残業時間のカット、それって適法ですか? (平成20年6月8日)


居酒屋「和民」でおなじみのワタミフードサービスの大阪府内の2店舗が、
アルバイトの勤務時間を 『30分単位』 で切り捨てていたとして、
北大阪労働基準監督署から、未払い分約1200万円を支払うよう、是正勧告を受けていました。

私もパートや派遣社員時代は、日々、残業時間を切り捨てられていました。

その頃は、社会保険労務士の勉強をしていなかったので、
1日単位の残業時間の切捨てが、労基法違反になるとは思っていませんでした。


残業時間は、毎日 『1分単位』 で計算しなければいけません。
日々の切捨ては許されないのです。

それなのに、残業時間の15分または30分に満たない時間を
問答無用で切り捨ててしまうと、サービス残業をさせたことになってしまい、
ワタミのように、未払い分を払いなさい、と指導されてしまうのです。

残業時間のはしょりが認められるのは、1ヵ月合計の30分未満を切り捨て、
30分以上を1時間に切り上げる方法です。

ですから、日々の残業時間は「1分単位」で計算し、
締め日で総時間の端数を30分単位で切捨て、切り上げすることになります。

しかし、ほとんどの会社が、業務を簡素化するため、残業代を抑えるために、
ワタミフードサービスのように、日々、残業時間を切り捨てているのではないでしょうか?

その場合、監督署の調査が入ったら、アウト! です。
中小企業の場合、全国展開のワタミフードサービスほどではないにしろ、
資金繰り的に結構なダメージを受けることは必至です。



それとは別に、
端数を切り捨てることが、本当に人件費を抑えることに繋がるのでしょうか?

15分単位、30分単位にすることにより、キリのいい時間が来るまで、
デスクなどで時間つぶしをしている現実を、事業主の方は知っているのでしょうか?

1分単位であれば、きちんと残業時間としてカウントしてもらえるから、
終わったらさっさと帰ろう、となるかもしれません。

また、時間が来たら早く帰るよう促すなど、上司が労務管理を
きちんとするだけでも残業時間の無駄を省けるのではないでしょうか?

あるいは、残業をする場合、あらかじめ上司の許可を取る『申請主義』
に切り替える方法も効果があるのではないでしょうか?


もともと、上司は部下の労働時間を管理しなければなりません。
これらのことを実行することにより、

◇1人ひとりの業務内容を把握できる、
◇1人ひとりの業務の進め方の能力を把握できる、

その結果として、
◇長時間労働の抑制に繋がる、
◇上司と部下のコミュニケーション時間が増える、

など、習慣になればいいことずくめのような気がします。
いかがでしょうか?


話は本題から逸れてしまいましたが、昨今の長時間労働は、
上司の部下に対する無関心が根本原因のような気がします。

そして年々 『会社』 対 『労働者』 の争いごとが増加しています。

そもそも使用者と労働者は、このように敵対する関係なのでしょうか?
誰も争うことは望んでいないはずです。 1日の1/3を、その会社で過ごさなければならないのですから。

上司が労務管理の大切さに気づき、もっとコミュニケーションが図れれば、
働きやすい、魅力ある会社になっていくのではないでょうか?


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