(注)このSSではぁよごすまはわがねぇやづだっつーごどさなってっぺすよ、ふぁんのひとだづぁどおがかんべんすてけらいやぁ(このSSでは横島は悪者ということになっておりますので、ファンの人達はどうかご勘弁願います)。











(前回のあらすじ)

シロとマリアの活躍で米ソ共同宇宙ステーションの乗員を、令子の活躍で原子力超音速旅客機ファイヤーフラッシュ号を救うことができた。

だが、ボ帝ビ○にすらあっさり勝利できるほどの超悪人横島忠夫がカオスを操って各サンダーバード・メカに隠した秘密装置は、とうとう国際救助隊の秘密をつかむことに成功してしまったのだ!

横島はカオスを邪悪な魔術で支配し、その秘密装置を回収させようとしている。

だが国際救助隊の誰も、その秘密装置のことを気づいてすらいないのだ!

どうする国際救助隊!


国際救助隊 出動せよ! その8(最終回)


「…あやつはボ帝○ルには勝てても○帝コンシャスにはたぶん絶対に勝てない気がするのう」


カオスは事件解決のお祝いパーティの料理を運びながら、意味も無くそう呟いた。

パーティ会場は有事の際には司令室になる、あのリビングである。

カオスが料理とともに会場入りすると、シロの歓声が彼を迎えた。

正確には歓声が迎えたのは料理であり、カオス当人ではなかったが…。


「わぁ〜、凄い!美味しそうでござるっ!!」

「がっつくんじゃないの、バカ犬」

「狼!…じゃなかったでござる、このお話では…」


シロはいきなり意気消沈する。

気まずく感じたタマモは、話をそらそうとした。


「あ〜と、ところで今回の仕事は大変だったわよね〜」

「そうだな。皆あれだけ働いたのに、何故か二人しか救助していないような気もするし、な」


ワルキューレの台詞に、周りの人間たちは乾いた笑い声を上げた。

みんなのこめかみには大粒の汗が浮かんでいる。


『あ、だ、大丈夫ですよ!そんなことありませんって!第一潜水艦の乗員とかファイヤーフラッシュの乗客とか!他にもたくさん要救助者いたハズじゃないですか!』


宇宙ステーション常駐のため、映像だけパーティに参加していたおキヌがフォローを入れる。

もっともソレは全然フォローになってなかったが。





「びぇええぇぇっくしゃいッ!!」

「うわっ!…だ、大丈夫ですか機長?」


ファイヤーフラッシュ号機長の伊達雪之丞は空港の廊下で巨大なくしゃみをした。

彼は鼻水をすすりあげ、ぶつぶつと愚痴る。


「…誰か俺の噂をしてやがるな」

「いや、与圧してない区画で氷漬けになったんで風邪ひいたんじゃないですか?」


副操縦士のピエトロ・ド・ブラドーは正論を吐く。

だが伊達機長はしつこく繰り返した。


「いや、きっとコレはあのサンダーバード1号パイロットの奴か、その仲間の奴に違いねぇ!ちっくしょ、今度逢ったら…ふぇ、へ、はひ、ぶ…ぶえええぇぇぇっぐしゃいッ!!」

「うわああああぁぁぁぁああああぁぁぁぁっ!!」


ピート副操縦士は伊達機長が逆噴射した様々な液体やゲル状物質にまみれるハメになった。

やはり彼はこういう役回りらしい。





さて、ここはマレーシアの奥地、未開のジャングルのさらに奥深くにひっそりと佇む古代の寺院である。

世界的大悪党横島忠夫は、カオスから届いた荷物に収められた例の秘密装置を色々と操作している。

そこにあったのは、黒くて小さくてひらべったくてぬらぬらした光沢を持つ、3億年前からその姿を変えていない謎の凶悪昆虫に似せたロボット・カメラだった。

ちなみにこのカメラを横島が製作した際、試作初号機として作り上げた物は大きさが人間サイズであり、なおかつ姿も無駄に人間に似ていて何の意味も無かったことを付け加えておこう。


