どうせローンを背負って家をつくるなら、できるだけ公益的に家を建てたいと考えました。
ここで「公益」というのは「真にみんなにとってよいこと」、「公益的」とは「公益」にかなうようなという意味で用いています。
自分にとって
私のようなアトピーで体力のない人間にも安心して住める、ほっとできる、趣味も楽しめる(音を出せる)、快適に生きられる家がいい。
職人さんにとって
施工時に有害な建材を使わないような家がいい。長いこと、作り手にとって不快なグラスウールのようなものは使いたくないと思ってきました。
有害な溶剤も、住人にとってだけではなく、職人さんにとっても避けたいと考えてきました。
日本の自然にとって
原生林は別として、森林を守るためには、意外に思われる方もおられるかもしれませんが、木が売れることが大切です。
森林を守るために日本の木を使った家がいい。
さらに運送に余分なエネルギーを使わないためにも、森林を育てる人と住む人が信頼関係で結ばれるためにも地元の木を使いたい。
未来の人々にとって
なるべく長く使用して、その後の処分にも困らない家がいい。
等々と頭で考えて、また頭で考える以上に、人との不思議なご縁があって、実行に移すことになってしまったのです。
鶴岡市三瀬の林業家加藤周一さんが育ててこられた木を使い、地元の業者さんの手で在来工法で建てられます。
大手のハウスメーカーで建てるよりもやや割高ですが、支払う金がCM料へまわらずに、すべて地元へ還元されるので、
こうした建て方の方が、地域にとってのメリットがずっと大きいだろうと思います。
ただし、設計だけは、今回は庄内第一号ということで東京の方です。
次回からはたぶん、設計も含めてすべて地元の方による建設になるだろうと思います。
とりあえず、関連するところ二ヶ所へのリンクを貼っておきます。
庄内の森林から始まる家づくりネットワーク
完成予定は春なのに、今からいうのもおかしいとは思いますが、完成をともに喜んでくださる方へのお願いがあります。
世に「新築祝い」なるものがありますが、私は今まで以上に、すっきり、さっぱり、ほとんど物がないような暮らしをしたいと望んでいます。
なるべく世の中にゴミを増やしたくないとも思っています。なるべく買わない、もらわない生活です。
そこで、お金と物は堅くご辞退申上げます。
代わりに、ずぼらタイプの人間が庭を美しく整えていくためのお知恵をください。
庭付きの家に住むのは生まれて初めてなのです。
また、わざわざ来ていただけますなら、一回分のお菓子をご持参くださいましたら、楽しくお茶のひとときを過ごせることと存じます。
どうぞよろしくお願い申上げます。(2003.9.27記す)
(当初の完成予定は2004年春でした。今(2004年7月)は昨年9月の時点以上に、楽で楽しい庭づくりの知恵を切望中!)
2001年4月から住んでいた前のアパートは、床は掃除の楽なオールフローリングで、窓は暖房が効きやすいペアガラスで、と悪くはありません。 しかし、真上に高圧線が通っているのが不整脈に関係しているのではないかという不安があり、 消音器をつけないと楽器の練習ができないという不満があるなどして、このまま家賃を払い続けるよりも、 数年のうちには自分の家を持とうと思っていたのでした。 この地方では、かつて住んでいた関西に比べるとずっと安く土地を手に入れることができるので、 数少ない分譲マンションとあまり変わらない価格で一戸建てに住めるのです。
数年中にと考えていたのが、意外にも早く展開して、とうとう家づくりが始まりました。
大きな家の住人から見ると、20坪ちょっとというのは物置小屋の大きさかもしれませんが、私にしてみれば一世一代の大仕事です。
2003年4月 | 酒田市某町に土地を購入 | ||||||
2003年6月 | 設計監理の方と契約 | ||||||
2003年9月 | 地縄張り | ||||||
2003年10月 |
基礎工事開始、工事契約、住宅ローン利用申込
<工事が進んできて思うこと>
11月いっぱいで、屋根瓦工事まで終りました。
切り出されて葉枯らししてあった木から、 設計図を見て必要な柱や梁などをとっていき、 それに継手や仕口を刻んでおいて、 しっかりと築いておいた基礎の上に、 棟梁と数人の大工さんが力を合わせて、 わずか三日間で屋根まで組み立ててしまう。 あの森に立っていた「木」が私の「家」になってしまったのでした。 匠の技というのでしょうか。 いい匂いです。 ともかく感動ものでした。 銀行のつなぎ融資も出ました。 これからが楽しみです。(この部分は、11月16日記す) |
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2003年12月 |
床が張られました。サッシも入りました。 ゆっくりゆっくりと木を乾燥させながら仕事が進みます。 |
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2004年1月 |
完成予定大変更! 下水道供用開始が春から夏に延びたそうです。 大まかな庭づくりが終わってから住むことになりそうです。 時間が延びたと安心せずに、家の片づけをしようと思いました。 仕事が進んでいないのではないかと心配してくださる方もおられますが、 時間をかけて作れるというのはとても贅沢なことなのです。(1月22日記す) |
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2004年2月 |
