雪 山 行
54歳時、転勤で札幌に1年間いたが、それまで暮らした土地とは違って、冬、積雪により景観が一変することに新鮮な感動を覚えた。山は雪国でなくても冬積雪があることが多く、無雪期とは違った白一色に純化された独特の美しさを見せる。周辺の冠雪の山並みも美しい。また、山歩き時の色々な障害物が深雪に覆われ自在に歩けるようになる。寒気の厳しさなど辛い反面、無雪期の山行にはない緊張感がある。これらが雪山の魅力だ。私の雪山行は日帰りで行ける1,000m前後の低山が主で、そのレベルの経験から留意点を述べたい。私の山行のほとんどは車(カローラフィールダー)利用だが、冬タイヤは過信できず、雪が深いとタイヤが空転し、立ち往生したことがあり、深い雪や凍結している所には踏み込まないようにしている。スコップも携行している。行先は、山間の峠越えがある枝道は避け、幹線道路で行けるのが望ましい。登山口近くどこまで進めるかだが、人家のある所までは通常除雪されているので地図で人家の有無を確認する。駐車場所は、現地で他に迷惑を掛けないよう慎重に判断するしかない。路肩は除雪された雪の山になっていることが多い。幹線道路の場合、所々退避所として路肩まで除雪されていることがある。装備は、ロングスパッツ、ストック2本、ワカン又はスノーシュー、アイゼンが不可欠である。スパッツは丈夫でしっかりした物がよい。スットクは無雪期は使用していないが、着雪していない手掛かりが少なくなるので必要になる。ワカンは軽く携行しやすいが、締まっていない深雪では足を取られて難儀、消耗する。スノーシューは余り沈まず、ストレスが少ない一方、高価で重く、携行しにくい。購入時、男女別・体重別などの注釈にとらわれず、高価で重い物より軽量で扱いやすい物を選ぶ方がよい。アイゼンを使うことは少ないが、クラストした急斜面や踏み固められた斜面で使うことがある。歯数の少ない物より8~10本歯の物が安定感がある。ピッケルは、高山では凍結した斜面や滑落時の備えとして必要だろうが携行していない。服装は特別なものはなく、雨具をウインドブレカーに代用している。登山に関しては、積雪で登山道が分からなくなるので、地図、磁石、高度計を使ってルート判断している。登りは、進みやすい所を選んで上へ上へと登れば自ずと登頂できるので問題は少ない。下降は往路を戻れば自分のトレースがあり、安気に下れる。ただし、残雪期の好天の日など、短時間で踏み跡が溶けることがある。別ルートで下降する場合は、読図力が必要になるが、積雪で見通しが良くなり、無雪期より進路判断はしやすい。進路ミスで谷へ下降することは避けたい。谷は滝などの難所があり、雪が深くなるので、登り返して正しいルートを探すこと。雪山行の時期は、降雪が続いた翌日は道路状況に不安があり、降雪のない日の後がよい。平日や土曜日は先行者の足跡がない代わり、きれいな雪面を歩ける良さがある。日曜日はハイカーの多い山のメインコースではトレースができて安気にたどれることが多い。1,2月は降雪日が多く、新鮮な雪山を味わえるが道路状況が心配。3月になると降雪日が減り、道路状況が良くなる。雪が締まって足を取られなくなり、ヤブも雪の下に抑えられ自在に歩ける。春先の暖かさが感じられるようになり、ベストシーズンである。⇒トップページ