賃金から何でも控除できる?
 (平成21年5月31日)


昨年7月に廃業したグッドウィルが、
派遣労働者の賃金から、根拠のないデータ装備費を天引きし、
その返還を求めて訴えられていた事件が、5月13日に和解しました。

このデータ装備費の内容は
「保険料や安全装備の購入費用」です。


そもそも、労働者の賃金から、
勝手に何らかの費用を天引きできるのでしょうか?

労働基準法には、賃金支払5原則があります。

賃金は、
 ・通貨で、
 ・直接労働者に、
 ・その全額を、  支払わなければならない。(24条1項)

また、賃金は、
 ・毎月1回以上、
 ・一定の期日を定めて、  支払わなければならない。(24条2項)

とされています。

これは、賃金のみで生活している労働者の生活を保障するために、
使用者に賃金の支払方法を義務化したものです。

この原則によると、
賃金は「全額」を支払いなさい、となっています。

となると、毎月賃金から天引きされている税金や社会保険料は、
違法になるのでしょうか?

税金や社会保険料は、法令に別段の定めがあるので、
例外として、賃金から控除できます。


では、データ装備費のような費用は?

このような不当なものはいざ知らず、
たとえば、寮の家賃、組合費、昼食費等の根拠が明白なものを
賃金から控除したい場合は、労使協定(24協定)が必要です。

この協定を締結しておけば、賃金から控除できます。

ですから、協定もなしに、税金や社会保険料以外のものを賃金から控除すると、
労基法24条違反で、30万円以下の罰金となります。

24協定は、36協定のように監督署への届出義務はありませんが、
必要に応じ、必ず締結しておいてください。


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