■ 女性が働き続けられる会社とは 〜均等法編〜
 (平成20年9月28日)

「男女雇用機会均等法」から見た
女性に支持される会社の条件を
考えてみたいと思います。


均等法からみる条件というと、
一言でいえば「性差別の禁止」です。


「性差別」って?

仕事を行なう上で、なんの合理的な根拠もないのに、
単に「女性だから」「男性だから」という理由だけで
諸々のことに差別をすることです。

多分、ほとんどの会社でこのような性差別は
未だにあるのではないでしょうか?
気づいていないだけで。


労働基準法でも性差別を禁止していますが、
それは「賃金」に限ってです。(同法第4条)


均等法では、どのような性差別を
禁止しているのでしょう。
みなさんも一緒に見直してみましょう。


●配置・権限での差別

『単なる性別の違い』だけで、

 男性は営業、女性は事務のみ、
 という配置をしていませんか?
 
 また、決裁権限の金額が、
 男性は●万円、女性は○千円、
 というものも性差別になります。


●降格に関する差別

 ある役職を廃止する際に、
『単なる性別の違い』だけで、

 男性には他の役職を、女性は平社員に、
 というようなことをしていませんか?

 また、結婚しているから、子供がいるから、
 という理由だけの降格も性差別です。


●職種や雇用形態の変更
 
 一般職から総合職への異動を希望している者が
 数人いるとします。
 でも、異動できるのは1人だけです。

 その場合、『単なる性別の違い』だけで、
 男性を優先するような取扱をしていませんか?

 また、異動対象者を試験で決めるとします。
 その合格基準を『単なる性別の違い』だけで
 異なるものとした場合も性差別になります。
 

●経営が苦しくなった。
 退職勧奨を実行せねば。

 その際、
 その対象を『女性のみ』にする、

 そこまでストレートではなくても、
 対象者を選定する際の基準を男女別にし、
 結果的に女性が対象になるように仕向けるのも性差別です。


●昇進、昇格等の条件に、
 特に合理性が無いのに、
 女性が出来ないような条件を課す、

 例えば、全国転勤できる人が条件!

 などは「間接差別」で禁止です。

他にも多々ありますが、この辺で止めておきます。


性差別、性差別とうるさく言いました。
いかがでしょう?
思い当たる節はありませんか?

結構、無意識に口に出していたり、
実行しているのではないでしょうか?


均等法の目的は、

 性別の違いだけで差別をするのではなく、
 労働者の意欲や能力で判断し、働きやすい職場環境を
 整えてもらうこと、です。


私自身にも経験があるからよくわかります。

「女性だから」「男性だから」
ただそれだけの理由での差別的な取扱いは、

その人のモチベーションを間違いなく下げます。
いや、怒りをも買います。

そこに気づいて欲しいのです。

また、このような取扱は、ある意味人権にも触れ、
場合によっては裁判に発展する危険性もありえます。

特に女性は、このような差別に敏感です。

まずはこのような性差別がないかどうかを洗い直し、
意識して性差別をなくして行きましょう。

法律の面からというよりも、
従業員に気持ちよく働いてもらうために。

その人個人の能力や意欲で判断されるのであれば、
男女関係なく、素直に受入れてもらえるのではないでしょうか?



前回は、単なる「性別の違い」だけで、
配置、権限等に差別を設けるのは違法であり、

働きにくい、いや、働きたくない会社だ、
ということをお伝えしました。

みなさんの会社はどうでしたか?


実際は、「悪意」があって性差別を
している訳ではないと思うのです。

しかし、逆に悪意が無いからこそ、

◆性差別のみで労働条件を低下させるのは違法であり、
◆女性のやる気を損ね、
◆女性を傷つける結果になる、

ということに気づいてもらえない限り、
何も変わらない、恐ろしいなと思うのです。

そういう性差別を、妻や娘が職場で受けていたら
心穏やかでいられるでしょうか?

「性差別はいけないんだ」という発想のできる男性が
多い会社ほど、いや、社長自身がそういう人であれば、

きっと女性社員は居心地がいいと感じ、
会社のために真面目に頑張って働いてくれることでしょう。


と前置きが長くなりました。


今回は、
女性が妊娠したこと、
出産して休業することなどを理由に、
会社側は不利益な取扱をしてはいけないよ、

ということについて触れます。


前回に引続き「均等法」がらみです。


女性従業員は、妊娠し、出産をすれば、
産休を取ったり、育児時間を請求することが出来ます。
残業や休日出勤、深夜業をしないことも出来ます。

また、妊娠中の女性は、より負荷の少ない業務への異動を
請求することも出来ます。


ですから、そのような権利を行使した女性に対して、
それを理由に、

◆解雇する

◆降格する

◆正社員からパートへの変更を強要する

◆契約更新を拒否する

◆減給したり、不利益な人事考課をする

◆理由の無い転勤を命令する

等をしてはいけません。
均等法で禁じています。


労基法では、
・産休中およびその後30日間は
 解雇出来ない、としています。

均等法では、
・妊娠中または産後1年以内の解雇は、
 事業主が、妊娠等が理由で解雇したのではないことを
 証明しない限り無効、としています。

 これは派遣先の事業主にも適用されます。
 妊娠した派遣労働者が、契約上の業務が
 出来るにもかかわらず、派遣元にあえて交替を
 要求するなどです。


これらのことは、普通の従業員でさえも
到底受入れられないことです。

女性の保護に優しい会社、従業員に優しい会社、
取引先に優しい会社、そして仕事に厳しい会社が、
いい会社、生き残る会社、支持される会社
になるのだろうと私は考えます。


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