■ 労災保険のいろは

みなさんは毎月お給料から
・雇用保険料
・健康保険料
・厚生年金保険料
を天引きされていると思います。

「あれ? 労災保険料は?」
「お給料から天引きされていないから
  会社は労災保険に入っていないんじゃない?」

という声をたまに聞きます。

でもご安心ください。
労災保険料は、事業主が『全額』を負担しています。
ですから天引きされないのです。

今回は、このようにあまり知られていない労災保険の
「給付」について簡単にご説明します。


●仕事中にけがをして病院に行った(療養(補償)給付)
 
 病院での自己負担は0円、つまり「無料」です。
  ※その時の状況によっては一時立替る場合もあります

 健康保険は3割負担ですが、
 労災の場合はそれさえもありません。

 ただし、通勤災害の場合は一部負担金が
 発生する場合があります。
 
 病院は、よほど緊急でない限り
 『労災指定病院』等に行ってください。

 日ごろから、会社の近辺、通勤途上にある労災指定病院等を
 チェックしておいてください。
 
 
●労災事故が原因で4日以上休むことになった(休業(補償)給付)
 
 休業4日目から補償されます。
 しかし、最初の3日間は労災保険からは補償されません。

 この最初の3日間は、
 業務災害であれば、会社に補償義務があります。(労基法76条)                
 通勤災害の場合は、このような義務はありません。
 しかし、補償してあげるのは自由です。
 
 いくらか?
 平均賃金の60%です。
 また、特別支給金としてプラス20%、
 合計80%が補償されることになります。
 
 平均賃金が1万円の人は、休んで無収入であれば、
 日につき8千円が補償されるということになります。

 
少し脱線しますが、
 会社が労災扱いにしたくない理由の1つに、
 『労災保険料が高くなるから』ということが聞かれます。

 業務災害はともかく、通勤災害にはこのような
 「メリット制」は適用されません。

 ですから、会社側は従業員が安心して治療に専念
 できるよう、給付請求等に協力をしてあげると
 喜ばれると思います。
 

●休業が長引いている・・・(傷病(補償)年金)

 一定要件に該当する場合、労働基準監督署が職権で、
 1日ごとの補償(休業(補償)給付)ではなく、
 1年ごとの補償(傷病(補償)年金)に切り換えてくれます。
 
  
●障害が残ってしまった(障害(補償)給付)

 障害の等級によって、「年金」か「一時金」になります。

 障害等級1〜7級は年金
 障害等級8級〜14級は一時金

  
●介護が必要なんですが・・・(介護(補償)給付)

 要件に該当すれば、月を単位として約5〜10万円程が
 状況に応じてもらえます(原則)。


●死亡した(遺族(補償)給付)
 
 ・一定要件の遺族に、「年金」か「一時金」が支給されます。

  年金か一時金かの判断は、被災労働者の死亡当時、
  一緒に暮らしていたか否かなど、その遺族の状況等に
  よって決まります。

 ・葬祭料も支給されます。


●身体の調子が悪いんですが・・・

 一時健康診断等の結果により、二次健康診断等給付があります。

 長時間労働が常態化してくると、
 知らぬ間に、心臓や脳血管に多大な負荷がかかります。

 しかるべき予防をしていれば助かった命が、
 気づいた時には遅かった・・・という過労死は
 後を絶ちません。

 毎年行なわれる一時健康診断で、この脳や心臓に病気の「予兆」
 があった場合に、更なる健診(二次健康診断)を受けることが
 出来ます。

 またその結果により事業主は医師と相談し、
 その従業員の作業環境等を考えなければなりません。

 
●他にも、「社会復帰促進事業」として
 ・被災労働者や遺族への生活費等の貸付
 ・会社の倒産による未払い賃金の立て替え

 など、ここでは書ききれないぐらいの手厚い保障が
 まだまだあります。
 

まずは、「労災かも?」と思ったら、
会社の担当者や監督署などに聞いてみてください。




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