第2話:喜面、鬼面、そして機面
シンジはいつもどおりヘラヘラと笑っていた。
しかしその眼差しは本当に嬉しそうである。
リツコは真面目な顔をしていた。
しかし口元がかすかに笑みを浮かべている。
ミサトは笑っていた。
その笑顔は思い切り引きつっている。
シンジの目の前には500gレアのサーロインステーキ三段重ね…合計1.5kgが、リツコの前にはこれもまたレアで300gヒレステーキがほかほかと湯気を上げていた。
両方とも前沢牛である。
ちなみにミサトの前には水が置かれていた。
「…なんでリツコの分まで払わなきゃいけないのよー!」
「あの一分一秒を争う時に、本部で迷って私に迷惑かけたの誰かしらね」
ミサトは轟沈した。
「碇君、ネルフとエヴァ、もう少し上手く使えんのかね?」
「零号機に引き続き、今回君らが壊した兵装ビル群、第三新東京市の被害、その総額目を覆わんばかりだ」
「やることも満足にできずに、予算ばかり要求されても困るのだがね」
「肝心の『本業』をおろそかにしてもらっては困るよ」
薄暗い部屋の中、数名の男たちが会議とは名ばかりの陰険なやりとりを行っていた。
彼らのほとんどはかなりの高齢者揃いである。
そんな彼らは、その中でいちばん若い男…ネルフ司令ゲンドウをやりだまに上げている最中だ。
そのとき、老人たちの中でもっとも威圧感のある、バイザーで目を隠した男が発言する。
「そう…『人類補完計画』。…これこそが君の急務だ。…この計画こそ、この絶望的状況における、我々の唯一の希望なのだ」
「承知しております」
ゲンドウが応える。
老人達は忌々しげに鼻を鳴らした。
「しかし、サードチルドレン…。今回の第三使徒戦において見せたあの能力…。
四年前の事故の後性格が一変し、武道などを学んでおったと聞くが…あまりにも計算外だな」
「使徒殲滅には好都合かと」
「本来の形へ戻そうと、対策は打ったようだが…。手ぬるかったようだな…」
バイザーの老人とゲンドウの視線が絡み合う。
数瞬後、彼らはどちらからとも無く視線を外した。
「まあ良い。所詮改定後の計画では予備のまた予備に過ぎぬ。
計画の遅延は認められぬが、使徒殲滅が優先されねばならぬ以上やむをえぬ。予算については一考しよう」
老人たちは次々と暗闇に姿を消していった。
ゲンドウは低い声で呟く。
「…わかっている…我々には、人類には時間は無いのだ」
彼の目は、どこか此処ではない遥か遠くを見ていた。
豪華な昼食を堪能した後、シンジは戦闘後の検査を受けた病院へと逆戻りすることにした。
「あら、あなたの要望どおり地上に官舎を用意してるから、これからミサトが案内する予定だったんだけど」
「いえ、大丈夫ですよ赤城博士。葛城一尉はなんかズタボロですし。住所はメモしましたから自分で行きますよ。
それに今日のうちにあのパイロットの子…。ええと、綾波レイ…でしたよね?彼女の見舞いにも行きたいですし。なんか状況に流された感が無いわけじゃないですが、今後一緒にやっていく仲間ですからねえ。
ああ、見舞いの後で一度赤城博士の研究室に寄らせてもらいます。例の『サードインパクトがどうのこうの』って話、聞かせてくださいよ」
そう言いつつシンジは官舎のカードキーを振って見せる。
レイの名を聞いたとたん、リツコの顔が微妙に歪んだ。
シンジはそれに気づかぬふりをして、出口へと向かう。
ちなみにミサトは店の伝票を片手に、テーブルに突っ伏したまま微動だにしない。
シンジは軽い足取りで店から出ると、鼻歌まじりに歩き出した。
店から少々離れたところでミサトのものとおぼしき泣き声が、彼の耳に聞こえてくる。
「リツコぉ〜、お願いっ!お金貸して〜」
「放しなさい、みっともないっ!」
シンジはクスクス笑いながら、途中で見かけた自転車屋へと向かった。
