Chicago Poodle Tour 2010 "Good times & Bad times"

金沢市民芸術村パフォーミングスクエア // 2010.11.13


Chicago Poodle(以下シカプー)はメジャーデビューする前から、時代の流れと逆行する活動スタイルを貫いています。 何故それでメジャーデビューできるのか、 何故メジャーデビュー後から2枚のアルバムを出すことが出来るのか、 聴く度に不思議でなりません。 彼らを知らない一般人が聴いたらショックを受けるのではないかと思います。
「こんなに綺麗な曲を作れるBANDがまだ日本に存在するのか」
と。そのため、あまり自信を持ってお勧めできるBANDではありません。しかし当日の公演は、
「本当の神曲とはこういう曲を指すんだ」
「LIVEとはこうあるべきだ」
と教えてくれる貴重な時間でした。

ニューアルバム『GTBT』発売後の日程は、殆ど行けない日ばかり。唯一行けるのが公演2回目、11月13日の金沢公演だけでした。 それなら行くしかないと、羽田空港から小松空港、更に北陸道を通って会場へ。 実際はそんな簡単じゃないのですがそれは当日の日記を見てもらうとして、 ここではさっさと本編に行きます。

開演時刻よりやや遅れて会場が暗くなり、オープニングSEに合わせてステージにメンバー登場。 この辺は去年のツアーと一緒でした。1曲目は、早速『GTBT』からの曲でしたが、何と『No Regret』! 1曲目から泣かせる気満々でした。 ちょうどアルバム発売1ヶ月前に、この曲の歌詞と同じ体験をしていたので、余計に悲しくなりました。 しかし綺麗な旋律とヴォーカルに心が奪われがちですが、よく聴くと、新人BANDのくせに演奏上手すぎ。 2曲目もアルバムから『film of life』。 コーラスらしき声が入っていましたが、誰が歌っていたのでしょうか。 辻本さん(B)でないことは確認済み。

花沢さん(Vo,Key)最初のMCを挟んだら、前作『僕旅』からの『ハレルヤ』。 続いてはインディーズ時代からの『求愛ラプソディ』、そしてシカプー結成直後に発表された『Merry go round』。 事前に昔の曲も披露すると発表していましたが、そんな昔の曲までやっちゃいますか。

ここでメンバ紹介。 最初はサポートギタリストの方から、以降がシカプーの3人。
辻本さん「(前日大阪でのLIVEを行い、当日未明に石川県入りしたそうで)北陸道の運転は任せてください」
山口さん(Dr)「○○SAで飯を食べます」(SAの名前も言ってましたが聞き取れませんでした)
花沢さん「Chicago Poodleの寝る係です。いっつも寝てます」
辻本さん「でも昨日は元気だったよね」
花沢さん「今の気持ちを『GTBT』(=Good times and Bad times)風に言うとね、『KKSK』(=今日必ず寿司を食う)!今日お昼コンビニやったんですよ。」
辻本さん「そんなら俺は、『SOS』」
山口さん「緊急事態?」
辻本さん「塩おにぎり最高!今日のお昼、某ローソンの」
花沢さん「言うてしまいましたね」
辻本さん「某ソンの、塩おにぎりっていう、具も入ってない、海苔も巻いてない、ただおにぎりが入ってるだけなんですが、塩おにぎり最高でした」
私も帰りに某ソン寄って塩おにぎりを購入し、帰りの宿で食べましたが、声高に宣伝する程おいしいとは思いませんでした。
花沢さん「山口くんは何かある?」
山口さん「『O, M, U, M, E, M』」
花沢さん・辻本さん「長い長い!皆さんわかります?」
山口さん「俺、めっちゃ、うれしい、みんなの、笑顔、見れて!」
花沢さん・辻本さん・観客の間に微妙な空気が漂いました。
花沢さん「山口はいっつも最後ええとこ持ってくんですよね」

次の曲は再びニューアルバムに戻って『PEACE!!』『30』。 『30』はその曲調から、LIVEで盛り上がるのか不安でしたが、 各パートのソロから始まり、「これぞLIVEバージョン」と言えるかっこいい始まり方でした。 続いては名バラード『心キミ模様』へと繋ぎます。 こういうシンプルなピアノ曲こそシカプーの最大の魅力です。まさに原点回帰。

