「シーサーの日は壺屋へ」

那覇市立壺屋焼物博物館 渡名喜 明

 シーサーの認知度は今や全国レベルであり、本来の魔よけとしての機能を越えて、今や沖縄のシンボルになったかの感さえある。歴史的に見れば、十五世紀末の石製獅子から始まったと見られるが、ヤチムン・シーサーの発祥地となると壺屋であることは言うまでもない。そのヤチムン・シーサーのレベルをここまで高めた最大の功労者が、壺屋の名工・故島常賀氏であることに異論は出ないかと思う。

 その島常賀氏が制作し、旧那覇空港ターミナル第2ビル前に1990年に設置され、離島便の乗降客を送迎してきたシーサー一対が、那覇空港ターミナル株式会社・鈴木通雄社長より那覇市に寄贈されることになった。来る4月3日、那覇市立壺屋焼物博物館において、翁長雄志那覇市長に対するシーサーの贈呈式が挙行される。

 贈呈式が行なわれる4月3日を「シーサーの日」にしよう、という提唱があったことをご記憶の方もおられるだろう。提唱されたのは1994年4月3日、提唱者は、県議会棟前に設置されている「愛のシーサー」の建立運動を立ち上げた当時の那覇地方検察庁検事正小林永和氏他のみなさんである。「青少年健全育成運動のシンボル」として建てられた「愛のシーサー」は、故島常賀氏と、同じく壺屋のシーサーを世に広めた故高江洲育男氏二人が親獅子、島袋常栄氏、小橋川昇氏の両人が子獅子をつくり、その形をブロンズ像に仕上げたものである。翌年の6月に建立された。

 そこで、わたしたち壺屋関係者は地域をあげてシーサーの里帰りを歓迎するとともに、4月3日の「シーサーの日」を壺屋から全県・全国に広げていこう、という趣旨のもとに、各種の事業を当日から4月5日にかけて立ち上げることにした。壺屋町民会、壺屋やちむん通り会、壺屋陶器事業協同組合、那覇市立壺屋焼物博物館、壺屋焼物博物館友の会、那覇市壺屋児童館、壺屋焼愛好会の七者が実行委員会を結成し、それぞれが事業やら人手やら、知恵やらを持ち寄って「シーサーの日」をにぎわそうというのである。「官主導」とか「民主導」とかいう言葉が聞かれるが、わたしたちの場合は「地域主導」と言ってよいのかもしれない。

 当日は午後3時から贈呈式、3時30分から「壺屋でシーサーの日!」式典が行なわれるほか、午前から午後にかけて「親子による壺屋のシーサー探検」(那覇市児童館主催、申し込みは863―8662)、ヤチムン・シーサーづくり体験(実費負担、壺屋陶器事業協同組合主催、申込みは869―0006、866―1635)、漆喰シーサーの展示会と制作体験(実費、八洲工房主催、申込みは966―2955)、夕方は「シーサー大好き人間大集合」と題し、シーサーをめぐるフォーラム(壺屋焼物博物館友の会主催、参加自由・無料)が行なわれる。そして当日、壺屋焼物博物館は入館無料となる。さらに3日から5日まで、壺屋やちむん通りではシーサーの特売が行なわれる。詳細は、那覇市立壺屋焼物博物館(862-3761)、あるいは館のホームページまで。