「くれぐれも無理をしないように」、山行出発時、玄関口でいつも妻が口にする。知人からも気を付けてと言われることがある。登山自体の労苦や危険を想像しての思いやりの言葉だと思う。しかし、山行時の注意や危険は山行中より登山口に至るまでにあるというのが実感。私の山行のほとんどは自家用車利用だが一番の危険は交通事故。近畿圏内の日帰り山行の場合、片道120km前後走ることが多く、高速道路を走っている距離が長い。今はカーナビ任せで走れるので助かるが、それでも初めて走る道の場合、神経を使う。沢登りをしていたころは危険な高巻が付き物で、また下山時の道迷いなど沢登り自体に危険があったが、それ以外の山行の場合、ガイドブックに紹介され、多くの人が訪れるコースではまず危険はない。道のない尾根や雪山を自在にたどる場合は道迷いや急峻な箇所に直面するリスクがあるがそれに備えた万全の態勢を取っており、ピンチに陥ったことはほとんどない。一方、車の運転では小さなヒヤリまで含めると毎回のようにある。1トン以上の物体を高速で走らせており、一旦衝突すると双方に大きなダメージが生じる。相手や自身が死に至ることもある。他車とトラブルになり、しつこく煽られたこともある。交通違反もあり、短期間のうちに一時停止違反を繰り返し、免許停止になりそうになったことがある。幸い大きな事故や人身事故はないが他車との衝突は数回経験している。特に齢を取り、反射神経や注意力が衰え、運転がぎごちなくなってきており、リスクは一層高まっている。300名山登頂を果たしたら、80歳前に車の運転は辞めたい。無事に登山口近くに着けたとして次に駐車場所の問題がある。登山者用駐車場や公共道路に広い路肩があればよいが、他人の土地に駐車する場合、慎重を要する。空いており他の邪魔になりそうにないからと安易に停めると、下山後、土地の所有者などに咎められたことが何度もある。最悪、罰金1万円をとられたり激しい口調で罵られたりしたことがある。最後に登山口が見つかるかという問題がある。ガイドブック紹介のコースでも登山口の整備状況はまちまちで、道標や案内板が整備されているところから目印がなく登山口がブッシュ化しているところまである。登山口が分かるとホッとし、後は予定コースをたどり歩けばよいだけであり、その山行は半ば終わったように思える。⇒トップページ