花沢さん「『GTBT』では、1曲ごとに色を付けています。例えば『心キミ模様』だったら、雪原の中で僕一人が歌っている情景とか。ほかのメンバは、この曲好きとかありますか」
辻本さん「『film of life』は、最初花沢くんの適当な英語詞が入ってるんですが(歌い始める。観客拍手)」
花沢さん「それちょっと違う(もっとかっこよく歌い始める。観客大絶賛)」
辻本さん「引き立て役みたいになってません?で、そこにどんな歌詞当てはめたらええんやろと思っていたら(以下に注釈)、山口くんが素晴らしい歌詞を当てはめてくれて、帰りの車の中で泣いてしまいました」
山口さん「僕は『Fly』ですね。シカプーの曲の中で2番目にテンポの速い曲なので(筆者注:1番はおそらくナツメロかネガポジ)、しかもドラムって音の差し替えをしないで通して録音するんですよ。なので3回くらい続けて録ってたら酸欠になりました。」


注釈:
シカプーの曲は

  1. 花沢さんが作曲
  2. 花沢さんが適当な英語詞を付ける
  3. 辻本さんか山口さんが日本語詞を付ける
という順序で作られますが、このとき花沢さんは、英語詞と日本語詞で配置・連続性を一致させるように2人に要求するそうです。 これがシカプー独特の中毒性を生む要因になっているとのこと。


花沢さん「アルバムの中では皆さんからエピソードを募集して歌詞にまとめた曲があります」
という紹介から、次の曲は『愛と呼べる言葉』。アルバムからの新曲ラッシュはまだ続き、 「雨の似合う金沢にぴったり」(花沢さん談)という『雨上がりのバラッド』へ。

ここからは季節感無視ながら疾走間溢れる曲『ナツメロ』。アコースティックギターとキーボードの掛け合いは圧巻でした。 花沢さん普段あんな弾き方しませんよね。観客も総立ちでした。 ここまで書いていて思い出しましたが、金沢公演のみ椅子が用意された会場のようです。
花沢さん「ここから思い思いに楽しんでください!手拍子したい人は手拍子して、声出したい人は声出して、念を送るのでもいいですよ」
辻本さん「念って何?怨念?(会場爆笑)」
花沢さん「怨念はやめて」
ここで、観客にそれらを要求する花沢さん
花沢さん「実際にやってみましょうか。手拍子の人ー。次、声出したい人ー。で、念の人ー(観客失笑)」
長い沈黙
辻本さん「何かわかりました?」
花沢さん「念を送ってくれた人、伝わりましたよー」
会場内には冷たい空気が漂い出しましたが、それを振り払うように『泡沫』『バイバイ』『WONDERING』を披露しました。 最後に来たのはアルバム先行シングル『Fly-風が吹き抜けていく-』。 ラストスパートだけに、山口さんのドラムもますます激しく。酸欠は大丈夫でしたか? 最後の曲はアルバムのオープニングナンバー『Is This LOVE?』でした。 この2曲、前述のとおり日本語詞の当てはめ方が絶妙。辻本さんと山口さんにしかできない芸当です。

すぐにアンコールが起こり、シカプーが再びステージに登場。 ツアーグッズのTシャツ着用で。しかし
花沢さん「この2人(花沢・山口)だけ特注です」
辻本さん「俺は無いの?」
山口さん「それは君だけ発注しなかったから!」
今年のツアーでもTシャツオチ要員は辻本さんでした。

アンコール1曲目はデビュー曲の『ODYSSEY』、次はLIVEでは珍しい『愛燦燦』。 その次には何と、LIVE用に作った未発表曲が!タイトルは『桜色』。 春に合わせて作られたピアノ曲でした。リリース時期等の発表は無し。 そしていよいよLIVEも終了間際。
「このツアーで得たものを元に、期待以上のいい曲を作る」
という宣言と共に最後の曲『アイノタネ』へ。 『GTBT』と同じ終わり方でした。 偶然にも、LIVEの帰りの運転中に車内でこの曲が流れてきたため、 LIVEを思い出して運転中に泣きそうになってしまい、安全運転に支障が出ました。 それだけいいLIVEでした。 シカプーのLIVEには、歌詞にも演奏にも、人の温もりが溢れています。 どうしようもないくらい悲しい曲でも、根底にあるものはそういうところなんです。 それもある意味、時代に逆行するスタイルですね。 ですが、10年、20年経った後でも変わらずに「聴いた人を感動させる」という役割を果たすことができるのは、 彼らだけではないかと思います。

一方で、過去のLIVEで必ず披露されてきた『さよならベイベー』『流星』『ネガポジ』が今回外されたことが驚きでした。 勿論今回のLIVEの内容でもシカプーの素晴らしさは伝わると思いますが、シカプーの曲は全てが神曲。 LIVEしか知らない人はぜひそれらのタイトルを含め、ほかの曲も聴いてください。


Back