歳を取るにつれ衰退することが多く、進歩することはまれである。登山でも脚力が衰え、沢登りなど危険なことにチャレンジする体力気力はなくなってきている。そうした中で、65歳ころから登山道のない尾根や沢を好んで歩くようになったことは大きな進歩かもしれない。以前はガイド本・登山地図掲載のコースをたどることが自分の登山であり、本・地図がよりどころで、掲載のコース以外には登路はないと思い込んでいた。山頂や道の分岐に道標がないと、その不親切さをなじる気持ちがあった。道に迷うとパニックになることもあった。そのうち、山には本・地図掲載のコース以外にも道や踏み跡があり、本・地図には一部のコースしか紹介されていないことが分かってきた。今は一つの山について、ネット上で未知のコースが紹介されており、それを参考することも多くなった。そういったことで本・地図にないコースをたどるようになり、さらには国土地理院地図を見てたどりやすそうな暖傾斜の尾根や沢を探し、訪ねてみることがささやかな冒険になっている。そういったコースを歩いてみると、意外とヤブは少なく自在に歩けることが多いことが分かった。また、道にこだわらず自在に歩ける自由さ、ハイカーのいない自分だけの空間、静けさ、周回コースを工夫できること、道のないコースを計画どおりにたどれた満足感などが魅力で、道のないコースを好んで歩くようになった。難点は、尾根端の取付きが急斜面で尾根上に出るまで急登(下降時は激下り)を強いられること、山麓に人家や田畑がある場合、山裾に獣害防止用の柵が巡らされ、柵内に入る(出る)のに手間取ること、下降時、尾根の分岐で迷いやすいことなどがある。初めのうち、道のないコースを自在に歩けることに得意になっていたが今はためらいもある。私が普段日帰りで登る山の多くは、標高1,000m前後の里山だが、私有地で地元の人達に手入れされていると思われる。そこへ無断で入ることは不法侵入にならないか。週末に行くことが多く、幸いこれまで山仕事の人とは遭わず、見とがめられたことはないが、本・地図掲載の登山道については、山林の所有者・管理者も承知しており、今はその道をたどるのが無難だと思う。⇒トップページへ |