上谷(地蔵谷) 

再挑戦するが終盤の滝に進路をはばまれ、脱出に難渋した谷 こうたに 奈良県川上村  

2013106日()小雨→曇 8:10駐車点→8:50入渓→9:5518m滝→10:20牛呼滝→11:30廃小屋→12:45越えれない滝→14:20樹林帯へ脱出→15:20阿弥陀ヶ森→17:40駐車点 
昨7月、終盤、急峻な滝に進路をはばまれ、脱出路の判断ミスから窮地に陥った谷。再挑戦。国道169号を南下、上多古の道標に従い右折、川沿いの道を走る。奥に上谷集落があり、道は良い。支流の上谷川沿いの道へ左折。道が急カーブする地点の広い路肩に駐車。予報に反し小雨。車止めゲートから川沿いに林道を進む。林道終点から木段を登り、しばらく杣道をたどる。鉄橋手前から入渓。前回、大岩ゴロゴロのワイルドな雰囲気に圧倒されたが、淡々と進む。沢歩きが続いているせいか心身の動きが軽快。滝も逃げずに登れそうな滝は、臆せず取付いていく。登れない滝も巻くのが容易、快調に進む。ガイド本のとおり、松尾谷との出合、10m滝辺りから牛呼滝までの間、幽玄の渓谷美。穏やかなナメ滝、斜瀑を過ぎ、右上に巨大な岩壁、幾筋もの細流が落下、「しずくの滝」。すぐ先、見所18m滝、続く3段20m滝は難なく通過。本谷のハイライト、牛呼滝。風洞に反響する滝音が命名の由来だが今回は聞こえない。ガイド本に右を直登できるとあるが、そこまでのやる気は湧かず。前回、滝左側、垂直の広い一枚板のような草付の岩壁をよじ登ったが、無難なコースはないか。見渡しても無難そうな個所がない。前回、正面から適当に取付いたが、壁の左側から斜上。足掛かりが乏しく、難渋。2か所の残置スリングに助けられ、何とか中間の狭いテラス状地へ移動。前回もここから木の幹、根っ子を頼りにオーバーハングした岩壁を乗り越えた。頭上の根っ子にわずかに手が届かず、前回、何度も試み、ようやく掴む。緊張の連続で喉カラカラ、飲み物を飲み、気持ちを静め、アタックするが失敗。恐怖と緊張から思わず大声が出る。疲れた腕を休め、再挑戦。滑落への恐怖から手近の根っ子から離せなかった片手を思い切って離し、足掛かりの乏しい岩壁を少し登り、ようやく根っ子を掴む。オーバーハングを乗り越え、上部の杣道へ出る。この岩壁越えに40分を要す。牛呼滝上部から一転穏やかな渓相、趣が良い。右上に廃小屋を見て、二俣。左の地蔵谷へ。穏やかな渓相が続き、ダレてきたころ、斜瀑、ナメ滝が現れ、活気づく。沢が枯れ始め、いよいよ正念場、前回、前進をはばまれた滝が正面に立ちふさがる。前回、一見無理と判断、右手の急斜面をよじ登り、進退窮まる大ピンチに陥った。滝の右の岩壁を登ってみる。滝の落ち口が見えるが、足掛かりが乏しく、無理はやめる。再度の敗退、杣道伝いの下山を考える。右手、枝谷の滝も急だが、足掛かりが多そう。シャワーを浴びながら何とか登る。続く滝も直登。さらに上部、急傾斜の細流の滝、前進を断念。左へ立木の急斜面をトラバースすれば、最初の滝上へ出れるかもしれないが、右上の尾根へ脱出すべく、立木の急斜面を這い登る。痩せ尾根上へ出るが、岩壁が立ちふさがる。ガックリ、引き返せるか。小休止、心を静める。前回もここで進退窮まり、家内へ電話したことに気づき、活路が開ける。前回同様、かすかな踏み跡らしきをたどり、岩壁下の立木の急斜面をトラバース、無事、ガレ沢に出る。岩ゴロゴロの急斜面だが、それ程難渋せず登れる。右手、頭上にのしかかる岩壁。そこを越え、ようやくガレ場から疎林帯へ脱出。次第に暖傾斜になり、平坦地に出、人心地着く。疎林帯を高みへ進み、柏木道に合流。阿弥陀ヶ森へ向かう。一帯、自然林の趣と静けさ。緩やかに登り、展望の開けた岩場上に立つ。切り立った岩場の紅葉が絵になる。天気が好転、ガスが晴れ、眼前、普賢岳が荒々しい姿を見せる。展望に満足、柏木道を下る。上部で本谷のガレ場を横切ったり、急斜面のトラバースがあるが、総じて暖傾斜の歩きやすい道。快調に上谷集落まで下り切る。前回、集落内で道に迷ったが、人家に出たら、左へ抜け、車道を左上に進むと、神社がある。道なりに下り、駐車点に戻る。ガイド本に終盤の難しさの記述がなく、結局、右の枝谷を詰め登ったようだ。ガイド本に入門コースとあるが、牛呼滝左の岩壁越えと終盤の出渓は困難かつ危険。初級者は、牛呼滝を見た後、沢を引き返し、無難な所から杣道へ出て下山するのがよい。⇒トップページ