彼はそこで自転車を購入するつもりだったのだ。
いくらなんでも病院までは歩いて行くには遠すぎるし、ここらへんは駅からも妙に遠いのである。
しかしその途中で、彼はスーパーマーケットの店先に目を止めた。
(…ふむ、見舞いに行くんだし何か持って行った方が普通だよね)
スーパーの生花コーナーと、入り口付近の果物コーナーを見比べて、シンジはどちらがいいかとしばらく悩むのだった。
病室に、ノックの音が響いた。
ベッドの上でレイは目を開くとドアの方へ視線を向ける。
「あー、碇だけど入ってもいいかな?」
シンジの声が聞こえた。
(碇…碇シンジ…サードチルドレン…。初号機を私の代わりに動かした人…。第三使徒を殲滅した人…。
私よりもずっと上手くエヴァンゲリオンを操れる『人』…)
レイの心に、もやもやとした感情が湧きあがる。
つい先ほどまでゲンドウがレイの見舞いに訪れており、レイはその際にシンジの戦いぶりについて若干の事情を聞かされていたのだ。
レイは心の底にわだかまるその感情が何なのか、まだはっきりと理解できないでいる。
その感情は、嫉妬心と恐怖心だった。
『僕は碇シンジ。あの上の方で偉そうにしてるあの人の息子』
(…あの人の『息子』…)
レイはが感じている恐怖心とは、自分がいるべき場所を奪われるのではないか、という恐れである。
シンジは本来エヴァに関しては全くの素人だ。
しかしその素人はエヴァを起動してみせただけでなく、なんら危なげない戦いぶりであっさりと使徒を撃滅してみせたのである。
さらにその少年は、彼女にとって唯一無二の存在である碇ゲンドウの息子なのだ。
ゲンドウとシンジの間には、血のつながりという強固な絆がある…と、彼女は思い込んでいる。
対するレイは、いまだエヴァの起動にすら成功していない。
ゲンドウがシンジを重要視し、彼女を蔑ろにするようなことになったとしたら、それは彼女にとってとても耐えられない事だ。
実の所、シンジとゲンドウの間にあったはずの親子の絆は、既にゲンドウの側から一方的に断たれている。
またシンジの側も、ゲンドウに対してもはや何の感慨も抱いてはいない。
シンジはゲンドウに限らず周囲の『人間』全て、基本的には冷めた目で見ているのだ。
それ故、レイの心配はまったくの杞憂であるのだ。
しかし彼女はゲンドウの目的のため、幼少時より他人との接触を極めて制限されて育てられている。
そのために彼女の視野は狭く、また他人の事情を慮ることなどは極めて不得手だ。
よって、レイはシンジとゲンドウの事情に気づくことはできず、悩み続ける。
『レイ、余計なことは考えなくていい』
ゲンドウの声が脳裏に響く。
レイは考えるのをやめた。
「あー、綾波?綾波さん?…寝てるのかな」
「…問題ないわ」
レイが返事を返すと、ドアが開いて荷物の山が入ってきた。
具体的には背中にはディパックが背負われ、右肩には竹刀袋が下がり、両手にはフルーツバスケットと花束が携えられていた。
結局彼は果物と花、両方買うことにしたようだった。
「こんにちは綾波…って言う名前だったよね?気分はどうかな」
そう言って、シンジは暖かい微笑みを浮かべながら、いっしょに持ってきた花瓶に花を生けていく。
その笑顔は、いつも彼が浮かべているへらへらした張り付いたような笑いではなかった。
これは極めて珍しいことである。
シンジはレイに対し、何か特別な興味を抱いているらしかった。
だが別に、それは今のところ恋愛感情とかの類では無い様だが。
レイはシンジに応える。
「…問題ないわ」
「そう。ん〜、いい香りだ。そう思わないかい?」
レイはそれに応えず、視線を天井に戻した。
シンジは苦笑しつつ、花瓶を台の上に置く。
そして備え付けの小さな冷蔵庫へ果物をてきぱきと入れていった。