『おいっ!!ちょっと待たんかっ!!ゴキ○リの王たる私の出番が、たったソレだけかブッ!?』

「五月蝿い黙ってろ本作品においては試作品の失敗作でなおかつ燃えない上に萌えないゴミでしかない馬鹿者」


横島は暴れる試作初号機に蹴りを入れた。

さらに彼はそれを燃えないゴミの袋へ詰めかけ、自分が悪人であることをはっ!と思い出し、あわてて燃えるゴミの袋へ詰めなおす。

そのまま横島は、そのゴミ袋を窓から眼下を流れる河へ不法投棄した。


「ふ〜〜〜…これでよし!うん悪人悪人♪」


横島は満足げに幾度か頷くと、某凶悪昆虫型カメラから取り出した磁気フィルムを写真に焼き付ける作業に戻る。

しばらく時間が経った後、彼はおもむろにニンマリいやらしい笑顔を浮かべた。


「ふふふ…くっくっくっく…これは凄い、素晴らしいっ!!ふ、シナリオ通りだ…な〜〜〜んつってなっ!!あーっはっはっは、ぎゃーはっはっはっはっはっは」

「ほほう、その写真が国際救助隊の秘密かい横島君?」

「のわぁっ!?」


横島はふいにかけられた声に、驚いて飛びのく。

そこには一人の男…横島と表面的な協力関係にあり、独自で世界制服を計画している悪い軍事組織の司令官である西条将軍であった。

横島は叫んだ。


「いつのまにココに現れた西条っ!!第一なんで顔出してやがるんだオマエはっ!!原作サンダーバードのX将軍は手足や胴体はTV画面に映っても、顔はけっして映らなかったぞっ!?」

「ふ、君と違い僕は美形なのでねぇ。この顔を画面に出さないなんて世界的、いや宇宙的損失じゃぁないか」


ふっ、と鼻で笑う西条将軍に、横島は心底殺意を覚える。

横島はおどろ線を背負いながら言葉を続けた。


「…で、何の用だ」

「いや、君が国際救助隊の秘密を手に入れた、と僕のところの諜報部が聞き込んでね。で、商談を持ち掛けにきたわけさ。サンダーバード・メカの秘密を200億米ドルで買おうじゃないか」


うさんくさいまでの爽やかな笑顔で信じがたい額を切り出す西条将軍に、横島は憮然とした表情で応えた。


「…サンダーバード・メカの秘密…だぁ?ンなもん俺は入手しちゃいねーぞ」

「ふ、またまたとぼけてくれるね。その害虫型カメラで撮ってきたんだろう?その写真だよ、その写真。まさかこの値段で足りないとは言うまい?」

「だからこの写真はサンダーバード・メカなんかじゃねーって」


西条将軍の目には、横島が徹底的にしらばっくれようとしていると見えた。

彼はこめかみに#模様を浮かべ、怒号を発する。


「金は払うと言っているじゃないかっ!!しかも我々は(表向きは)協力者だろう!?ええい、いいから寄越したまえっ!!」

「ああ、やめ…」

「うわっ!!」


二人はもつれあって転倒した。

横島が持っていた写真が、床の石畳に散らばる。

それを見た西条将軍は絶句した。


「こ、これは…!!」

「…てめぇ…なにしやがるっ!」

「これは何なんだっ!説明したまえ横島君!」

「…国際救助隊の秘密だってばよ」


確かにそれは国際救助隊の秘密ではある。

間違いはない。

確かに秘密だ…それには違いない。

まあそろそろ賢明なる読者の皆さんにはおわかりだろうが、まあぶっちゃけた話、救助隊隊員達の着替えシーンの写真がもーばっちりと鮮明に写されていたのだったりするのだ。

各自が私服やら水着やらから救助隊制服へ着替えるシーン然り、小竜姫とワルキューレが放射線防護服へ着替えるシーン然り、タマモが潜水服へ着替えるシーン然り、シロとマリアが宇宙服へ着替えるシーン然り…である。

ちなみに潜水服やら宇宙服やらは下着まで脱いで着なおす必要があるので、細かく描写すると18禁にはならずとも15禁ぐらいには確実になってしまうだろうから、あえて描写は割愛することとしよう。

