休日出勤と代休   (平成20年9月14日)


どこの会社でも、休日出勤はあると思います。

休日出勤をすると、会社から必ず言われます。
「休日出勤した分の代休を、早く取ってくださいね」  と。

そして、言われたとおり、代休を取りました。

その月の給料日。
給与明細を見て驚きます。

その月は、間違いなく休日出勤をしているのに、
休日出勤の割増分(0.35分)がついていないのです。 どういうこと ??


このような話はよく聞きます。 
どういう事かというと、


例えば、日曜日が休みの会社で、その日曜日に休日出勤をしたとします。
その日の賃金は、通常の賃金×1.35倍  です。

明けて月曜日。 上司から、先ほどのように
 「代休とってね」 と言われます。

それはもちろん、会社側の 
「休日出勤して疲れているだろうから、代休を取って身体を休めてね」
という優しさもありますが、と同時に、人件費を削減したいという気持ちもあるでしょう。

ですから、
代休を与えること自体は、労働基準法上の義務ではありませんが、
会社は、出来るだけ代休を取らせようとします。

またそれは、労働者の身体にとっては望ましいことなので、
労働者も休んだ方がいいと思います。

また、代休を与えないと、「週に1回は、必ず休日を与えなければならない」
という労基法35条にも違反してしまいますし。


・・・ということで、その部下は、比較的暇な水曜日に代休を取りました。


ところが会社は、
日曜日の1.35倍の賃金と、
水曜日の1.0倍(いつもの賃金)とを、イコールとして相殺してしまいました。

つまり、代休なのに、振替の処理をしてしまったのです。

休日出勤をさせてしまったら、いくら後で代休を与えたとしても、
休日出勤したという事実は消えないので、休出の割増(0.35分)は支払わなければなりません。



また、こんな会社もあります。

労働者が代休を取っていないのに、
休日出勤分の賃金自体を、まるまる支払わないのです。

「休日出勤分がついていません」と抗議をすると、
「代休を早く取らないから悪いのだ」 と開き直る始末です。

これは「未払い賃金」となり、賃金の全額払いの原則に違反します。


仕事の関係で、休日出勤をしたその賃金計算期間内に、
どうしても代休を取ることが出来ないのであれば、とりあえずその月は、
休日出勤分を一旦支払い、翌月以降、賃金×1.0の賃金を精算すればいいのです。

ただし、 ここを本人任せにしていると、代休が溜まりに溜まって、
後々のトラブルに発展してしまいます。

ですから、会社側は、休日出勤をさせる時は、代休を取る日を決めさせ、
一旦決めたら、余程のことがない限り、確実に休んでもらいましょう。
それも、出来たら、その賃金計算期間内で。

それがムリなら、ちゃんと休日出勤分の賃金は支払いましょう。


以上を 簡単に整理すると、

『代休』は、
  はじめに休日労働をさせ、後で休みを与えることです。
  ですから、代休を取らせても0.35の割増分は
  払わなければならないし、『36協定』も必要です。


『振替』は、
  事前に休日と労働日を交換することです。
  たんに労働日が替わっただけなので、割増分も発生しません。

 
余談ですが、
 振替を使う場合は、就業規則で詳細を規定する必要があります。
 規定しないと、代休扱いとなってしまいます。


以上のように、実態は代休なのに、振替の取扱と勘違いして、
または意図して、割増分を払っていない会社は実在します。

サービス残業にしてもそうですが、こういった会社の違法を、
従業員のみなさんは知っています。 ただ、言えないだけです。

また、会社の違法に気づいた従業員のモチベーションは、必ず下がります。



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