彼はその内の梨一個だけを手にとり、室内を横切って隅にある小さな洗面台で丁寧に洗う。
次にディパックからナイフと紙皿を出し、スルスルと梨を剥いて行った。
「はい、どーぞ」
シンジはレイに紙皿に乗せた梨を差し出した。
レイは特に興味を示さなかった。
シンジはにこにこ笑いながら皿を持っていた。
レイは特に興味を示さなかった。
シンジはにこにこ笑いながら皿を持っていた。
レイは特に興味を示さなかった。
シンジはにこにこ笑いながら皿を持っていた。
「…何」
「ん?せっかく梨を剥いたから、食べて欲しいなと思って」
「…そう」
レイはギプスに覆われていない左手で梨をつまむと口に入れた。
シンジはそれを微笑みながら見ている。
梨が無くなると、シンジはまた冷蔵庫から別の果物を出してきて剥いた。
レイはいくつか食べたが、もともと食が細いので半分ぐらいで食べるのをやめてしまう。
「もういいの?」
「…ええ」
「じゃ、残りは僕がもらうね。剥いちゃった果物は傷みやすくなるし」
そう言ってシンジは残りの果物を掻きこむように食べてしまった。
その時、再びノックの音がする。
「綾波さん、午後の検診です」
医師と看護婦が病室へ入ってきた。
その瞬間、シンジの微笑みがいつもの『のほほん』『へらへら』と言ったものに変わる。
まるで仮面を被ったかのようだった。
レイはその瞬間を偶然見てしまう。
彼女は特にシンジに対し興味や注意を向けていたわけでは無かったので、それを見てしまったのは本当に偶然に過ぎない。
だがレイはその『変貌前』と『変貌後』の様子に、物凄い違和感を感じる。
しかし、レイにはその違和感の正体がよく理解できなかった。
(…これは…何。…彼は…何?)
「あー、じゃあ僕は今日はこの辺でおいとまするね。また来るよ。あ、果物は傷まないうちに食べちゃってね。それじゃ、また」
シンジはディパックを背負いなおすと病室から出て行った。
検診が終わり、医師と看護婦が出て行ってしばらくしても、レイはシンジの事を考えていた。
(彼の笑顔…違和感…何?よくわからない…。あの二つの笑顔…違ってる…。
最初の笑顔…碇司令の笑顔に似ていた?…顔はまったく違うのに…。後の方の笑顔…嫌…)
レイの思考は先ほどから同じ事を繰り返していた。
その時再びゲンドウの言葉が脳裏に蘇る。
『レイ、余計なことは考…』
「あ、ごめんねー綾波ぃ。忘れ物しちゃったよ」
レイが考えるのをやめようとした瞬間、ふたたびシンジが戻ってきた。
その笑顔は、張り付いたようなへらへら顔では無く、最初にレイに見せていたものだ。
(…碇司令の笑顔に似ている…親子だから?…違う。何処が似ているの…)
シンジはレイのそんな様子を尻目に、ディパックから紙束と筆ペンを取り出した。
「んー、いいよねぇ『ここ』は。フダに使用できる上質の紙が安価に、しかも安定供給される。しかも墨壷がいらない筆っ!もう最高だね」
シンジは紙片にさらさらと紋様を筆ペンで書き込んでいく。
二枚ばかり書いたところで、シンジはそれをレイの身体に貼り付けていった。
「あー、まあどこに貼ってもいいんだけど、やっぱり酷い傷の上に貼るのがいいかな」
彼は紙片を貼り付け終わると、ぶつぶつと呪文のようなものを呟いた。
「あっ!」
レイは思わず声を上げた。
紙片から暖かさが身体に流れ込んできたのである。
そしてその紙片は数秒の後、塵のようになって崩れ去った。
彼女は思わず左手で紙片のあった場所に触ってみる。
そして、左手を動かした際に、まったく痛みが無かったことに気づき、呆然とした。
身体の負傷が、軽い物はほぼ完治し、重い物もそれなりに良くなっている。
レイは目を丸くしてシンジを見つめる。
「今のはね、怪我がはやく治りますようにっていうオマジナイなんだよ。ま、病気も怪我も気の持ちようって言うし、ね。
