大展望の塩見山頂から長い稜線のうねりの先に本山まで見通せるが、本山を北岳と勘違いしたため、
どれが本山でどれが農鳥岳か分からない。農鳥岳あたりは明瞭な独立峰ではないため、識別が難しい。
のびやかな稜線のうねりに楽勝の予感を持って、塩見を下る。登りの急峻な岩場と対照的に穏やかな下り。
蝙蝠岳越しに富士を眺めながらウキウキ下り切る。稜線を進むにつれ、背後、塩見の坊主頭が遠ざかる。
しばらく進むと斜面一面、黄花(マルバダケブキ)の群生が続く!青空をバック、白いダケカンバ林とのハーモニー。
向こうには農鳥岳の稜線の連なり。可憐な小花は紫のリンドウ、白いタカネツメクサをよく目にするものの、
全般に花々は期待はずれだったが、この景観に感動。歩けど歩けど稜線歩きの長いこと!静かな樹林帯の中、
熊ノ平小屋はまだかまだかとイラつきながら黙々進む。まれに人とすれ違う。同方向に進むのは、中年女性一人。
途中、険しい岩場に登ると、本山が大きく迫る。ようやく本山と認識、今日中にあれを乗越えると覚悟。
ようやく市営のきれいな小屋着。こんな所に泊まりたい。すぐ下に水場、ありがたい。休憩もそこそこに先を急ぐ。
しばらくで樹林帯、黄花の群生帯を抜け、急登後、いよいよ本山への稜線上に立つ。後続の女性に先行を奪われる。
当面の目標は、山頂手前の三峰岳の鋭い三角。やや急なガレ場の登りが続く。三峰岳は取り付くと難なく通過。
その先で、仙丈岳への稜線との分岐。朽ちた木片の道標、この仙塩尾根を通う人の少なさをうかがえる。
仙丈への長大な稜線のうねりをしかと確認。ここを歩き通して自分の南アルプス全縦走が達成される。
疲労も限界に近づき、ポツリポツリ黙然と登り続ける。遠くに見えていた甲斐駒と仙丈がはっきりと姿を見せ、
南アルプス北部の領域に入ったことを実感。疲労で登頂の感動はないが、本山の陰にあった北岳が
広河原側からの姿とは違った鋭角を見せる! 眼前、農鳥岳のどっしりした風格。
眼下の赤い農鳥小屋を目指し、農鳥岳と対面しながら気楽になって下る。小屋の名物親父に迎えられる。
インターネットを通じ、偏屈で口が悪い親父を印象していたが、塩見小屋から歩き通し、エライと褒められ、
女性2人だけの大部屋をあてがわれる。先行女性は、小屋への下りの長さを嘆息していたが、登りがきつかった。
塩見小屋から11時間!自分の体力もまだまだ。⇒トップページ

間 ノ  

名前で損しているが、標高No.44の風格の100名山 あいのだけ 3189m 山梨県南巨摩郡芦安村

2006811日()快晴 6:30塩見岳山頂→12:00熊ノ平小屋→14:00三峰岳→15:00山頂→16:10農鳥小屋