4ヵ月で辞めたパートの離職票   (平成20年12月7日)

日々、非正規労働者の雇止めだなんだかんだと、
気の滅入りそうな記事ばかりが紙面上をにぎわせています。
雇用保険を利用する人は、今後ますます増えることでしょう。

ということで今回は、労働者の離職に際し、
よく誤解されているケースをテーマにしました。


最近、とあるスーパーのパートが、入社4ヵ月で退職することになりました。
ついては「離職票が欲しい」とのこと。

本社の労務担当者は、こう思いました。

基本手当がもらえる要件は、離職日から過去2年間のうちに、
「被保険者期間」が合算で12ヶ月以上あることだったわよね。。。

 ※「被保険者期間」とは、離職の日から過去にさかのぼった期間を1ヵ月ごとに区切り、
  その区切った中に賃金発生の基となった日数が11日以上ある月を、
  被保険者期間1ヵ月とします。

 ※ちなみに、解雇や倒産等でやむなく離職した人など一定の人は、
   過去1年間のうちに被保険者期間が合算で6ヵ月以上あれぱ、基本手当がもらえます。
 

(話をもとに戻します)


とすると、辞めたパートさんは、資格を取得してからまだ4ヵ月しか経っていないから、
基本手当はもらえないはず。  だったら、離職票をもらっても意味ないのでは?


・・・ん?  本当にそうでしょうか。


まず離職票は、原則は、交付しなければなりません。
ただし、本人が「いらないよ」と言えば、交付しなくてもいいだけのことです。

また、確かにこの会社での被保険者期間は4ヵ月にしかなりません。
しかし、離職から1年以内に再就職をすれば、その再就職先での被保険者期間と通算できます。

たとえば、前の会社を辞めてすぐ再就職しました。
しかし、折からの不況で、入社2ヶ月後には倒産してしまいました。

この場合、倒産でやむなく離職となるので、
基本手当がもらえるかどうかの要件は、最初の自己都合退職のときと違い、
過去1年のうちに、被保険者期間が6ヵ月以上あるかどうかでみます。


パートさんは、こう思います。

就職したばっかりだから、被保険者期間は6ヵ月もないよぉ。最悪〜〜!
あ、でも、前の会社の4ヵ月を足せば、被保険者期間が6ヵ月になる!
やったぁ、基本手当がもらえるわ!!


・・・となるわけです。
前の会社を辞めるときに、離職票をもらっておいてよかったですね。


このように、晴れて受給資格を取得し、
次の、
・基本手当は何日分もらえるのか? 
・基本手当はいくらになるのか?

を計算する際の基礎にも、その4ヵ月を含めることができます。

ですから、たとえこの会社では数ヶ月しか被保険者期間がなかったとしても、
本人が要らないと言わない限りは、離職票は交付してください。


もうひとつ、労務担当者が気をつけることがあります。
基本手当をもらえることができる期間(受給期間)は、離職日の翌日から原則1年間です。
つまり、1年経ってしまったら、基本手当が残っていても、もらえなくなってしまうのです。
ですから、なるべく早く、離職票の交付手続を行ってあげてください。


でも、1年365日あるんでしょ。慌てなくてもいいじゃない。。。

なんて思ったら大間違いです。
失業給付には、再就職手当というものがあるのです。

また、
基本手当を少しもらって再就職したものの、すぐに再離職してしまい、
結局、新たな受給資格も得られなかった場合、
その失業が、前の離職に係る受給期間内にあれば、
その間に、その残りの基本手当をもらえることができる場合もあるのです。


ちょっと混乱してきましたか?

つまり、受給期間の残日数が、その後の給付に影響することもあるので、
離職票の手続は、できるだけ早くやってあげてくださいね、ということです。
(原則は、離職日の翌日から10日以内)

基本手当は、離職者の生活保障になりますので。



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