子供のころから山や山歩きが好きだったように思う。だれかの影響とか何かのきっかけがあったわけではなく、自ずと好きだったようだ。育った所が福岡県内の盆地で周囲を低山に囲まれており、高台にあった自宅から正面に竜王山がいつも見え、均整のとれたその姿が原風景になっている。自宅の周辺にも裏山というような木々の繁った場所が多くあり、そこが近所の子供たちとの遊び場でもあった。小山の広い公園も近くにあり、山上からの見晴らしが良く、よき遊び場であった。田んぼや小川もあり、自然に恵まれ、そこを遊び場としてきたことで自然に馴染み、自然が好きになったのだと思う。山登りらしいことは、学校の遠足に始まり、その時々に単発的に幾つかの山行があったが、今に通じる単独山行を始めたのは24歳ころ。東京で単身生活を送る中で何か充足感を求めて日帰り山行に出掛けるようになった。その後、結婚し家族ができたことやカメラ、ジョギング、サイクリングなど他の趣味に熱中したしたことで山行回数が減った時期があるが、長期間山行しなかった時期はなく、50歳前に山行熱が再燃、今日に至っている。自身の山行の動機を考えると、子供のころから自然に馴染んでいたということのほか、「素の自分に戻れる」ということがあると思う。社会生活の中では大小多々煩わしい問題や人間関係に直面することが多い。また、日常、自然の少ない街中で人工物に囲まれて生活している。そのような中で本来の自分を見失いそうになるが、日常生活の場や人間関係から離れ、自然の中に独り身を置くことで”素の自分”を取り戻し、心身をリフレッシュできているのだと思う。大きなことを言うと、人工的な環境の中で生活していると、心も人工的に矮小化されてしまうが、大きな自然の中に身を置くことで、自然の小さな一部としての人間の本来の在り方を取り戻せるのではないかと思う。⇒トップページへ |