それじゃ忘れ物も済んだことだし、今度こそまたね」
そう言ってシンジは病室から出ていく。
レイはしばらくドアを見つめたままだった。
一方シンジは、病院の廊下を歩きながらレイの事を考えていた。
(本当は完全に治してあげたいところだけど。でも、いきなり全快しちゃったら大騒ぎになりかねないもんなあ。
けどやっぱり彼女…アハルやグリム、騎撰族なんかとは違うね。…いちばん近いのは禁赤人だけど、でも…やっぱり『違う存在』っぽいなあ…。
うーん、ここの大和民族てのは人種的には騎撰族に近いんだがなあ。なんか違うよね。存在そのものに人の手が加わってるのは間違いなさそうなんだけど…。あー、『術』でも使わないときちんと調べらんないしなあ)
色々と考えているうちに、彼の顔には再びいつものへらへら笑いが張り付いている。
(しかし、あの使徒とかいう怪物…。破壊力自体は凄かったけどねぇ。『ドラ・メーア』の方がやっぱりヤバさでは上だな…。
だけど手に入れたサンプル次第では、使える『資源』になるかもね。らっきーらっきー、ふふふ)
シンジは昨夜の戦闘のことを思い出していた。
『エヴァンゲリオン初号機、リフト・オフ!』
ミサトの叫びが通信機から響く。
拘束具が解除され、初号機の機体が解放された。
『シンジ君、まずは歩くこと』
リツコは『だけ考えて』と続けようとした。
しかし初号機はいきなり使徒の眼前へと、低い弾道を描いて跳躍した。
『あ、あれはあの時の!』
ミサトは、シンジがレイを護ったあのときの脚捌きを思い出した。
今の初号機の技は、まさしくあの時のものである。
『そんな…シンクロ率は今もまだ激しく変動しています!現在22.4%、あ、いえ43.7、あんな動きが出来るわけが』
マヤが悲鳴のような声を上げながら、必死で計測データを検証する。
初号機は、そのまま脚を踏み込み、拳を突き入れた。
ゴワンッ!
金属の塊を叩きつけたような音がして、初号機の拳は使徒の目前に現れた赤い干渉光にさえぎられた。
『使徒よりA.T.フィールドの発生を確認!』
シゲルが叫ぶ。
初号機はそのまま何度も拳や蹴りを使徒へ見舞う。
しかし、赤い干渉光はその全てを防ぎきった。
使徒の両目が輝き、ビームを打ち出す。
初号機はそれを地面に伏せることでかわし、そのまま使徒の脚を払った。
轟音とともに、周囲のビルを薙ぎ倒して使徒が倒れる。
初号機は瞬時に立ち上がると、再び飛び退って距離を取る。
『な、なんでこのシンクロ状況でこんな上海雑技団みたいなマネが…。ハーモニクスも滅茶苦茶なのね?マヤ!』
通信機から流れるリツコの叫びを聞き流しながら、シンジは使徒の攻略方法を考えていた。
(…あの障壁…A.T.フィールドとか騒いでたな。ふむ…感覚的にはそうたいした堅さでもなさそうなんだけどねぇ…。でも、『術』はそうそう使えないしなあ…。もうちょっと『マーナ』が貯まって余裕ができないと…。
え?あれ?『初号機』、あいつ君となにか似た感じがするんだけど?…って言っても君にも知識は無いのか。ごめんよ無理言ったね。
でも、あの怪物…使徒…そうするとあいつにも興味が湧いてきたな。うまくすれば『使える』かもねぇ。ちょっとサンプルぐらい取ってみるか。とすると倒し方は…。ねえ『初号機』、こういうことやれそう?そう…)
『シンジ君!エヴァもA.…』
『初号機、顎部拘束具破損!』
ミサトが何か言いかけた瞬間、初号機の兜の顎にあたる部分がばっくりと割れた。
そしてそこから巨大な歯を有した、耳まで裂けたような口が現れる。
『ごあああぁぁぁああぁぁあああぁ!!』
「うおおおおおおぉぉぉおおおぉぉ!!!」
初号機とシンジ、両者の叫びが重なって響いた。
