日本を代表する山といえば富士山。日本の最高峰であり、姿が秀麗である。登山が趣味でない人でも一度は登ってみたいと思う山である。私が登ったのも登山を趣味とする前であった。23歳で就職し、採用後の研修で東京在住時、同郷のU氏と親しくなった。U氏以外にも九州出身者数名は親交があり、研修の合間に泊りがけで温泉旅行に出掛けたりした。そんな中でU氏と富士山に登ろうということになり、9月に出掛けた。リュックサックなどは、親切な研修所職員が貸してくれ、何か購入した記憶はない。夏山シーズンはすでに終わり、登山バスも運行しておらず、最寄り駅からタクシーで5合目まで行き、お土産屋2階の広い部屋に泊まった。世界文化遺産登録後の富士山ブームで今は内外から大勢が押し寄せるが、当時そのようなブームはなく閑散としていた。翌朝出発、若かったし、10歳ほど年長のU氏はスポーツマンで特に苦しかった記憶もなく、天気にも恵まれ、順調に登頂できた。御鉢回りも果たし、砂走コースを快速で下り、その日の内に寮まで戻れた。一番印象的だったのは、5合目以上は樹林がなく、赤茶けたコークスのようなザレた単調な道を延々と登ったこと。その後、多くの山に登ったがあれ程殺風景で単調な山はなかった。つくづく富士山は眺める山で登って良い山ではない思う。その後、58歳、横浜在住中、日帰りで登ることを考えたが横浜には1年間しかいなかったこともあり果たさずじまいになった。ただ、丹沢など日帰りで関東の山々に登ったが、富士山ビューポイントの山というのが多数あり、その山々のそれぞれのアングルから秀麗な姿を見たのが良い思い出になっている。今でも名山の山頂から富士山が見えないかと探し、見えると何か嬉しい。今のような人混みになっては再訪する気になれないが富士山は日本人の原風景の山だと思う。⇒トップページへ |