人により南国と北国いずれに惹かれるか違うかもしれないが私は北国に惹かれる。山も雪山に惹かれる。よりストイックでシビアなものへの志向があるのかもしれない。北海道へのあこがれは昔からあったように思う。旅行の趣味はなかったので自発的に出向いたことはなく、1981年7月、30歳時に出張で初めて北海道の地を踏んだ。当時は青函トンネルはなく、、列車ごと青函連絡船で海峡を渡り、車窓から見た渡島駒ヶ岳の優美な姿が印象的だった。札幌での仕事は短時間で終わり、併せて取った休暇で小樽観光をした。おおらかな時代で職場の先輩から折角の機会、休暇を取り旅行するように勧められていた。夜間、小樽から船で礼文島へ渡り、翌日礼文島観光後、船で利尻島へ渡った。登山を初めて5年目位で、北の果ての100名山、利尻岳を目指した。山麓の旅館に泊まり、無事登頂。鋭鋒だが特に難しかった記憶はない。その後、思いがけず2005年4月(54歳)転勤で札幌へ。それまでも転勤であちこちの土地で生活し、土地による大きな違いを感じることはなかったが、北海道では大きな違いを感じた。明治以降に開けた土地で、古くからのしがらみがないこと、移住者たちが協働して開拓に当たったことなどから、皆”対等”の感覚が自ずと道民の中にあるように思う。また、当初は女性が少なく、大切にされたことなどから、はっきりと自己主張する元気な女性が多いように思う。良くも悪くも上位者への気遣いのなさ、儀礼的な配慮のなさ、集団への同調心の乏しさ、男女の平等など、意識的にではなく自ずとそうなっている。最初は違和感を覚えたが、馴染むと気楽で自由に思え、居心地の良さを感じるようになった。風土の面では、無雪期と積雪期とで世界が一変する。それまでも金沢で2年間生活したが予想より降雪が少なく、世界が一変するほどの変化は感じなかった。積雪期は無雪期とは違った世界となり、同じ場所にいながら2つの世界を体験できる。また、道内人には毎年のことで雪に対して不感症になっている面があるように思う。圧雪された白い路面でも減速せずに走り、逆さまになった事故車を見たことがあるし、自身でも坂道で減速したら車が下がり続け、後続車にぶつかりそうになり冷や汗をかいた。自然の面では、北海道では動物も植物も大きいようだ。その代表はヒグマで、過去に登山者も被害に遭ったことが何度もあり、登山者の多くが熊よけスプレーを携行している。ヒグマの生息数の多さは自然環境の豊かさを示しており、熊を危険視するだけでなく、熊を含めた自然環境が保護されることを祈る。小生物では、ブヨが大きく、刺されると腫れが引かず痛痒さが続くため、夏場の山行は控えていた。植物では本州と同じ草花のサイズが大きいように思う。札幌を基点に日帰りで行ける山は多数登り、夏休みなど利用して大雪山系などに登った。札幌で居を構えても良いと思い始めたところ1年間で転勤となり、結局、北海道の日本300名山26山中、11山に登頂、15山を未踏のまま去ることとなった。⇒トップページへ |