エヴァンゲリオン初号機の肺臓…存在はしているものの、『有る』というだけで今までまったく働いていなかった器官が、初号機建造以来はじめて稼動する。
初号機は周囲の大気を大きく吸い込み、吐き出した。
蛇腹状の装甲に覆われた初号機の腹部が、呼吸の度に微妙に膨れたりへこんだりする。
『しょ、初号機の機体制御システムより電力要求!初号機下腹部にエネルギーが!…熱エネルギー、電気的エネルギー、力学的…初号機骨格の歪みの弾性エネルギー…等が集中していきます!』
マヤが叫んだ。
マコトが、現在稼動していない兵装ビル群に使用される電力を初号機へ回すよう手配する。
エントリープラグのシンジは、強烈な『プラーナ』を感じていた。
初号機の機体の丹田にすさまじいエネルギーが発生し、それが初号機の筋肉細胞を伝播する際に更に増幅される。
(…今は『初号機』が慣れていないせいかな。練気に余計に電力を使っちゃうなあ。…けど凄いや。凄い…とんでもない『プラーナ』の…『気闘法』の増幅力だ。
…よし、そうだ。そう、そんな感じ。…拳にその『プラーナ』。その熱いやつだ…。それを集中させるんだ…。そうそう上手いぞ。…今っ!)
シンジは使徒が放ったビームを初号機に回避させると、再び先ほどのように機体を跳躍させた。
使徒の眼前に降り立った初号機は、使徒が掌から突き出した光の槍を突き立てるよりも先に、跳躍の勢いを殺さぬままに使徒の胴体中央へ拳を突き入れる。
『ぐがあああぁぁぁああああぁぁぁぁあっ!!!』
「きええぇぇええぇぇえええぇぃいいいっ!!!」
初号機の凄まじい踏み込みで、地面が陥没する。
巨大な地震に匹敵する震動が地面を伝播し、兵装ビルや装甲ビルはともかくとして、強度の足りない一般のビル群は初号機を中心にしてがらがらと崩れ去っていく。
使徒は再びA.T.フィールドを展開した。
ギャリッ!
金属が引き裂かれるような音がした。
初号機の拳は、使徒のA.T.フィールドをあっさり突き破る。
使徒の胴体には、まるでドーナツ型でドーナツ生地を抜いたかのように、丸く大きな穴が穿たれていた。
使徒の胸にあった光球…コアはもはやかけらも無い。
そのままシンジと初号機は使徒の亡骸に連打を加え、全てを跡形も無く破壊してしまった。
ゲンドウと冬月は司令執務室で、第三使徒サキエルとエヴァンゲリオン初号機の戦闘記録を見ていた。
「碇…。この戦闘力、これは問題だよ。老人どもはもはやサードには見切りを付け、『予備』にはセカンドを当てるつもりでおるようだから、そちらはまあ当面大丈夫としても、だ…。
これでは彼女が目覚めるかどうか…。シンクロが異常なのも気にかかる」
冬月はゲンドウに苛立ちまぎれに苦言を呈していた。
だがゲンドウはなんら動じた様子は無かった。
「…問題ない。サードを窮地に追い込めば、ユイはかならず目覚める…」
呟くように言ったゲンドウは、ニヤリと笑うと受話器を手にとった。
「…赤木博士を呼べ」
『はい』
秘書の声が応えた。
冬月はゲンドウを睨んだが、溜息をついて肩を落とした。
「…彼女に恨まれるだろうな我々は」
だがその言葉も、ゲンドウの無気味な笑みを消すことはできなかった。
あとがき
聖刻エヴァ、第2話です。
シンジ君、A.T.フィールド使ってません。
いったいエヴァの気闘法増幅能力はどれぐらいなんでしょうね。
さて、綾波さんですがシンジ君に遭って混乱してます。
大混乱です。
シンジ君、いったい何者なんでしょうか(爆)
ところで、感想を下さった方がいらっしゃいました。
本当に嬉しいですね。
おかげで力が湧いてきました。
そのためか、こんな早く2話が完成いたしました。
今後もお見捨てなきようお願いします。
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