美しい天井板完成。超高級な家と誤解されるのが心配です(?!)。 壁板や床板もだいぶんできました。壁の下地塗りも進行中です。(2月8日記す) 内部の腰板が終わりました。本実加工された板が一枚一枚丁寧に張られました。 |
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2004年3月 |
内部壁の仕上げ塗り(クリーム色の漆喰)も終わりました。 9日には「庄内の森林(もり)から始まる家づくりフォーラム」でした。 多くの方がバス2台で視察に来てくださいました。 これから、台所(大工さんと左官さんがつくります)や外の壁などに入ります。 風雪の季節は終わるので、外壁やサンルームのガラスなども始まりそうです。 春には庭づくりも始めます。(3月11日記す) |
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2004年4月 |
サンルームや室内各所のガラスが入りました。 台所(システムキッチンではなく、手作り台にステンレス板)もできました。 でも、まだ建具が入っていません。外壁の仕上げ塗りも終わっていません。 どうせ、住めるようになるのは夏なのだから……、と思うけど、ちょっと寂しい。 ゴールデンウィークの間に、生け垣づくりの相談をしました。 隣地の○○○計画もほぼまとまりました。(5月10日記す) |
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2004年5月 |
真っ白な漆喰(しっくい)の壁ができました。 周囲の網や足場も取り払われ、どうです、この美しさ!(「施主バカ」丸出し(^_^;)) 台所や風呂場のタイルもほぼ終わりました。(6月4日記す) |
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2004年6月 |
(多忙で更新ができないでおりました。でも時々写真を撮っておいてよかった!) 6月はほとんど左官屋さんのお仕事でした。 玄関の研ぎ出しや、車庫部分のコンクリート、そして周囲を囲む低いブロック塀。 周囲が整えられると家の美しさが引き立ちます。(また「施主バカ」丸出し……) |
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2004年7月 |
杭を打って、ドウダンツツジとツバキとサンゴジュの苗木を植えました。 庄内支庁森林整備課にお勤めで樹木医でもある梅津勘一さんのご指導で、 何人かの方々のご協力をいただいての生垣完成です。すばらしい! 車庫の屋根ができ、玄関脇窓などの格子もつきました。 床は自然塗料です。家の外側などは無塗装で、古びるのを楽しむ趣向です。 そして最後の仕上げの建具が入りました。 照明器具も購入、大工さんに特別にお願いしたベンチ兼テーブルも完成。 庭には早速○○の種を播き、○○の球根を植えました(ひ・み・つ)。 問題は庭が広すぎることです。「この広いお庭いっぱい、伸びる草を〜♪」 楽しみのようでもあり、放任状態になりそうで不安でもあります。(以上7月31日)
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2004年8月 |
7〜8月の異常な暑さで、せっかく植えた苗木の葉がパリパリになってしまいました。 一時は枯れたかと思いましたが、何とか朝夕の水やりで息を吹き返したようです。 (引越後の台風でも、塩分を含んだ強風で、少々ダメージを受けました) 引越前にそんなアクシデントがあり、事前の掃除も予想以上にたいへんでした。 直前になって、すてきな建具が入り、カーテン(オーダー!)もつきました。 ようやく8月10日にめでたく引越! 引越後は、あちこちにフックをつけたり、不要品を処分したりの数日間。 リサイクルショップと大学内の特設リユースコーナーにはお世話になりました。 三瀬の加藤さんから沓脱石をいただきました。 早くに届いていた雨水タンク(ウィスキー樽再使用品)を頑張って取り付けました。 そうこうしているうちに、秋の播き時、植え時がやってきてしまいます。 庭の整備を急がなければなりません。ああ、忙しい。忙しい。 そう言えば、大学の『Over View』に載りました(載せました?)。 誌名をクリックしてご覧下さい。(以上、8月23日)
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後日談1 |
引越後、台風15号と16号が相次いで襲って来ました。 家は何ともなかったのですが、庭が、うううっ。 生垣のドウダンツツジが塩水入りの風を受けて葉っぱが茶色になってしまいました。 (その後、若干回復してきました。) (近所の木々も悲惨な姿です。庄内地方の農作物の大被害に比べたらたいしたことはないですが……) そして、せっかく設置したコンポストの蓋が飛んでいってしまいました。 近所を探してみましたが、見つかりません。もし水路に落ちたのなら、今頃は日本海か…… 直径約50cmの深緑色の蓋を発見した方は、ぜひご一報ください。 (今はブルーシートにハトメ穴を開けて紐をつけた臨時の蓋をかぶせてあります。) (以上、9月3日) (10月1日、ご近所の方が裏の畑にあると教えてくださいました。やっぱり本物の蓋がいいですね。よかった!)
