「リリンの産み出したもの」
「馬はいいねえ、馬はお金を増やしてくれる。リリンの産み出した賭け事の極みだよ。そうは思わないかいシンジ君」
「カヲル君…僕には君が何で競馬で勝てるのかわからないよ…」
カヲルは大穴を当ててほくほく顔だ。
もっともいつも笑っているのでぜんぜん分からないが。
だが、突然審議のランプが点灯する。
『MAGIよりお知らせします。ただいまのレースにおいて、場内でA.T.フィールドの発生が検知されました。審議の結果賛成二、条件付賛成一で一着のニゴウキキョウコを失格とし、二着以降の順位を繰り上げとします』
「カヲル君…」
シンジはジト目で親友を見つめる。
「ふ、僕にとって当たり馬券も外れ馬券も等価値なのさ…」
と言いつつ、カヲルは目の幅の涙をだーっと流すのだった。
泣いていても顔は笑っているのが怖い。
そのとき、シンジを挟んでカヲルの反対側に座っていたレイが呟く。
「…繰上げになる二位と三位はあなたが買ったムラサキゼロワンにジャージブラックよ。…よかったわね」
ちなみにレイの足元には破り捨てられた馬券が散乱している。
どうやら彼女の馬券も外れたらしい。
「え、綾波!?ほ、本当だ」
シンジは自分の買った馬券と電光掲示板を確認する。
本来であればガチガチの銀行レースだったので倍率は高くは無いが、本当に彼の買った馬券が当たっていた。
自分の幸運が信じられないシンジの右手と左手を、カヲルとレイが突然拘束する。
「シンジ君、君は本当に好意に値するね…好きって事さ」
「碇君(のお財布)が呼んでる…ありがとう…感謝の言葉…」
「…結局僕は儲けた以上に吐き出すハメになるんだね…(これが僕のお金の)使途だからねぇ…」
彼は涙しつつ、高級レストランへと連行されて行ったそうな。
どっとはらい。
あとがき
えー、友人と電話で馬鹿話をしていて、そこでカヲル君の台詞をもじっていたらこの話を思いつきました。
って言いますか、半分は彼(守山刹那君)の発想なんですがね(笑)
まあ、ちょっと最近長編にばかり熱が入ってるんで、過熱した脳味噌を冷やす意味でも、こういう軽いものを書くのもいいですよね。
でも、そういうことやってると長編の方がおろそかになったりして(滝汗)
さて、私としては感想をいただけるととてもとても嬉しいです。
感謝感激雨あられです。
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