんの顔が描かれてたんですね。それを発見した岩坂さん「この中の顔、俺?俺の顔って、こんなに簡単なんだ…。」あれには私もウケました。 全て受け取った後、『さよならの街角』を歌って…最後のMC。 「業務連絡です。またライブやることが決まりました。」しかし…「9月の…3日だっけ?4日か…」とスタッフに確認(笑)。どうやら岩坂さんも聞かされたのは当日らしい。さらに「あ、ギターさんここで退場するんだった(笑)」と、段取りまでメチャメチャでした…。そして「去年のアルバムから全然新曲も出してなくて、クレームとかも来てたんだけど。」「歌にならない曲、そして歌になっても発表しない曲があります」と言って…何と!未発表曲『after the rain』を披露。ピアノのみでしっとりと歌い上げられたこの曲で、熱くフレンドリーな夜は終わりを告げるのでした。自分の性格だと、感動して泣くなんて絶対あり得ないと思ってたんですが、岩坂さんのライブでは涙が止まりませんでした。それは、岩坂さんの曲を聴いてなかったら今の私はここに存在しない、そう思って感慨深くなってしまうからでしょうか…。