キーワードは、"リアルワールド"そして"ワイアード"。こっちの世界と、あっちの世界。
昔書いた文章で、とても主観的な内容です。
チャンネルNECOでの放映の際、1〜4話、5〜8話、9〜13話に分けて放映されたのだが、内容から見て、だいたいこの3部構成。
さまざまの場所に出現し、さまざまな人格を持ち、それぞれ全く独立に存在する玲音。
物語は、現実の世界(リアルワールド)の玲音の視点から、玲音の周辺の人間関係を中心に描かれる。
のだけれども、それぞれのストーリーは、断続的であり、微妙に重なりあったものであり、かならずしもリニアに継続したものではない。
『lain』を理解する上でキーとなる人物は、瑞城ありすと英利政美の二人だ。
破局――電脳の世界(ワイアード)の英利が敗れさり、同時に現実の世界(リアルワールド)のありすが発狂する。レインはリアルワールドとワイアードの境界を破壊するプログラム──そして境界を破壊されたリアルワールドとワイアードは、ともに破壊される。
ナビ──われらが現実世界と、lainの世界を分かつ、ただ一つのSFギミック。もしPCのコミュニケーション機能が、畸形ともいってよいほどにまで発達したならば……このifが、『lain』をSFとして成立させる。
プロトコル7も、プシューケーも、大前提であるナビから派生した小道具にすぎない。ナビこそが『lain』をSFとして成立せしめる存在である。
本放送時、これはPCマニアのためのアニメだなーと思った。
玲音の子供用ナビ(赤いの)。独特のインタフェイスを持つ"Copland OS"。玲音の親父のナビ部屋。ドライヴァを口にして、スリップ一枚でナビをばらす玲音。ワイアード……ホラーアニメにも分類される『lain』だが、とにかく失笑しまくりの『lain』は「ホラー」である。ホラーは面白可笑しいものである。
テレビ東京の深夜には、番組と番組の間に、「ウェザーブレイク」と称する天気予報が流れる。lainのあとのアイキャッチの後に、引き続いてこの天気予報が流れる。
スタッフの御遊びで、アイキャッチに、天気予報の「ウェザーブレイク」の導入みたいなクリップが附加された。これが「lain」の「ウェザーブレイク」。
地方局やスカパー、DVD/VCでは、この「ウェザーブレイク」は既に意味不明だが、本来はそんな理由で作られたもの。
本放映時には、シリアスな内容の本編が終って気が滅入ったところに、このふざけた内容の「ウェザーブレイク」が入った。精神的なバランスを恢復するためには、とてもありがたかった。