女性が働きやすい会社とは   (平成20年9月21日)

株式会社オピニオンは、20〜40歳代の女性を対象に、
「育児と仕事の両立について」の調査をしました。

その結果を元に、『働きやすい会社』『働きたい会社』を検証してみます。


正社員だった女性が、出産後に望んだ働き方や条件は、

 1位 都合に合わせられる
 2位 残業がない
 3位 通勤時間が短い
 4位 安定した収入
 5位 育児支援制度がある

以上のような条件が満たされれば「働き続けたい!」と、8割の人が回答しました。

常に人材不足に陥っている会社は、このような女性の生の声を参考に、
就業条件を改善すると、優秀な女性を確保できるかもしれませんね。

子供が小さいうちは、たとえ労働時間が短くても、たとえ頻繁に休まれたとしても、
一時のことと割り切り、その女性たちを中心にしたシフト管理をすることで、
彼女たちは、「働きやすい職場だ」 と感じてくれます。  たとえ時給が安くても・・。

また、それを見ている周りの若い女性も、
この会社は、子供を産んでも働き続けられる会社だ  ということがわかり、

安心して業務に専念することが出来ます。 つまり、定着率が向上します。
会社としても、働き続けてくれると思えば、安心して仕事を任せられます。


しかし、子供が出来ない女性、子供がすでに成長している女性、
その他男性達から、仕事のしわ寄せがこっちに来る、と反発があるかもしれません。

その場合は、家族の看護休暇や介護休業制度を充実させるなどの措置も、
必要になるかもしれません。

家族の病気や介護等で働き方を考えなければならないのは、
何も子供がいる女性だけではないのですから。
高齢社会である今、ますます必要なことだと思います。

また、そのような努力をする会社に対しての助成金も豊富にあるので、
ぜひ活用してみてください。


さらに言えば、「女性に優しい会社」「社員に優しい会社」という評判が立ち、
企業のイメージがアップし、売上も上昇。 
口コミで応募者が増え、求人コストも削減。

さらにさらに、

正社員登用制度や教育訓練制度、資格取得、昇給制度などの人事制度を充実させることにより、
労働者のモチベーションも高まり、労働生産性も上がるでしょう。
そして、従業員満足から顧客満足に繋がれば、企業業績もうなぎのぼり・・・とは楽観すぎ??


このように、育児と仕事を両立させた従業員の手が、子供から離れた時に、
次の、正社員としてバリバリ働ける状況 が調っていれば、
転職されることも防げるでしょうし、貴重な戦力になってくれることでしょう。


では、このように女性に支持してもらえる会社になるには、どうすればいいのでしょう?

簡単です。 女性を大事にすればいいのです。

ただ、間違ってほしくないのですが、 大事にする=甘やかす、ではありません。

仕事には厳しく、それ以外では優しく。 そしてどの従業員にも公平に接することです。
大事にされた従業員は、会社を大事にしてくれます。
会社を宣伝してくれます。困った時に助けてくれます。 

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ここからは、「男女雇用機会均等法」から見た
女性に支持される会社の条件を考えてみます。

均等法からみる条件というと、一言でいえば「性差別の禁止」です。

「性差別」って?

仕事を行なう上で、なんの合理的な根拠もないのに、
単に「女性だから」「男性だから」という理由だけで、諸々のことに差別をすることです。

多分、ほとんどの会社でこのような性差別は未だにあるのではないでしょうか?
気づいていないだけで。

労働基準法でも性差別を禁止していますが、それは「賃金」に限ってです。(同法第4条)
均等法では、どのような性差別を禁止しているのでしょう。


●配置・権限での差別

『単なる性別の違い』だけで、
 男性は営業、女性は事務のみ、 という配置をしていませんか?
 また、決裁権限の金額が、 男性は●万円、女性は○千円、 というものも性差別になります。


●降格に関する差別

 ある役職を廃止する際に、『単なる性別の違い』だけで、
 男性には他の役職を、女性は平社員に、 というようなことをしていませんか?
 また、結婚しているから、子供がいるから、という理由だけの降格も性差別です。


●職種や雇用形態の変更
 
 一般職から総合職への異動を希望している者が数人いるとします。
 でも、異動できるのは1人だけです。
 その場合、『単なる性別の違い』だけで、 男性を優先するような取扱をしていませんか?

 また、異動対象者を試験で決めるとします。 
 その合格基準を、『単なる性別の違い』だけで異なるものとした場合も性差別になります。
 

●経営が苦しくなった。 退職勧奨を実行せねば。

 その際、その対象を『女性のみ』にする、または、そこまでストレートではなくても、 
 対象者を選定する際の基準を男女別にし、結果的に、
 女性が対象になるように仕向ける のも性差別です。


●昇進、昇格等の条件に、
 特に合理性が無いのに、女性が出来ないような条件を課す、
 例えば、全国転勤できる人が条件!  などは「間接差別」で禁止です。


他にも多々ありますが、この辺で止めておきます。

性差別、性差別とうるさく言いました。 いかがでしょう? 思い当たる節はありませんか?
結構、無意識に口に出していたり、実行しているのではないでしょうか?


均等法の目的は、
 性別の違いだけで差別をするのではなく、労働者の意欲や能力で判断し、
 働きやすい職場環境を整えてもらうこと、 です。

「女性だから」「男性だから」 ただそれだけの理由での差別的な取扱いは、
その人のモチベーションを間違いなく下げます。 いや、怒りをも買います。

また、このような取扱は、ある意味人権にも触れ、
場合によっては、裁判に発展する危険性もありえます。
特に女性は、このような差別に敏感です。


まずは、このような性差別がないかどうかを洗い直し、意識して性差別をなくして行きましょう。
法律の面からというよりも、従業員に気持ちよく働いてもらうために。

その人個人の能力や意欲で判断されるのであれば、
男女関係なく、素直に受入れてもらえるのではないでしょうか?

以上、単なる「性別の違い」だけで、配置、権限等に差別を設けるのは違法であり、
そのような会社は、働きにくい、いや、働きたくない会社だ、 ということをお伝えしました。

「性差別はいけないんだ」という発想のできる男性が多い会社ほど、
いや、社長自身がそういう人であれば、 きっと女性社員は居心地がいいと感じ、
会社のために真面目に頑張って働いてくれることでしょう。

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ここからは、女性が妊娠したこと、出産して休業することなどを理由に、
会社側は不利益な取扱をしてはいけないよ、ということについて触れます。

引続き「均等法」がらみです。

女性従業員は、妊娠し、出産をすれば、産休を取ったり、育児時間を請求することが出来ます。
残業や休日出勤、深夜業をしないことも出来ます。
また、妊娠中の女性は、より負荷の少ない業務への異動を請求することも出来ます。

ですから、そのような権利を行使した女性に対して、
それを理由に、
◆解雇する
◆降格する
◆正社員からパートへの変更を強要する
◆契約更新を拒否する
◆減給したり、不利益な人事考課をする
◆理由の無い転勤を命令する    等をしてはいけません。

均等法で禁じています。


労基法では、
・産休中およびその後30日間は解雇出来ない、としています。

均等法では、
・妊娠中または産後1年以内の解雇は、事業主が、妊娠等が理由で
 解雇したのではないことを証明しない限り無効、としています。

 これは派遣先の事業主にも適用されます。
 妊娠した派遣労働者が、契約上の業務が出来るにもかかわらず、
 派遣元にあえて交替を要求するなどです。

女性の保護に優しい会社、従業員に優しい会社、取引先に優しい会社、
そして、仕事に厳しい会社が、

いい会社、生き残る会社、支持される会社になるのだろうと 私は考えます。


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