夜明け前より屋根をたたく雨音。雨のち曇の予報に期待、パンの朝食後、雨具を着て出発。ガスに閉ざされた中、
槍ヶ岳のシルエットが見える。昨夜は寝つけず睡眠不足に加え、悪路を歩き続けたせいか、右足甲に痛みが走る。
天気も気分も体調もブルー。キャンプ場を抜け、ペンキマークに誘導され、石ゴロゴロの道を緩やかに登る。
やや急な登りを経て300名山:三俣蓮華山頂に立つ。視界ゼロ、感慨なし。富山、岐阜、長野の県境の山。
緩やかに下り続けると、右手に噴火口跡のようなカール状地が広がる。すれ違う登山者とポツポツ会う。
展望はほとんどないが、樹林にたなびくガスや墨絵風の山並みがかろうじて見える。砂礫帯から樹林帯に入り、
下り続けると、山頂部をガスに覆われた本山が正面に大きい。草原と樹林の広がりの中、道が延び、絵になる。
下り切ると、スイス風の牧歌的な景観にマッチした小舎に出る。今回見る山小屋は、いずれも良い場所にある。
小屋前で休憩後、北側カールコースを進む。一帯、樹林の景観が美しい。山腹を巻くように緩やかな起伏の道を進む。
小さな渓流が幾筋も流れ、横切りながら進む。石ゴロゴロで、ペンキマークに導かれる。今回、花には出会わないが、
ナナカマドなどの実が沿道をずっと彩る。なかなか山頂への登りにならず、対向の登山者に聞くと、
これから厳しい急登があるとのこと。そのとおりの急斜面を短くジグを切りながら登り続け、山頂下の稜線上に出る。
リュックを残し、山頂往復。天気好転の期待も空しく、視界ゼロ、百名山登頂の感慨なし。急坂を下り切ると、
後は高低差の少ない尾根歩き。展望があれば、快歩できそうだが、ガスの中、黙々と進むのみ。
昨日、雲ノ平や祖父岳から見た今日の縦走路は、ジョギングやサイクリングができそうななだらかな高原に見えたが
実地は石ゴロゴロ、快適には歩けない。赤木岳、北ノ俣岳など、結構起伏もある。登山地図のタイムより遅れ気味。
北ノ俣岳〜太郎平も予想以上に長い。池沼帯の中、長い木道を進み、高原状の太郎山を越え、くたびれて小屋着。
連休最終日、宿泊客は少ないかと思いきや、乾燥室は干した衣類で一杯。ストーブが焚いてあり、ありがたい。
今回泊まった3か所の山小屋中、施設は古いが、宿泊者への心配りが一番感じられた。暖房のきいた談話室で
ビールを飲みながら人心地着く。ようやく安眠でき、お通じもあり、体調はスッキリするが、雨上がらず、翌早朝、
残りのパン2個で朝食を済ませ、出発。今日は下山するだけ。淡々黙々と来たときの道を下り続ける。前半、
石ゴロゴロの道が歩きづらい。後半、樹林帯に入ると、道が小川化。重そうなリュックを背負って登って来る人が数人。
気の毒。昭和38年、豪雪の正月、愛知大生13人全員が薬師岳支尾根で遭難死した記念碑のある登山口に着くと、
9時予約のタクシーが既に待機。亀谷温泉に寄り、富山駅へ。今回はタクシー代が高額。⇒トップページ
黒部五郎岳
優美な野口五郎に対し男性的な自立した風格の百名山 くろべごろうだけ 2839m 富山県富山市
2010年9月20日(月)雨 5:45三俣山荘→6:40三俣蓮華岳→8:10黒部五郎小舎→10:45山頂→13:15赤木岳
→14:05北ノ俣岳→15:40太郎平小屋 / 21日(火)雨 6:00太郎平小屋→8:35折立