う〜ん、残念。

それはともかく、西条将軍は横島の胸倉を掴んで怒鳴った。


「おいっ!君の目的は国際救助隊の超技術を入手することじゃぁなかったのかっ!?」

「うんにゃ違うぞ」

「は?」


横島はしれっと応えた。

その応えに西条将軍は一瞬呆ける。

横島は続けた。


「…あのよー、無人の超音速機に超強力誘導電波発生器積んで飛ばしたり、地下原子力発電所暴走させたり、宇宙ステーション真っ二つにしたり、核ミサイル原潜に事故起こさせたり…。空、大地、宇宙、深海…こんなとんでもない場所でそれぞれ大事件起こす能力があるのに、なんで今更サンダーバード・メカの秘密を探らにゃならんのだ」

「あ」


西条はさらにあっけにとられる。

ちなみに原作サンダーバードの悪役フッドはそこまでの技術力は持っていないので、ご注意ください。


「俺が世界を制するのに必要なのは、資金もさることながら…。そう!燃え上がるような熱意!士気!意気込みが必要なんだよっ!!そのためにはっ!」


ごすっ。

西条将軍は横島を殴り倒した。


「…まったく…どーしようもない男だな君はっ!僕は帰るぞ!」

「…って待てよっ!こっそりそこはかとなくポケットに写真とネガ磁気フィルム入れてくんじゃねぇっ!」

「こ、これは…!ぼ、僕は紳士だからなっ!だからこのようなご婦人達の尊厳を冒涜するような写真はちゃんと始末しなければなら…」

「うるせぇっ!ならなんで美神さん…じゃねぇや、今回は全員『美神さん』なんだった…。令子さんの写真だけ持ってくんだよっ!?」


西条将軍はぐっ!と詰まる。

だが彼は、は〜〜〜っと息を吐くと即座に立ち直った。

彼は張り付いたようなエセ紳士風の笑顔を浮かべて横島に向かい口を開く。


「…横島君。1600億米ドル払おうじゃないか。ぜひ令子ちゃんの写真、焼き増ししてくれたまえ」

「む…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………乗った」


世紀の大悪人横島忠夫は数分間葛藤していたが、結局の所にやりと悪党臭い笑顔を浮かべて承諾する。

横島と西条将軍は『がしぃっ!』と嘘臭い友情のバ■ムク■スを交わした。

彼らはしばしインチキっぽい友情を確かめ合っていたが、ふと西条将軍はあることに気づいた。


「…横島君、ところで何故におキヌちゃんの写真が無いんだね?宇宙で細工するほどの技術があるのなら、5号に探りを入れるのも楽勝だろうに」

「何言ってんだよ。おキヌちゃんにセクハラなんてしたら俺ほんとーに悪者じゃねーかよ」

「…君、このお話では悪党…だろ?」


…。

空気が凍った。

1分…2分…5分…時間は動き出さない。

10分…20分…やがて1時間が経過しようとしたその時である。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜〜、しまったああああぁぁぁぁぁッ!そぉだったああああぁぁぁっ!!俺、悪役だったんやあああぁぁぁっ!!つまりっ!いつもなら許されない事もやり放題っ!!」

「あ、いやソレはどうかと…」

「それなのに、それなのにいいぃぃぃっ!い、いやまだ間に合うっ!西条っ、さっさと写真の代金よこせっ!それで材料買うて、いそいで小型ロケット作って、5号に謎の秘密装置を送り込んで…」


横島は見苦しく慌てふためく。

ソレを西条将軍はため息とともに見やった。


「はぁ〜…少し待ちたまえ。すぐに部下に用意させるから」

「で、用意したお金はコッチへ渡していただけるかしら?さぁいじょぉさぁん?(はぁと)…ついでに写真とネガも」


その声に、悪役二人組はビシッと固まる。

彼らはギギギギギィッ…と軋み音をたてて、ゆっくりと振り向いた。

そこには令子をはじめとして、ワルキューレ、小竜姫、シロ、タマモ、マリアと言った国際救助隊の面々が揃って立っていたのである。

横島は狼狽して叫んだ。


「な、何故ここがっ!?」

「これです」


小竜姫がそう言って掲げたその紙片には、『お届け先:マレーシア国ド田舎州ジャングル37番地の8 古代の寺院402号室 横島忠夫様 TEL:○○2−○○34−57○○』としっかり書かれていた。

そう、これはカオスが送った荷物の『送り主用控え』だったのである!


