社会保険のありがたみ
  (平成21年2月1日)

私傷病でしばらく会社を休むことになってしまった。
就業規則の規定どおり休職。その間、ノーワーク・ノーペイで無給。
その生活保障として健康保険の傷病手当金がある。

傷病手当金は、最大1年6ヵ月受けることが出来る。
一定要件を満たせば、退職後も支給されます。

また、入院、手術となれば医療費の窓口負担が高額に!!

その場合も、健康保険の高額療養費制度を利用すれば、
一定額を超えた窓口負担分が払戻されます。
確定申告時には、医療費控除もお忘れなく。

・・・という流れが一般的でしょうか。


しかし、傷病手当金は、あくまで 健康保険に加入していれば のお話です。

もし会社が、あるいは本人が、
本来なら健康保険に加入しなければいけないのに、
国民健康保険に加入している(させている)場合、

高額療養費は利用できても 傷病手当金はもらえません。


また、その傷病が、障害年金の障害等級に該当すれば、
障害厚生年金がもらえるかもしれません。
それには、初診日に厚生年金に加入しており、
保険料の納付要件も満たしていることが必要です。

もし会社が、あるいは本人が、
本来なら厚生年金に加入しなければいけないのに、

国民年金に加入している(させている)場合で、国民年金加入中に初診日があり、
保険料の納付要件も満たしていれば 障害基礎年金の対象となります。

●障害基礎年金は1,2級のみです。
●障害厚生年金は3級まであり、障害手当金という一時金もあります。
 また、障害厚生年金1,2級に該当すれば、 障害厚生年金だけでなく、
 障害基礎年金も受けられます。

このように、厚生年金と国民年金とでは、保障の手厚さが全然違います。

こういう状況になってはじめて、社会保険に入ってて良かったと思うのでしょう。
病は、突然襲ってきます。生活保障は本当に大事です。


結局、病気が治らず、会社を退職することになりました。
通常は、会社から離職票をもらい、ハローワークで雇用保険の
基本手当をもらう手続をします。

しかし、そのためには 「働く意思があり、働ける状態にある」 ことが必要です。
でも、まだ病気が治っていないので働ける状態ではない。

この場合、基本手当はもらえないのでしょうか?

そういう人の為に、受給期間を将来に向かって延長する制度があります。
そして、その期間内に働けるようになれば 基本手当がもらえるようになります。

また、退職前に病気で休職したことにより、原則の算定対象期間では、
基本手当をもらう要件が満たせないのであれば、その期間も過去に遡って広げることが出来ます。 
<詳細はハローワークへ>


ただし、このような特例措置も、
会社が従業員を 雇用保険に加入させていれば の話です。

雇用保険は、要件に該当していれば、強制的に被保険者になりますが、
事業主が手続を怠り、しかも当の従業員が病気休職等で無給の期間が長いと、
2年遡って資格を取得したとしても、基本手当の受給資格が得られない場合もあるのです。

このように、「病気で働けなくなった」、「退職して収入が途絶えた」
という不測の事態に備えてのセーフティネットは、
社会保険等に加入しているかしていないかで、雲泥の開きがあります。

元気な時は、その重要性をあまり感じないかもしれませんが、
いざとなった時に、「社会保険に入ってて良かった」とありがたく感じるものです。


労働者を社会保険等に加入させる義務は事業主にあります。
加入させないことで労働者に不利益を与えてしまうと、
後に損害賠償請求されるオソレがあります。

また、従業員を大切にしない会社と思われ、いい人材も来なくなります。

逆に、きちんと社会保険等に加入していれば、従業員は
「何かあっても大丈夫」 と安心して働くことが出来ます。

会社の「法令順守」の姿勢が従業員に安心感を与え、定着率向上の一助になるでしょう。

いろんな意味で、労働者を雇用する事業主の社会的責任は大きいです。



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