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後日談2 |
お隣の約100坪の土地はしばらく自由に使ってよいというお許しを得ています。 建設前から考えていた土地の利用法は……、 一面を○○○にするという計画です。 うまくいくか、大失敗に終わるか、やってみなくてはわかりません。 ともかく今朝、実現への一歩を踏み出しました。 うまく行けばよいのですが、どうなるでしょうか。 (以上、2004年9月21日) |
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後日談3 |
9月29日のNHKの夕方と夜の県内ニュース番組で、我が家と私の映像が放映されました。 いつかまたビデオを借りて見るつもりですが、まだ見ていません。台所も映ったそうです。 うちにはテレビもアンテナもありません、ちょっと珍しい家かもしれませんね。 家を見に来た知り合いがブログに私の家を評してくれたので、リンクをはっておきます。 ここに出ている「杉々庵」というのは口から出まかせの名前。まだ確定いません。でも小さい家なので「庵」がぴったり。 相互リンクを貼りました。→「ふらっとはうす」 (以上、2004年10月3日) |
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後日談4 |
10月24日に見学に来てくださったPENPENさん一家の家づくりの記録がホームページに掲載されることになったという連絡を受けました。 早速リンクを貼ります。→ 「庄内のもりから始まるPENPENの家づくり」 この正月は大雪つづきです。雪の家もいいもんだ、と思えるのは暖房が効いている(効かせている)からなんでしょうね。 庭の木々は、春に向かって、着々と芽をつけています。「庄内の春」が楽しみです。 (以上、2005年1月25日) |
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後日談5 |
あああ、このページに書き込むのは本当に久しぶりだなあ。楽しみにしておられる方(いないかな?)ご無沙汰しました。 昨年12月9日、ゼミツアーで大阪へ3泊の旅に出ました。帰ってから庭の木々に冬支度をしてやろうと思っていたのです。 例年ならそれで十分に間に合ったはずでした。だいたい冬支度は12月の仕事なのです。 ところが、「帰ってみればこはいかに♪」、車は空港駐車場で雪に埋もれ、庭の木々もすでに雪に埋もれていたのです! それからは未曾有(みぞう)の大雪で、ずっと、ずっと庭は埋もれたままでした。 「可哀想な庭の木々たちだぁ」とは思ったものの、あきらめて放っておきました。 吹き溜まり部分は、ここは雪の少ないはずの酒田なのに、1メートルを超す積雪となりました。 実は、秋に庭の4箇所でカマキリの卵を見つけたのですが、それらがあまりに高いところにあるので、「カマキリはアホちゃうか。この酒田で、そんなに降るわけないやろ!」と馬鹿にしていたのですが(カマキリの卵の高さは積雪量を予言すると言われています)、こちらの方があさはかでした。 カマキリは正しかったのです(正確に言えば、除雪車によって人為的に積み上げられた部分は、雪の中に埋もれてしまいました。あの高さでも足らなかったのです)。 庭のコンポストに生ごみを捨てるのに、長靴を履いても腰まで埋まってたどりつけないような日々もありました(そこだけ道を掘りました)。 酒田市飛島が自生地の北限とされる暖地好みのタブノキも、てっぺんの葉数センチを残して埋もれてしまいました。 秋に植えたヴィオラも、数十センチの雪の下どころか、除雪した雪を積みあげて重い雪の下敷きになってしまいました。 この分では3月末まで、庭が雪で覆われたままになるのではないかと思っていたら、2月末から急に暖かくなって、3月初めにすーっと消えてしまいました。 たいしたもんですね、植物たちは。 雪が溶けたら、すぐにヴィオラが咲いているんですよ。水仙も毎日毎日次々と芽を出しています。沈丁花も蕾がついた! でも、たとえ雪の中でもスコップで掘り出して冬支度をしてやるべきだったのかもしれません。 レンギョウは9割ほど折れてしまいました。萩も半分は折れてます。低いところで枝がしなっているような形の木は雪の重みに負けてしまったようです。 椿やドウダンツツジ、サンゴジュも下の方の枝が少し折れていました。本当にごめんなさい。 まだ氷点下になるときがあるけど、春の空気が満ちています。あと1〜2ヶ月で、若い葉っぱと花でいっぱいの庭になるでしょう。 話はがらっと変わりますが、2005年9月、外壁の木の部分にキシラデコールを塗りました。 白い壁にこげ茶の木で、最上郡金山町の住宅の雰囲気になりました。 雰囲気の変わった家の外観写真を、近いうちに貼りたいと思っています。 (以上、2006年3月10日) |
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後日談6 |
2006年12月に発行された『山形家づくりの本2007』(アイン企画発行)の特集「森と木と山形の家」に「加藤さんの木で、三原先生が建てた家」として、写真が紹介されました。 トイレや浴室の写真もあります。我が家の可愛い子ちゃんたち(犬やウサギ等々)やヴィオラも写っています。よろしければご覧下さい。 (以上、2007年1月5日) |
木工事 川上建築 川上 健
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屋根工事 (株)原田瓦工業
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