派遣元事業主さん (平成20年4月27日)
先日、労働局主催の派遣元事業主に対する説明会に出席してきました。
グッドウィルの事件以来、取締りが強化されているようです。
労働基準監督官のお話によりますと、「派遣元管理台帳」等の
基本的な書類の不備による是正指導が多くなっているそうです。
以下、監督官等のお話をざっと列記します。
◆派遣元は派遣先と派遣契約を結ぶ際、派遣先の
・変形労働時間制の有無
・残業時間がどれぐらいあるのか
などを調べておく。
派遣先で残業が発生するなら、派遣元で必ず36協定を締結すること。
※監督官によると、派遣社員に残業や休出をさせているのに、
36協定を届出ていない派遣元会社は、結構あるそうです。
もちろん、是正指導の対象になります。
◆派遣先は派遣労働者を解雇する権限はない。
最近、派遣労働者が派遣先の事業主に「明日から来なくていい」
と言われ、不当解雇だ! と監督署に泣きついてくるケースが
増えているそうです。
しかし、派遣社員と雇用関係にあるのは「派遣元」です。
ですから、派遣先が「クビだ!」といっても、それは解雇には
なりません。
この場合で問題になるのは、その派遣社員が「クビだ」と言われた
派遣先で労働できず、他の派遣先も見つけてもらえずに働けない場合です。
派遣元は早く新たな派遣先を見つけてあげないと、その派遣社員に
休業手当を払わなければならない事態になってしまいます。
◆一般健康診断を実施する義務があるのは派遣元。
ただし、有害業務に係る健康診断等は派遣先の義務になります。
◆労災による休業4日以上の際に監督署に提出する「労働者死傷病報告」は、
派遣元、派遣先ともに提出すること。
◆適正な派遣契約をすること。
請負といいながら、実態として、注文主の指揮命令がある場合は
偽装請負と判断され、労働者派遣法の適用を受けます。
◆派遣元は派遣先を定期的に巡回し、派遣社員が派遣禁止業務に
従事させられていないかどうかを確認すること。
◆派遣先にも「男女雇用機会均等法」が適用されます。
たとえば、派遣社員が妊娠した場合、今までどおり労務の提供
ができるにも係らず、派遣社員の交替を求めたり、更新を拒んだり
することは「不利益な取扱」とされ、均等法違反となります。
◆最低賃金法からは、
たとえば、派遣元は埼玉県、派遣先は東京だとします。
この場合、派遣労働者に適用される最低賃金は、派遣先である東京の最低賃金になります。
この地域別最低賃金に違反した場合の罰金は、
従来の2万円から50万円に引き上げられました。
それだけ違反企業が多いということでしょう。
なお、最低賃金法には他にも改正点がありますが、
施行は今年の7月頃の予定、ということです。
施行される前に見直してみるといいかもしれません。
◆育児・介護休業法からは、通常の登録型派遣社員でも、
「仕事があれば派遣できる状況」にあれば、育児休業の対象となります。
派遣社員は一律育休の対象にはならない、ということではありません。
ご注意ください。
◆雇用対策法からは、外国人を雇用する場合、
・雇用保険の被保険者でない場合は「外国人雇用状況届出書」に、
・雇用保険の被保険者である場合は、通常の「資格取得届」の備考欄に
国籍、在留資格等を記載して届出なければなりません。
また、雇用する際は、永住者、定住者などのように、
就労が認められる資格かどうか、在留期限が切れていないかどうかを
よく確認してください。
以上、ここに挙げた内容は、ごくごく一部です。
全般的に目新しい内容はあまりありませんでしたが、
派遣労働者に関係する法律が複雑に入り組んでいることに
今更ながら気がつきました。
4月は、日雇派遣に関する指針が策定され、労働者派遣法施行規則も
改正されました。
このように、労働社会情勢に合わせて法律もどんどん変化していきます。
知らなかったでは済まされません。
人を商品とする以上、人権を軽んじるような扱いだけはしないよう、
法的にも人道的にも、派遣元も派遣先も、慎重に事業を行なっていかなければ
ならないと感じました。
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