健康診断を受けていますか? (H20.11.30)


会社で健康診断を受けていますか?

パートの場合、健康診断は必要ない、または自費で受けさせる、
というような話をよく聞きます。

実は私もパートの時、雇入時の健康診断を自費で受けさせられました。
その時は、法律の知識がなかったので違和感を覚えつつも、
一番安い健康診断を受けました。

パートには、健康診断の実施義務はないのでしょうか?
健康診断の費用は、自分で負担しなければならないのでしょうか?


健康診断に関することは「労働安全衛生法」に規定されています。
また健康診断と言っても、いろいろあります。

◇採用された時に行う「雇入時の健康診断」

◇年に一回の「定期健康診断」

◇極端に暑い所、または寒い所などで業務を行う人や
 深夜業をする人等の「特定業務従事者の健康診断」

◇石綿や有機溶剤等を取り扱う業務に従事する人の「特殊健康診断」

 等、多々あります。


今回は、一般的な「定期健康診断」でお話を進めます。

●まず、健康診断を義務付けている労働者の範囲は?

 『常時使用する労働者』 です。

 では、パートはこの『常時使用する労働者』に入るのか否か?

 ・期間の定めの無い労働者  および
 ・期間の定めがあっても、契約更新により1年以上働いている労働者(見込みOK) であり、
 かつ
 ・1週間の所定労働時間が、正社員の3/4以上

 という働き方のパートであれば、正社員同様、
 健康診断が義務付けられます。(平5.12.1基発第663号)

 また、1週間の所定労働時間が正社員の1/2以上のパートでも、
 受けさせるのが望ましい、とされています。
 
 
私見です。

事業主には、労働者の健康に配慮する義務、つまり、安全配慮義務があります。
それは、健診を義務付けられていないパートも同様です。

であれば、通達のように「働き方」だけで線引きするのは、そのパートさんの気持ちや
その後のモチベーションを考えると、事業主にメリットはないような気がします。

会社の経費が増える以上のデメリットが、発生するような気が・・・。


●次に、健康診断の費用は誰が負担するのか?

 事業主が負担します。

 安衛法第66条で、健康診断の実施を事業主に課しているからです。

 通達でも
 「その費用は当然、事業主が負担すべきもの」 としています。(昭47.9.18基発第602号)


●では、その受診時間は労働時間になるのか?
 
 通達では、

 ◇一般健康診断は、業務遂行との関連で行われるわけではないので、
  賃金を払う払わないは労使協議のうえで定めるべきもの。

  しかし、労働者の健康の確保は、事業の運営に係わることなので、賃金を払うのが望ましい。
  
 ◇特殊健康診断(有害業務)は、業務遂行にからんで行われるものなので、
  ・受診時間は労働時間となり、賃金の対象になる。
  ・また、受診が時間外に行われれば、割増賃金も発生する   と解されています。


また、健康診断の結果は、必ず本人に通知してください。
そして、健康診断の項目は、法定水準を下回らないものにしてください。

なぜか?

健診結果を本人に通知しないことが、早期発見、早期治療の機会を奪うことになり、
その結果、取り返しのつかないことになったら、会社の安全配慮義務違反が
問われることになるかもしれません。

また、費用をケチって法定水準を下回る健診を実施したことで、本人の早期発見の機会を逃した場合、
これまた、会社の安全配慮義務違反が問われないとも限りません。


そもそも、なんのために健康診断を実施するのか?

法律で義務付けられているから、以前に、会社が労働者の健康を管理することで、
労働条件の一つである就業環境を快適にする、見直すきっかけになる、

労働者の健康状態によっては、業務内容を変えたり、深夜業の回数を少なくする
などの措置を講じることができ、それが労災を未然に防ぐことに繋がる、

その効果として、労働者の健康を気遣う会社の姿勢が、
労働者の 「会社に守られている」 という安心感を生み、
結果として、会社の発展に繋がっていくのではないでしょうか?

また、労働者側にも受診義務があります。

会社との労働契約を履行するためにも、あくまで自分の健康は自分で管理するんだ、
という自己責任で、日ごろの不摂生を慎むことが大事だと思います。



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