【空気密度係数について】
1:これは私が勝手につけた名称で,研究所で使われていた「修正係数」の逆数になります.
・ダイナモでテストをする時,昨日は100馬力出ていて何も仕様は変えていないのに今日は98馬力
しか出ないぞ,というようなことはよくあります.これは,昨日と今日で気象条件が変わり大気中の
乾燥空気量が変化したためなのです.ホンダでは「気温」「湿度」「気圧」を実測し「水蒸気分圧グ
ラフ」から「現在の乾燥空気量」を導き,「参照標準大気状態」に換算することで統一化しました.
・つまり標準大気(20℃/60%/1013hPa)をK=1.000として乾燥空気量を計算し,現在
の乾燥空気量で割ったものを「修正係数K」としたのです.ダイナモの実馬力に修正係数を掛けると
標準大気状態での馬力に換算され,それがそのENGの標準値となり,どんな条件下でも正しい評価が
可能となりました.
・計算式は乾湿温度計の乾球温度(DRY TEMP),湿球温度(WET TEMP),気圧(MERCURY)の
入力行を入れても10行ほどの簡単なプログラムでしたが,サーキットでのメインジェットの選定に
非常に役立ちました.
・ただ乾燥空気量が増えるとK<1.000となるので,直感的に解る様それの逆数を「空気密度係数」
と勝手に名付けていました.(Kが上がると空気密度も上がるというように直感的に理解できる)
・今は多分使っていないでしょう.多くのセンサーデータから自動的に補正していると思いますが,
キャブを使っている我が身には未だに有用なツールとなっています.
私は,組んだENGの完成車テスト時のKをエンジン諸元表に記載しテスト結果の参考にしています.
・計算式は? 機密保持契約が一生有効なので教えられません.