「カオスさんが首をひねってたのよ。出した覚えの無い荷物の控えがある…ってね」

「それでロンドン支部に調査してもらったんでござるよ」

「結果・裏社会で・有名な・テロリスト・が・ここにいる・ことが・判明しました」

「覚悟してもらおうか」


ワルキューレがいかにもSFチックな玩具のようなデザインの拳銃を構える。

だがいかに玩具っぽくとも、これは充分な殺傷能力を持つ必殺の武器だという設定になっているのだ。

横島忠夫、危機一髪!


「…ちっ!」


横島は一瞬の隙を突いて、何かを投げつける。

ワルキューレは迷わず拳銃の引き金を引こうとした。

だが、投げつけられた物に気づいたその瞬間、彼女の顔は引きつった。

いや、引きつったのは彼女だけではない。

令子もタマモも小竜姫も、完全に硬直していた。


「「「「…っぎゃあああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあああっ!?」」」」


あまりと言えばあんまりに色っぽくない悲鳴を上げて、彼女らは暴走した。

令子は一見神通棍に見える特殊警棒を取り出しめくらめっぽう振り回し、小竜姫は懐から神剣ならぬ巨大スパナで身を守る。

ワルキューレは手に持った銃を狙いもつけずに乱射しまくり、タマモは周囲にあるものを手当たりしだい投げつける。

その大騒ぎの中、横島と西条将軍はすたこら逃げ出した。


「…流石だな横島君。あの某害虫型カメラがこういう役に立つとはね」

「ふ、問題ない…なーんつってな」

「あまい・です」

「そーでござるよ」


そう、謎の害虫が効果がありそうに無いガサツ二人組がここにいたのである。

彼女らの声にぎょっとした二人がその方を見ると、眼前に何やら巨大な金属光沢を持った物体が迫っていた。

ずずずずずうううぅぅぅ〜〜〜ん。


「「ぐぎゃああああぁぁぁぁぁっ!!」」


横島と西条将軍は、マリアとシロが二人がかりで投げつけた闘戦勝仏像の下敷きになった。


「く、くそっ…僕は最終回だけのゲスト参加…だったの…にっ!こ、こんな…目に遭うために登場…したわけじゃ…。や、やはり…悪は滅びるのが…運命なの…かっ!!」

「あ、阿呆…。だったら…だったらなんで美神さんが…じゃねぇ、令子さんが滅びんのやぁ〜〜〜っ!!」


ごめすぅっ!ぼかばきべきっ!!みちゃりぐちゃべきばきぼきっ!!


余計なことを言った誰かさんは、立ち直った美神令子の手によって物凄く凄いくらいに酷い目に遭うこととなった。

彼女の後にはさらに小竜姫&ワルキューレ、シロタマ&マリアと言った面々が、凶暴な笑みを浮かべて順番を待っている。


そんな中、横島と西条将軍が山ほど酷い目にあっているその脇で、闘戦勝仏像から小さな声が流れ出した。

それはあまりにも小さな声だったので、誰も気づくことは無かった。

その声を聞く事ができたのは、もしその仏像に心があるとすれば彼自身だけであっただろう。

その内容は以下の通りである。


『…ふ、皆勤賞じゃ』


そう!

闘戦勝仏像は今の今までこの全8回のストーリー中、そこはかとなくこっそりさりげなく毎回登場していたのであるっ!!(じゃじゃ〜〜〜ん)

…セコいなあ斉天大聖。


あとがき:

というわけで、一巻の終わりでございます。
今まで楽しんで?いただきまして、本当にありがとうございました。
これからももっともっと頑張って、いろんな作品を書いていかなければっ。

ところで…感想を書いていただけるのでしたら、mail To:weed@catnip.freemail.ne.jp(スパム対策として全角文字にしていますので、半角化してください)へメールで御報せいただくか、掲示板へお願いします。


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